小説 ペンギンがひどい目に遭う話ばかり書いてたら

 ペンギンがひどい目に遭う漫画を書いてたらペンギンがやってきて、
「ペンギンをひどい目に遭わせすぎじゃありませんか」と文句を言われてしまう。
「仕方ないじゃありませんか。この時代、読者は過激なものを求めていますから……」と抗弁すると、
「読者のせいにするのはよくないですよ。最終的にそういうストーリーを書くと決めたのはあなたではありませんか」とぐうの音もでないことを言われる。ペンギンにこんなに詰められることってあるんだ。
「すみません」
「わたしに謝るだけではいけませんよ。ペンギンみんなに謝ってもらいます」
 それでペンギンに引っ張られてワームホールの中に連れて行かれてしまった。
「このワームホールは?」
「多摩川と南極をつなげるワームホールです。わたしたちはこのワームホールを使ってしばしば多摩川を散歩しているのです」
 南極に連れてこられてしまう。人生で一度ぐらいは行ってみたかったし、講◯社にも「ペンギンの話を書くからには取材費で南極に行ったほうがいいんじゃないでしょうか」と提案したことがあるのだけれども、「南極はむりですね」と言われて取材にいくことは叶わなかったのだ。まさかこんな形で南極に行くことになるとは思わなかった。

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