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『百年の孤独』 メモ的感想

すこし時間ができたので、久しぶりにガルシア=マルケスの『百年の孤独』を再読。

『百年の孤独』は、やっぱり相変わらず面白くて、再読とはいうものの、とても新鮮な気持ちで読めました。

むしろ、初めて読んだ大学生の時は(そもそもの読書体験の少なさもあって)ストーリーよりも、「語りそのもの」に呑まれてしまっていたので、今回改めて読んだ時に、「あれ?こんなエピソードもあったのか!!」というような発見もあったり。

純粋に、物語の流れとしての面白さにも触れることが出来た再読だったと思います。
冒頭の家系図を見に戻らなくても、語りがわかるようになったのも嬉しかった!謎の成長かも知れません(笑)

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物語のなかの各時代で、個別的な出来事(それは歴史的なことであったり個人的なことであったりする)が色々起こってはいくのだけど、何か根底的なところでは一貫した反復がおこっている感じ。

円環する無常感、虚しさ、そしてどこかぐっと引き戻されてしまいそうになる懐かしさのようなものも漂っていたり…。そんなの全部をひっくるめての「孤独」ということなのかなあ…と。

何かふと、自分にとって大切だったなあ〜と思えるような時間を、思い出したりしたときに感じる「切なさ」に似た孤独感というか。
独りぼっちで寂しいって感覚とは、またちょっと異質な孤独って、あると思うんだよなあ。なんて。

色々なことが記述される百年の中で、反復しつづけているものは孤独でしかないのかも知れない。
でも、それって特段不幸なことでも無いのかも。

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各登場人物の、死に際のリアルさだったりが、またなんというか、すごく印象深くて。
いきなりシーツを持ったまま、宙に浮いてそのまま昇天しちゃうみたいな、一見突拍子もないような場面もあるんですが、でもそれって、こういう風に改めて説明する時には突拍子がないように思えるけれど、
実際に小説を読みながら、物語のなかでこのエピソードに触れると、なぜかそこにちゃんと現実感があるのです。

地に足が着いている感じはしているのに、その「地」が、あっという間に何か「違った現実」になっている感じ。
でもそれは、やっぱりちゃんと「現実」で。決して「ファンタジー」という感じではありません。

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初読の時には特に、恋煩いで自殺した、〈ピエトロ・クレスピ〉というイタリア人の技師のエピソードが印象に残っていたのですが。

今回は、双子のセグンド兄弟が同時に死んだあと、どっちがどっちの柩なのか分からなくなって、結局間違られたまま埋められちゃった…みたいなのが、もうユーモラスなのに悲しくて…。
なにか普通の悲哀とは違う種類の悲哀を感じてしまった気がします。

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なんか、本当に今日のは自分用の感想文(読書備忘録)って感じですが…。いずれまた、ちゃんと書評っぽくも書けたら良いなあ。

(と思う一方、もう色んな人が色んな形で論じている作品だから、あえて「評する」というよりはこうやって、その都度その都度印象に残ったところをメモ的に残していく方が、僕のこの作品に対する態度としては合っているのかも…とも思ったり。)


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