獣医師が教える、わんちゃんが誤食をしてしまったときの対処方法!
◎獣医師執筆◎
お散歩の途中やお留守番中、ふと目を離した隙に誤食をしてしまうトラブルは1年を通してわんちゃんに良くあります。排便で出てくるのを待っていても大丈夫かな?病院に行くべきかな?と不安になりますよね。誤食は、食べたものや形状によって、危険度も症状の出てくる時期もさまざまです。
こちらの記事では誤食の危険性と対処方法について解説します。
誤食するとどうなる?何が心配?
誤食をしてしまったときに心配なことは、大きく分けて中毒と食道や胃腸の損傷の2つです。どちらも対処が遅れると命に関わることがあります。
●中毒
チョコレート、ネギ類、ブドウ、アボカドなど人間が日常的に食べているものでもわんちゃんにとっては毒になってしまうものがあります。その他にもタバコや観葉植物、洗剤など、人からすると美味しくないので食べないだろうと思っているものを口にして中毒を起こしてしまう例も…。中毒を起こすと嘔吐を繰り返す、ぐったりとする、涎が止まらない、痙攣を起こすなどの症状が出ます。
中毒を起こさないためにも、危険性のあるものはわんちゃんの手に届かない場所に置いておきましょう。
●食道や胃腸の損傷
食べたものが食道・胃・腸で詰まったり、粘膜を傷つけ、場合によっては穴を開けてしまうことがあります。食べてしまった物の種類で症状を見ていきましょう。
①ボールや果物の種
ボールや果物の種のように丸くて大きなものは詰まりやすく、嘔吐をしたり、涎をダラダラと垂らすことが多いです。食道で詰まった場合は食べた直後に症状が出ますが、胃や腸で閉塞が起こる場合は症状が出るまで数日間の時間がかかることがあります。
②焼き鳥の串や爪楊枝
焼き鳥の串や爪楊枝のように鋭利なものは、食道や胃腸に刺さったり、場合によっては胃腸を突き抜けて肝臓や肺などに到達し、命に関わることもあります。刺さってしまった場合は吐いたりグッタリとして元気がなくなることが多いです。
③紐や糸
わんちゃんはお気に入りの毛布や飼い主様の服をほぐして食べてしまうことがあります。紐や糸はあまり危険がないように感じてしまいますが、実際はとても危ない誤食の一つです。紐や糸は腸をたぐり寄せた状態で締め付けてしまうことがあり、広い範囲で腸が腐ったり穴が空いたりしてしまう危険性があります。激しく吐いたり、お腹を痛がったりという症状が出ます。
誤食をしたかな?と思ったらまずこれを確認しよう!
実際に「間違って食べてしまったかも!」と思ったら何ができるのでしょうか。落ち着いて次のことを確認しましょう。
●本当に食べた?
動物病院に急いで駆け込んだけれど、後々家から食べたと思っていたものが出てきた…ということはよくあります。特に「食べてしまったかも!」と思っているときは焦っています。誤食した瞬間を見た場合を除いて、落ち着いて周囲に落ちていないか確認しましょう。
●すぐに病院に
決定的に誤食と判断できる場合は、すぐに病院に連れて行きましょう。特に中毒の場合は食べた後すぐに吸収が始まってしまうので、早めの対処が必要です。
オキシドールや塩で吐かせる方法がネットに載っていますが、どちらもわんちゃんに強い負担をかけてしまい安全ではありません。それどころか串のような尖った異物の場合、吐き出そうと大きく身体を動かした弾みで、まだ刺さっていなかった串が刺さってしまう可能性もあります。
ご自身だけで判断するとかえって危険なこともありますので、まずは動物病院に連絡を入れましょう。
病院ではどんな検査をする?手術は必要?
動物病院では誤食をした場合どのような検査や治療が行われるのでしょうか?
●検査
誤食したものを調べたり、詰まっているか確認するためにレントゲンや超音波検査を行います。レントゲンでは金属はしっかりと見えますが、プラスチックや木の素材でできた物は見えにくいことも多く、その場合はCTやバリウム検査が必要になることがあります。中毒症状がある、グッタリとしているなどの場合は、全身の状態を把握するために血液検査が行われます。
●治療
胃の中に異物があり、安全に吐かせることの出来る物であれば薬を使って吐かせます。異物が大きかったり尖っていて安全に吐かせることができない場合は内視鏡や外科手術で異物を取り除きます。
腸に詰まっていると手術が必要になります。方法としては、開腹して取り除く手術が一般的です。胃が腐っていた場合も、その箇所を取り除く手術が行われます。
誤食を防ぐために出来ること
誤食してしまうわんちゃんは、活発で色々なものに興味深々な子が多いです。わんちゃんの性格はなかなか変わらないですが、飼い主様が気をつけることで誤食を防ぐことができます。わんちゃんの飲み込めるサイズのものは、食べ物でなくても手の届かないところに置きましょう。特に留守中は、何をどのくらい食べたか分からなくなってしまうため注意が必要です。散歩中の拾い食いも危険です。
日頃からよく注意して、命に関わる誤食を引き起こさないよう気をつけてあげましょう。
●ライター:いぬかい ゆうみ
獣医師の資格を保有
●編集:うしすけチーム
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