見出し画像

金利が上がると株が下がる?

今日の1万円と一年後の10万円ならあなたはどちらをとりますか。

アメリカ金利の上昇で株式市場にも影響がでています。金利が上昇するとなぜ株が下がるかということを学術的、現実的に解説したいと思います。

冒頭の質問ですが非常に難しいですね。1年後に10万円をくれるだろう信頼できる人なら10万円を選ぶと思いますが、たいていの方は今日の1万円を選ぶのではないかと思います。

証券市場(株や債券など)、不動産の世界では実は同じことが計算されて行われています。それが現在価値の考え方です。n年後の〇〇円は現在の価値だといくらになる?ということです。現在価値=〇〇円/(1+r)^nという式で表記します。(rは金利)

冒頭の質問で逆算すると現在価値1万円=10万円/(1+r)^1になりますからこれを解いてr=9つまり1000%の利回りが必要になります。現在の金利>1000%であれば冒頭の質問は1万円を貰ったほうがよいのですが、そうでないなら1年後の10万円を貰ったほうが良いことになります。私を含めて1万円を選んだあなたは学術的には不正解です。

つまり金利が上昇すると現在価値(現在株価)を算定するための割引率(1+r)が上昇しますから現在価値が下がることになります。これが株式投資が難しく、かつ面白い要因なのですが、悩ましいのが銘柄によってn年後がバラバラということです。

先ほどの式、現在価値=〇〇円/(1+r)^nの〇〇円に関しては何となく各投資家の気持ちの中にはあるのですが、グロース株は10年後を指標とするといった教科書的なn年後の会社のあるべき価値という決まったものがありません。PERが高いことからもグロース株ほどn年後の数字が大きくなり、金利があがることで割引率が上昇しますから現在株価が下がることになります。これが金利があがると特ににキラキラグロースが売られる一つ目の理由です。

二点目、例えばPER20の企業は、20年間の利益累計が現在の株価まで積みあがるということを意味します。PERの逆数をとってこれを益利回りと呼びます。(1/20この場合5%)

この考えは株式を債券のように利回りとして考えるやり方になりますので、ライバルは債券の利回り、つまり金利になります。PER100倍のキラキラグロース株は益利回りが1%です。債券の利回りが1%を超えてきたら、リスクの高い株式での運用で1%とローリスクの債券での1%の運用ならどちらを選びますか?合理的に考えたら債券での運用になると思います。これが金利が上昇すると株が下がることの二つ目の理由です。

三点目、金利が上昇するということは金利をつけてでもお金を集めたいという母体があるということになります。つまりお金の必要価値が上昇しているということですから需要>供給ということになります。世の中に流通しているお金が不足、つまり株式市場に流れるお金の量も減ることで株式市場にも影響があります。日本はこれを日銀が買いオペ、売りオペ、誘導金利等の政策でコントロールしています。

以上が簡単ではありますが金利が上昇すると株式市場が下落するメカニズムになります。

記事がためになった、また次を読みたいなと思って頂けたなら、サポートをお願いします。ヤル気に繋がり記事の更新も増えちゃうこと間違いなしです。