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【12月:臨時】気道異物の除去方法について(喉の詰まり)

こんにちは。おそらくこれが、防災・応急手当ネタの、年内最後の記事かもしれません!

私の会社では、年末の最終営業日の午後に、餅つきをしているんですが・・・餅と言えばやはり喉の詰まりに注意をしなければなりません!

年齢別の統計では、餅のつまりに関しては、基本的に高齢者に多い傾向がありますが、若者や小児に発生しないわけではありません!

また、年末年始の時期は、普段食べているものと違う食事が増える時期です。いつもより豪華な料理、おせち、出店のご飯・・・小さい子どもにとっては、いつもと違うものを食べるという事だけでも、一つのリスクファクターです!

パパさん・ママさん、いつも子どものことをよく見てあげているとは思いますが・・・年末年始は、いつも以上によくよく注意して見てあげておいてくださいね!

そこで今回は、

  〇窒息の怖さ
  〇喉に物が詰まった時の対応フロー
  〇心肺蘇生法

この3つについて、全年齢を対象として、ご案内していきます。


〇窒息の怖さ

窒息の最大の怖さは、症状悪化のスピードが非常に速いということにあります。

喉に物が詰まったときに、気道を完全に塞ぐような形で詰まった場合、おおかた60~90秒程度で意識を失います!今からお話しする気道異物除去の方法は、基本的にこの時間の中で行う手法です。まさに「迷っている暇はない」とはこのことです。

この時間内にうまく気道異物が除去できれば、患者の脳障害などもほぼなく、社会復帰もしやすくなります。逆に言えば、この時間を逃すと、だんだんと心肺停止の方向に向かいます。・・・怖いですよね!!

ちなみに・・・救急車が来るまでの全国平均はおおよそ9分弱です!

また特殊事情として、年末年始は交通事故が頻発して、救急車がそっちに出動していたり・・・交通渋滞に巻き込まれてなかなか到着しなかったり・・・そうなると当然、119番しても助けが来るまでに相当な時間がかかることが予想されます!

いかに初期対応が重要か・・・感じていただけると幸いです。


〇喉に物が詰まった時の対応フロー

①発見する!

喉に物を詰まらせた場合、患者が5歳~大人の場合だとほぼ間違いなく「チョークサイン」という体勢をとってしまいます。万国共通、どの国の人たちでも、この姿勢を取るようです。ある程度の年齢であれば、この仕草でわかります。

(図:東京消防庁より)

ここで気を付けてほしいのは、小さい子(0~5歳程度)です。このぐらいの年齢では、喉に詰まった場合でも、明確なチョークサインが出ない場合があります!なんとなく動きが止まり。そのまま動きが数十秒固まって、ふわっと意識をなくす・・・このような経過を過ごす場合があります。

(図:政府広報オンラインより)

ですので、0歳~5歳程度の子どもは、しっかりと、目くばせをしておいてほしいです!いわずもがな、食事中・おやつ中は特にですよ!

②確認

意思疎通ができる年齢であれば、「喉に詰まったのか?」と確認します。
多くの場合は、ウンウンと頷くような行動がありますので、ここで『あ、喉に物が詰まったんだな』と確認できます。(※なお、気道が完全に塞がっていると、患者は声が全く出ません。)

喉奥に物が見える場合がありますが、100%確実につまんで取れるようなケースを除いて、絶対に指で取ろうとしてはいけません!かえって喉奥に押し込んでしまうケースが多発しています!基本的には、これからご紹介する方法で、気道に詰まった異物の除去を試みます(><)

肝心なのは、この時点で119番をすることです!誰か周りにいれば、その人に119番を指示し、自分は③以降の手技を用いて、異物の除去を試みます!誰もいなければ、通報しながら③以降の手技を用いましょう!

実際のところ、③以降の手技を用いても必ず除去できるという保証はありません。初期の段階で通報するのと、意識を完全に失ってから通報するのとでは、結果的に救急隊の到着に数分以上の開きが出てしまいます!

「通報しながらは無理じゃ・・・」と思いたくなるかもしれませんが、やるんです!やるしかないんです!それぐらい、窒息というものは緊急性があるものだと捉えてください!(><)

③ー1 本人に咳をさせる!

気道異物の除去においては、基本的に『咳』がキーポイントです。患者自身で咳をするか、外部の人間が無理やり咳をさせるか、この2択になります。

患者の意識があって、なおかつ自発的に咳をするように指示できる場合(症状の観点や、年齢の観点から)には、「咳き込んで!!」と指示し、自発的な咳を促します!(※実は、これが一番有効だったりします)

③ー2 無理やり咳をさせる(背部叩打法)

患者の意識はあるが、こちらの指示が通らない場合には、まず「背部叩打法」を試みます。いわゆる、背中を叩くという行為です。

一番のポイントは場所です。叩く位置は、左右の肩甲骨の間の位置を狙います!(みなさん、おそらくもっと下側を叩いている人が多いと思います)

ある程度しっかり叩く必要があるので、衝撃で患者が倒れたりしないよう、もう片方の腕で支えるなりする必要が出てきます。また、相手が子どもであったり、逆に大柄な男性であったり・・・患者と救護者の間に明らかな対格差がある場合は、姿勢も工夫する必要が出てきます。小児(おおよそ1歳~6歳未満)の体格であれば、大人に準じてやってもらって構いませんが、乳児(おおよそ1歳未満)の場合は特に工夫が必要です。動画のやり方を参考にされてください!(^^)

基本的には、この手法を、詰まったものが出てくるまで実施し続けることになります。叩く際、患者は意識がまだあることが前提ですので、「叩くぞー!」等の声掛けを行いながら、患者の様子を観察しながら実施してくださいね!

③ー3 無理やり咳をさせる(ハイムリック法、腹部突き上げ法とも)(注意!)

上の「背部叩打法」を繰り返してもダメだった場合に考えるべき手法ですが、はっきり言って、きちんと講習を受けた人以外にはお勧めできません!正しいやり方で実施できたとしても、内臓損傷等のリスクが大きい手法になりますし、乳児や妊産婦、高度肥満者等への禁忌もあったりする手法です。(※私も正直、可能な限りやりたくない技です・・・)

但し、本当にどうしようもない時の手段の一つではあります。ですので、今回は動画だけリンクしておきます。気になった方は、きちんと救命講習をうけて、手技を習っておいてくださいね♪

〇意識を失ったら・・・心肺蘇生法へ

上記の手法を試みている最中に、患者が意識を失ったら・・・その時は、気道異物の除去を直ちにあきらめ、心肺蘇生法のプロセスを踏むことになります!

意識を失った場合の優先順位は、『心肺蘇生法>気道異物除去法』です!

本来は、心肺蘇生のところだけで、記事を10本は書けるぐらいお伝えしたい内容があるのですが、それでは年始に間に合いませんので・・・今回は東京消防庁の動画をお借りします!割とシンプルに分かりやすい動画ですので、ぜひご覧ください!
(※心肺蘇生&AED、人工呼吸については、来年もっと詳しく書いた記事をアップしたいと思います!)

※なお、上の動画ではいきなり胸骨圧迫を開始しています。気道異物除去の最中に意識を失った場合であればこれでよいのですが、道端でいきなり倒れた(倒れていた)人を介抱する場合では、先に、正常な呼吸の有無の確認を行うという点がありますので、ご注意ください!

〇最後に

窒息の怖さと、対処方法、万一意識を失った場合の心肺蘇生について、いくらかイメージが湧きましたでしょうか?この記事は、あくまで簡単な紹介という性質のものになります。

大事なことだなーと感じていただけた方はぜひ、救命講習できちんと手技やフローを学んでいただけるとよろしいかと思います!

下に、過去の記事で関連するものを貼っておきますので、お時間がある方はぜひ覗いていってくださいね!

                        ・・・おわり

========    ここからはお知らせ!    ========

いつもは、子どもにまつわる防災&応急手当に関する記事を、月1(+臨時で不定期)で書いています!どれも、忙しいパパ・ママ向けの、サラッとライトな内容なので、ぜひ一緒に見ていってもらえると嬉しいです(^^)下に、過去の記事をマガジン形式で纏めましたので、ぜひご覧ください!

また、私の日々思っていることや、好きなことなど、私がどんなやつなのか、どんな考えをもっているやつなのかが分かりやすい記事については、下の【ただのつぶやき】シリーズが、わかりやすいかもしれません。少しでも「パパ防災士:牛尾崇彦」個人に興味を持たれた方は、覗いていただけると嬉しいです!

=======     よろしくお願いします♪    =======

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