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注目されている愛犬用【グレインフリー】ごはんって?獣医師が解説!

◎獣医師執筆◎

ここ数年でわんちゃん用ごはんの種類は格段に増え、「グレインフリー」という文字を目にする機会も増えたのではないでしょうか?また、グレインフリーがわんちゃんの体に良いと耳にしたことがあるものの「どんなものなのかよくわからない…」という方も多いと思います。

そこで今回は、グレインフリーの定義やメリット・デメリット、注意点などを詳しくご紹介していきます。どんなわんちゃんに率先してあげるべきかについてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

グレインフリーって何?

「グレイン」という言葉はあまり聞き慣れない単語だと思いますが、英語で「穀物」を意味する「grain」のことを指しています。フリーは「使われていない(=free)」を意味しているため、米や小麦大麦とうもろこしといった穀物を含まないものをグレインフリーと呼びます。

では、どうしてグレインフリーのわんちゃん用ごはんが生まれたのでしょうか?

その理由はわんちゃんの「食性」に大きな関係があります。というのも、わんちゃんのルーツはオオカミであることから、本来の食性は肉食に近い雑食性です。そのため、わんちゃんはグレインの消化があまり得意ではありません。つまり、より本来の食性に近いグレインフリーのごはんが誕生しました。

ただし、グレインにはビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養が豊富に含まれているため、ただグレインを除去しただけでは今度は栄養バランスが偏ってしまいます。そのため、イモ類や豆類などを使うことによって、グレインフリーでもわんちゃんに必要な栄養がバランスよく摂れるよう工夫されています。

グレインフリーを率先してあげるべきわんちゃんの特徴

グレインフリーがより本来の食性に近いのであれば、グレインが含まれるごはんはわんちゃんの負担になってしまうのではないかと不安になってしまいますよね。

しかし、市販のわんちゃん用ごはんに含まれているグレインは、わんちゃんでも消化しやすいよう加熱加工がされています。そのため、健康なわんちゃんであればグレインフリーを率先してあげる必要はありません

ただし、中にはグレインを食べるとアレルギー症状を起こしてしまうわんちゃんがいます。そんなわんちゃんについてはアレルギーの発症を予防することができるため、グレインフリーのごはんを率先してあげるべきといえるでしょう。

気になる!グレインフリーのメリット・デメリット

「グレインフリーはわんちゃんの体に良い」というイメージがある方も多いかもしれません。しかし実際は、メリットもある反面、デメリットもあります。

では、実際にどんなメリットやデメリットがあるのか、詳しくご紹介していきます!

・グレインフリーのメリット

グレインフリーは、グレインに対する食物アレルギーからわんちゃんを守ることができる点が大きなメリットといえます。

もしグレインに対してわんちゃんがアレルギーを引き起こしてしまうと、
●皮膚のかゆみ
●嘔吐
●下痢
などの症状が現れます。しかし、アレルギーの原因となるグレインを口にしなければ、症状はおさまります。

・グレインフリーのデメリット

グレインフリーは高たんぱくであるため、わんちゃんの内臓に負担がかかるというデメリットもあります。実はたんぱく質は消化するのが難しい栄養素のため、摂取しすぎると、内臓の消化過程に負担がかかります。そのため、内臓疲労につながってしまうのです。

また、2019年に米食品医薬品局(FDA) から発表された報告によると、わんちゃんにグレインフリーのごはんをあげることで拡張型心筋症を引き起こすリスクが高まることがわかったそうです。(参考:https://www.fda.gov/animal-veterinary/outbreaks-and-advisories/fda-investigation-potential-link-between-certain-diets-and-canine-dilated-cardiomyopathy)

日本国内での報告はまだありませんが、拡張型心筋症の好発犬種である大型犬やアメリカン・コッカー・スパニエルなどには、グレインフリーのごはんをあえてあげる必要はないでしょう。

グレインフリーをあげる際の注意点

グレインフリーのごはんには、当然ですがグレイン以外にもさまざまな食材が含まれています。そのため、グレイン以外の食べ物に対してもアレルギーを持っている場合、アレルギー症状が出る可能性があります。

アレルギーが疑われる場合はまずは動物病院を受診して、アレルギーの原因を探ることが大切です。そして、あなたのわんちゃんのごはんをグレインフリーにするべきかどうかについては、必ず獣医師の指示に従うようにしましょう。

また、内臓の機能が弱っているシニアのわんちゃんや拡張型心筋症のリスクが高いわんちゃんについては、体への負担を考慮する必要があります。

どうしてもグレインフリーにこだわりたいという方はかかりつけの動物病院に相談し、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。


グレインフリーは、グレインに対してアレルギー症状を示すわんちゃんには適しています。しかし、内臓への負荷や心筋症の発症リスクといったデメリットもあるため、健康なわんちゃんであればあえてグレインフリーにこだわる必要はありません。

こちらの記事の内容を参考にしながら、ぜひあなたのわんちゃんに最適なごはんを選んであげてくださいね。

●ライター:まいまいママ
獣医師の資格を保有
●編集:うしすけチーム

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