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【詩】鯨骨生物群集現代歌

 この星にはたくさんの生命がいる
 種によって生きられる時間は異なれど 命には必ず終わりがやってくる
 命の始まりの場所と終わりの場所は必ずしも同じとは限らない
 しかし 海で生まれた者の多くは海へと還る

 光の中で生きた巨獣は 命尽き果てると深き闇の底へと堕ちてゆく
 これは一つ悲しみ これは一つの喜び
 この星の底へと堕ちる巨獣の亡骸を 空を知らない闇の住人達は待っていた
 飢えた闇の住人達は天からの恵みに喰らい付く

 肉を喰う者、骨を喰う者、元素を喰らう者
 どこからか現れては消える闇の住人達で いつしか巨獣の亡骸は大賑わい
巨獣の亡骸の上で新たな命が生まれ 消え 喰い 喰われ 小さな生態系が創られる
 この巨獣の亡骸に依存した特殊な世界を ヒトは『鯨骨生物群集』と呼ぶ

 しかし この世界もまた永遠ではない
 闇の住人達が巨獣の亡骸を喰い尽くした時 この世界は終わる
 まるで苔に覆われた幻想世界の竜の亡骸のように
 星の一部へと還る日を 巨獣の亡骸は永い永い時間静かに待っている

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 エモい

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