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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2020 Winter Selection(1月13日〜2月23日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

2010年代が終わり、2020年代が始まりました。「usen for Cafe Apres-midi」のファースト・セレクションは、冬の街並みをハートウォームに彩ることができたらという思いをこめながら、メロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に計26時間分を選曲しています。
Twilight-timeの特集は月〜日を通して、2019年のベスト・トラック500曲(曲目リストはカフェ・アプレミディHPをご覧ください)をシャッフル・プレイ放送で。月〜木のBrunch-timeは12/4にリリースされた僕の最新コンピ2枚からもたっぷりフィーチャーし、選曲の仕上げの時期にアメリカとイランが武力衝突の危機を迎えていたので、最後をルーファス・ウェインライトの「World War III」〜「World War III」(アコースティック・ヴァージョン)〜「Sword Of Damocles」(トランプに向けて書かれた曲)〜「Going To A Town」(イラク戦争に反対して書かれた曲)で締めくくっています。
もちろんニュー・アライヴァルも昨年末の新譜中心ですが充実していて(欧米のリリースが控えめになる年末年始は、相対的に比重を増す南米勢が毎年活躍してくれますね)、特に気に入った26作のジャケットを掲載しておきますので、ぜひその中身の素晴らしさにも触れていただけたら嬉しいです。特にSunday Service Choirの『Jesus Is Born』は、ある意味でカニエ・ウェスト「Jesus Is King」より2019年を象徴していると思いますし(ソウル・II・ソウル「Back To Life」やSWV「Weak」もゴスペル・カヴァー)、故マック・ミラーの大名盤『Swimming』(2018年のマイ・ベスト・アルバム)と対をなす遺作『Circles』からの先行公開曲「Good News」は、彼の声を聴いただけで泣けてしまいました。
2020年の幕開きに我が家で最も流れていたのは、敢えて“フレンチ・フリー・ソウル”と呼びたいMaë Defaysの「Balcony」。重苦しい時代の空気の中で、爽やかな甘い風を届けてくれたこの曲(MVも素晴らしすぎて、どうしたってコリーヌ・ベイリー・レイを思わずにいられないキュートさ)を筆頭に、曲単位でのフェイヴァリットも数多くピックアップしていますので、じっくりと楽しんでください。

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V.A.『Free Soul Flying Dutchman』
V.A.『Free Soul Love Island』
Mac Miller『Circles』
Sunday Service Choir『Jesus Is Born』
Maë Defays「Balcony」
The Marias「Out For The Night(Live)」
Kate Bollinger「No Other Like You」
Joe James Lewis「Day Dreaming」
Jitwam「Enchante」
BADBADNOTGOOD feat. Jonah Yano「Key To Love(Is Understanding)」
Dog Ear『Where We Left Off – EP』
IAMDDB『Kare Package – EP』
Free Nationals『Free Nationals』
Show Dem Camp『The Palmwine Express』
Nappy Nina『Dumb Doubt』
KAYTRANADA『BUBBA』
Moses Sumney『græ』
OSHUN『bittersweet, Vol.1(DELUX)』
Masok『The Bigger The Risk』
Rejoicer『Spiritual Sleaze』
Natty Reeves『Condition』
Ryan Lerman『Noisy Feelings』
Marquis Hill『Love Tape』
Carmen Lundy『Modern Ancestors』
Singularlugar『Travessia』
Dolores Cobach『Plumaje』
Beatriz Tomaz & Ricardo Radik『D’Aguera』
Marcos Valle『Cinzento』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~2:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

Whitneyの『Forever Turned Around』は、春をかなり待ち遠しく思う心情にそっと寄り添ってくれる音楽。というか気分はもうすでに春のような暖かい音楽。懐かしいけど他にはない新しさも感じるシカゴ発のフォーキー・メロウなバンドのセカンド・アルバム。全曲好きです。

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Whitney『Forever Turned Around』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

ポーランドのジャズ・ピアニスト、スワヴェク・ヤスクウケの新たなライヴ・アルバムが素晴らしい。彼の住む町ソポトの歴史博物館の野外庭園にて行われたソロ・コンサートの実況録音で、共にあるのは小鳥のさえずりとカモメの鳴き声、または子供たちのはしゃぐ声。その全てが天上の音楽とでも言いたくなる。本セレクションはこの『Park.Live』の音像を通奏低音としながら、2019年によく聴いていた楽曲をもう一度あらためて振り返り構成した。2020年も、そして2020年代も、貴方に音楽が溢れますように。

2020wtr_中村

Slawek Jaskulke『Park.Live』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

新元号と共に20年代を迎え、気持ちを新たに臨んだウィンター・セレクション。今年も素敵な音楽との出会いをリスナーの皆さんと分かち合えたらと思っています。

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Ana Frango Eletrico『Little Electric Chicken Heart』
Ema Jean『Room For Fascination』
Madison McFerrin『You + I』
Sino Msolo『Mamela』
Natty Reeves『Condition』
Winston Surfshirt『Apple Crumble』
Please Wait『Black & White EP』
Noah Slee『Twice』
MMYYKK『ElectroSoul EP』
KAYTRANADA『BUBBA』
Free Nationals『Free Nationals』
BADBADNOTGOOD「Key To Love (Is Understanding) 」
Orpheus『Visions』
The Rookies『Stay Weird』
FKJ『Ylang Ylang』
Will Samson『Paralanguage』
Boerd『Misplaced』
David Allred『Alone On Friendship Island』
Arthur Russell『Iowa Dream』
Hajo Weber & Ulrich Ingenbold『Winterreise』
Desolate『Exceptionalism』
Giriu Dvasios『Visi』
Guy Buttery & Kanada Narahari『Nāḍī』
Daniel Schmidt And The Berkeley Gamelan『Abies Firma』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

いよいよオリンピック・イヤーの2020年。皆様ご機嫌麗しゅうございますか。今年は特に首都東京においては夏にかけてさらなる賑わいが期待され、莫大な経済効果を生むことでしょう。オリンピック開催に賛否両論はあるものの、開催されると決まったからには成功裡に終わってほしいものです。
全国的に暖冬とはいえ冬も盛り、分厚いコートに身を包みお過ごしのことでしょう。この季節には暖かい木管系のジャズやアコースティック系の南米音楽が耳にやさしく響いてくるのは間違いのないところですが、私がこの季節の定番的選曲として長年プレイリストに上げている2曲をお教えしたいと思います。
まずはヤコブ・カールソン・スリーの「The Big Picture」。コンテンポラリー系モード・ジャズと評される、スウェーデンの若手No.1ピアニストが率いるトリオです。ソングライティングの巧みさやシーケンサーによる「色付け」が絶妙なことに加えて、やはり彼の身体に宿る叙情性が本アルバムの肝ではないかと考えます。寒い冬の朝、さっと射しこむ光線に春の兆しを見つけたときの喜びは「The Big Picture」からシゼル・ストームの「Stolen Years」のイントロへと繋がる淡い色彩と同質なのではないでしょうか。シゼル・ストームはデンマークの出身。彼女の声はもちろん魅力的ですが、このアルバムでは大御所ピアニストのラーシュ・ヤンソンによる編曲が本当に素晴らしい! なぜこんなコード進行とアレンジを思いつくのか……。専門的なことはさておき、とにかくこの2曲が登場する19時台の選曲を聴いてみてください。きっと晩冬から初春へと繋がる「あの感じ」が表現できているのではと思います。

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Jacob Karlzon 3『The Big Picture』
Sidsel Storm『Swedish Lullaby』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



髙木慶太 Keita Takagi

カフェ・アプレミディの実店舗の雰囲気をいつでもどこでも味わっていただこうと始まったのが本チャンネル。新しい10年に向けてこの原点を忘れず、より強く意識したい。追うのは新しさではなく新鮮さ。

2020wtr_髙木

Lisa Ekdahl『Give Me That Slow Knowing Smile』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

あけましておめでとうございます。本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。
大好きなOle Børudが2019年に出した新譜が年間ベストにうっかり漏れてしまい痛恨の思いです(泣)。
現行AORミュージシャンで、ここまで毎回ファンを裏切らない人を僕は知りません。当然今作もブレないサウンドの安定感に安堵しました。
今作こそアナログ盤出して下さいと神社に詣でたくなる最高な傑作でございます!

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Ole Børud『Outside The Limit』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

新年、あけましておめでとうございます。
2020年最初となるWinter Selectionでは、「usen for Cafe Apres-midi」ではすでに何度かご紹介させていただいているUKのシンガー・ソングライター、ブルーノ・メジャーの「Nothing」をピックアップさせていただきます。オープニングにも選ばせていただいた本曲、実は先にお届けした2019年Best Selectionにも最後まで同年にリリースされた彼の「Old Fashioned」とどちらをセレクトするか迷ったほど、個人的に気に入っている曲のひとつです。とにかく彼の優しいヴォーカルが印象的な美しい作品です。ちなみにブルーノ・メジャーは初春に待望の来日公演が決定しています。興味のある方はぜひライヴ会場にも足を運んでいただければと思います。
オリンピック・イヤーでもある2020年は華やかな一年になりそうですが、本年も微力ながら皆様の生活が少しでも彩り豊かなものになるよう心を込めて選曲してまいりますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

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Bruno Major「Nothing」

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

皆様あけましておめでとうございます。
昨年は、ヒット・チャートを含み、ミニマルなロウ・ビートが心地よく、選曲でもDJでも外せませんでした。
文明の良し悪しですが、関連及びヒント的な楽曲が次から次へなだれ込んでくるため、雁字搦めにさせられるほど、同じようなサウンド傾向になりがち。
ですので、今年は、我が人生回帰。『Free Soul Impressions』を買った頃、自分なりのフリー・ソウルを探っていた精神にて選曲。ということで、私の生涯の1曲でもあるChicago『III』に収録されている「Happy 'Cause I'm Going Home」。素晴らしいギター・カッティングとスキャットだけのミディアムなフォーキー・ロック。最近レゲエ・ヴァージョンの7インチの存在を知ってしまい探し続けております(見つかりません)。
さらに、そんな生々しいバンド・サウンドを。当時まだクラブにCDJが導入されてない頃にCDウォークマンでプレイしてたぐらい素晴らしいJon Lucienのセルフ・カヴァー「Would You Believe In Me」。かけると未だによく訊かれる、アナログになってないCD名曲を混じえ、幅広い年代から選曲。
今年は、生々しい楽曲を探る予定です。もちろん新譜を軸に。
今年もよろしくお願いします。

2020wtr_渡辺

Chicago『III』
Jon Lucien『Mother Nature's Son』
V.A.『Free Soul Impressions』
Breakwater『Breakwater』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

2020 Winter Selectionのベストワンには、シカゴのフォーク・ロック・バンド、Whitneyが2019年にリリースしたセカンド・アルバム『Forever Turned Around』をセレクトしました。カントリーやフォーク、ソウルなどをベースに、ギター、ドラム、キーボードを中心に構成された、60~70年代的サウンドを彷彿とさせる、素朴で味わい深いフォーキー&メロウな一枚。シンプルなサウンドを主調に、トランペット、スライド・ギター、ストリングスが絶妙なスパイスとしてちりばめられており、ノスタルジックな聴き心地でありながらも、どの楽曲も決して古臭さを感じさせることなく、フレッシュな輝きを放っています。ジュリアンの透き通るようなハイトーン・ヴォイスと、マックスのまろやかに響くメロディアスなギターが、心を懐かしい記憶の風景へと導いてくれるよう。はじめて聴いたはずなのに、ずっと昔から繰り返し聴き続けてきた、お気に入りのレコードのように、耳に心にすっと馴染む、肩の力の抜けたフレンドリーな作品です。寒い冬の休日、ブランケットにくるまって、温かな飲み物とともに味わいたい、ゆったりリラックスできるアルバム。
2020年も「usen for Cafe Apres-midi」を聴いてくださる皆さまの、より良き日々に寄り添えるような、心が晴れやかになる音楽を、ひとつひとつ丁寧に紡いでゆけたらと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします!

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Whitney『Forever Turned Around』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

いよいよ20年代に突入して、どんなベスト・ソングやベスト・アルバムに出会えるのか、今から楽しみで仕方ありません。
今年も「usen for Cafe Apres-midi」をどうぞご贔屓ください。
今回ご紹介するのは、近年世界中のDJやビート・メイカーによるナイスなトラックが見逃せないローファイ・ヒップホップ。
アメリカ西海岸で活動するFreddie Joachimが昨年ドイツ発の大好きなレーベル、Jakartaから発表したアルバム『Beyond The Sea Of Trees』から「Winding Road」を。
フランス・グルノーブルで活動するL'indécisが昨年オランダのレーベルChillhopから発表したアルバム『Second Wind』から「Overcome」を。
ともに冬の風景に溶け合い、ほどよく空間を温めてくれるようなジャジーでチルメロウな心地のよいサウンドで、アルバム全体もBGMに最適なのでぜひ聴いてみてください。

2020wtr_小林

Freddie Joachim『Beyond The Sea Of Trees』
L'indécis『Second Wind』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

新春第1弾となる今回は、Winter Selectionの選曲の軸となった2020年代の活躍に注目していきたい進化系R&Bの新鋭アーティストを中心に紹介します。その中からまず最初に紹介するのは、ブリティッシュR&B好盤のフィーチャリング・クレジットでおなじみの歌姫Cleo Sol。彼女自身の名義で出ている最新作から洗練されたピアノと絡み合うコーラス・ラインが美しい「Sweet Blue」と、こちらはバック・ナンバーですが「フライング・ハイ」的ボッサのリム・ショットから生まれビートとピアノの和音のセンスが素晴らしかった「Why Don't You」の2曲をまずは選びました。続いては、クロスオーヴァー全盛期のメロウ・フュージョンへのオマージュを感じるギターのカッティングが印象に残ったRayana Jayの「Somewhere Up There」を。若干25歳という彼女のチームが創り出す今後のサウンドに注目です。最後に紹介するSunni Colonは、音楽好きのツボをついたサウンド・センスが素晴らしいオルタナティヴR&Bの注目株。タイトル名の期待を裏切らない超流を聴かせる「Supernova」と、70年代の名曲から切り出したかのようなイントロのベースとギターのグルーヴのループが延々と繰り出されるグルーヴィーな「Mornin Dew」を選びました。
今年は、より一層、文脈や先入観を排除して、音脈とセンスで感じとった世界の現代進行形サウンドをいち早くお届けしますので、何卒よろしくお願いします。

2020wtr_野村

Cleo Sol「Sweet Blue」
Cleo Sol『Winter Songs』
Rayana Jay「Somewhere Up There」
Sunni Colon「Supernova」

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

肌寒いロンドンの街を彷徨うようなシンガー・ソングライター、ジョー・ジェイムス・ルイスの気怠い歌声。「Day Dreaming」のタイトル通りにエレクトリック・ピアノがたゆたう白昼夢のようなメロウ・トラックは、今にも雨に変わりそうな心模様を描くよう。

2020wtr_吉本

Joe James Lewis「Day Dreaming」

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

早いもので時代は2020年に突入しました。当たり前ですが2000年に入ってもう20年も経ったということです。20年前というと「Y2K問題」とも呼ばれた西暦2000年になるとコンピュータが誤作動する可能性があるとされた「2000年問題」というものがありましたが、自分はマスメディアで騒がれていたそんなニュースがまるで昨日の出来事のように感じてしまいます。しかし今の若い人の中には、「2000年問題」と聞いても何のことだかわからない人がたくさんいるのでしょうね(そりゃそうだ・泣)。

さて、新たな年を迎えての一発目となる新春選曲をご紹介しますが、今回も22時からの2時間はニュー・ディスカヴァリーの素敵な作品を豊富に揃えたラインナップになっております。
まずは2018年のベスト・セレクションでピックアップしていたスリーピング・アット・ラストの「I'll Keep You Safe」のインストゥルメンタル・ナンバーを手に入れたので、それをイントロに配し、オーストラリアのシンガー・ソングライター、ガイ・ブラウンのプロジェクト、Mammalsが昨年リリースした中性的な歌声を柔らかなグルーヴで包み込んだオーガニック・ポップなニュー・シングル「Calm Down」でスタート。この作品は昨年のベスト・セレクション作成後に手に入れたのですが、手に入れるのがもう少し早かったら間違いなくベスト・セレクション入りを果たしていたことでしょう。続いて添田くんもクリスマス選曲で取り上げていた、サウス・ロンドン出身のシンガー・ソングライター、マット・マルチーズのニュー・アルバム『Krystal』からのシングル曲「Rom-Com Gone Wrong」をセレクト。この曲のPVはイギリスの地味でちょっと変わった男子高校生の恋や両親との仲に苦悩する姿を描いた、2010年のイギリス映画『サブマリン』で初の主演を演じたクレイグ・ロバーツが監督を務めたことで話題になっていましたね。そしてビタースウィートなドリーム・ポップの流れで、カリフォルニア州バーバンク出身のアーティスト、ジョニー・ゴスの昨年リリースされたアルバム『Demons』収録の「Bad Dream」や、カナダはオンタリオ州で活動しているJaguar Sun(以前このアーティストを取り上げたときにも書きましたが、カタカナ表記にするとどうしても千葉のスーパースターのあのお方を想像してしまうので今回も英語表記でご紹介・笑)の「Cold Wind」、アメリカはブルーミントンを拠点に活動する4ピース・バンド、HoopsのメンバーでもあるKevin Krauterが昨年リリースしたソロ・アルバム『Toss Up』収録の「Barely On My Mind」などをピックアップ。数曲センティメンタルな作品を続けたのでここでヴァージニア州リッチモンドを拠点に活躍するバンド、キャンプ・ハワードの昨年10月にリリースされたニュー・アルバム『Cañón』収録の「Swimming At Night」や、シカゴ出身のサイケ・ポップ・バンド Divino Niñoの最新アルバム『Foam』収録曲の「Plastic Love」をセレクトして、ハッピーなテイストを注入します。続いてアムステルダム出身で現在はロサンゼルスで活動しているRutger van Woudenbergのソロ・プロジェクト、ザ・ニコラスの「Call Me Back」や、アメリカはウィスコンシン州ケノーシャ出身のL.マーティンの「All The Way Tonight」などのローファイ風なドリーム・ポップをセレクトし、先に取り上げたマット・マルチーズのニュー・アルバム『Krystal』から浮遊感のあるドリーミーなタイトル曲「Krystal」もピックアップ。ヴァージニア州シャーロッツヴィル出身のシンガー・ソングライター Kate Bollingerの最新シングル「No Other Like You」や、元チェアリフトという肩書も今や不要なほどにソロでのキャリアが充実しているキャロライン・ポラチェックの「Hit Me Where It Hurts」、オーストラリアはベンディゴ出身のプロデューサー兼シンガー・ソングライターの Fae Scottによるプロジェクト、Yergurlの「Hey Ya」、そしてウエスト・ロンドンのR&Bシンガー、ホープ・タラの「D.T.M.」などの女性アーティストによるメロウでセンティメンタルな楽曲を繋げてディナータイム前半は終わります。後半に繋げるインタールードにオハイオ州クリーヴランドを拠点に活動する電子音響バンド、エメラルズのギタリストであるマーク・マグワイヤの2011年に制作されたソロ・アルバムのタイトル・ソング「Get Lost」を選び、後半は選曲のテイストをアコースティックな雰囲気にシフト・チェンジします。まずは昨年10月にサブ・ポップのシングルズ・クラブの一環としてリリースされたジュリアン・ベイカーのニュー・シングル「Tokyo」をセレクト。続いてカリフォルニア出身の3姉妹で結成されたインディー・ロック・バンド、ハイムの昨年のホリデイ・シーズンに合わせてリリースされた神聖で幽玄な響きを放つ「Hallelujah」や、親友からレイプ被害を告白された体験をもとに書かれたオーストラリア生まれのシンガー・ソングライター、ステラ・ドネリーの「Boys Will Be Boys」、そして以前の選曲でも取り上げた、音楽の他にもアートなどいろいろな分野で作品を発表しているSomeoneと名乗り素性を明らかにしない謎めいた女性アーティストによる、フランスのアヴァン・ポップ・デュオ、エールがソフィア・コッポラの監督デビューを飾った映画『ヴァージン・スーサイズ』 のために提供したサウンドトラックに収録されていた「Playground Love」のカヴァー作品など、儚い響きを放つアコースティック・ナンバーを続けます。続いてテネシー州チャタヌーガ出身のアーティスト、El Rockoが昨年リリースしたセンティメンタル・ドリーム・ポップなデビュー曲「Half The Day」や、マイアミ出身の新人女性シンガー・ソングライター、メイのアンニュイなウィスパー・ヴォイスがラウンジーなボサノヴァの調べに優しく絡む「Tú」をアクセントに、無機質なのにどこか暖かいエレクトロニクスのリズムにこれまた柔らかなウィスパー・ヴォイスが優しく寄り添うカナダはモントリオール出身のシンガー・ソングライター Helena Deland の「Claudion」や、オーストラリアはブリスベンで活動する女性R&BアーティストFelivandの「Waitin' For You」、アメリカはニューヨーク州北西部にあるロチェスターのプロデューサー、ジョシュ・オウグスティンの「Midtown」、中国系カナダ人ミュージシャンのScott Zhangによるモンスーンが昨年リリースしたデビューEP『Tradition』からの「Outta My Mind」などの、R&Bテイストの柔らかなグルーヴを持つ作品を続けてピックアップ。そしてシアトルを拠点にする Paul Frunzi と Austin Weale から成るナイト・ハイクスの昨年リリースしたデビュー・アルバム『Chalice』収録のドリーム・ポップな「Avila」を挟み、Someoneがカナダ西部のアルバータ州にあるカルガリー出身のシンガー・ソングライターであり写真家でもあるベンジャミン・ロングマンを迎え、昨年心臓発作により58歳という若さで逝去したダニエル・ジョンストンを追悼して制作した「True Love Will Find You In The End」のカヴァーと、オーストラリアのインディー・ポップ・デュオ、ザ・マニー・ウォーの消え入りそうな蝋燭の灯りのように儚い「Wait For You」をセレクト。ディナータイムの最後はもう一度メイの作品からキュートなダンス・ナンバー「Moody」と、ロサンゼルスを拠点に活動するジョナサンとマイケルのローゼン兄弟からなるConesの「Moonstone」をピックアップして選曲を締めくくります。

24時からのミッドナイト・スペシャルは、過去にブライアン・ウィルソン関連の作品を集めて何度か特集を組んだことがあるのですが、今回はそこからもう少し深く踏み込んでゲイリー・アッシャーとカート・ベッチャー周辺の作品を中心に、ソフト・ロックの名曲などもちりばめて2時間の特集を組んでみました。このチャンネルのリスナーは音楽マニアの方も多いと思われるので、ゲイリー・アッシャーとカート・ベッチャーについては詳しく説明する必要はないかもしれませんが、簡単に彼らを紹介すると、ゲイリー・アッシャーは1962年当時、隣に住んでいたブライアン・ウィルソンと出会うことによって、後にビーチ・ボーイズが発表する「Lonely Sea」という作品を共作します。その曲はそれまでのブライアン・ウィルソンの作品とは違ったテイストのものに仕上がり、感銘を受けたブライアンはその後も「In My Room」「409」「County Fair」といった名曲を共作しました。その後ビーチ・ボーイズが有名になると共に、ゲイリー・アッシャーも音楽業界の目に留まることになり、プロデューサーとしてサーフィン/ホット・ロッド関連の作品を大量にプロデュースするようになりました。そしてその過程でアソシエイションやトミー・ロウとの仕事で複雑なヴォーカル・アレンジを提供し、コーラス・ハーモニーの音楽的才能を発揮していたカート・ベッチャーと出会いサジタリアスを結成し、その後今では『Roger Nichols And The Small Circle Of Friends』と並びソフト・ロックの金字塔と称されるミレニアムの『Begin』が誕生するのです。

さてその特集ですが、まずセレクションのイントロに持ってきたのが、2001年にようやく陽の目を見た、1970年にレコーディングされていながらお蔵入りになっていたゲイリー・アッシャーのコンダクトによるビーチ・ボーイズの作品をシンフォニックにアレンジしたインストゥルメンタル・ナンバー作品集『A Symphonic Salute To A Great American Songwriter Brian Wilson』より「In My Room」。そしてこちらもゲイリー・アッシャーによって1971年に制作に着手されるものの、2000年にマスター・テープが発掘されるまでその存在を全くと言っていいほど知られていなかった、「疑惑の影を超えて」と題された哲学的な物語をもとに構成された未完のコンセプト・アルバム『Beyond A Shadow Of Doubt』より、おとぎ話のように幻想的な「Ships」をセレクト。この発掘アルバムは長門芳郎さんを中心としたドリームズヴィル・レーベルのスタッフの素晴らしい仕事により、残された素材を使ってなんとかまとまった形になってリリースに漕ぎ着けられましたが、この日本だけでリリースされたCDには、元の原稿が50ページ近くもあったと言われる「ビヨンド・ザ・シャドウ・オブ・ダウト~疑惑の影を超えて」と題されたゲイリー・アッシャーのペンによる小説も丁寧に和訳され完全収録されており、またボーナス・トラックでカート・ベッチャーがヴォーカルを担当しているナンバーも入っているなど、本当に至れり尽くせりな素晴らしいものとなっています。そして次にセレクトしたのが今回の特集の核となるミレニアムの『Begin』から、オリジナル・アナログ盤ではB面の1曲目に収録され、シングル・カットもされた、アルバムの中核を担う「It’s You」。この曲はコーネリアスの作品の中で一番ブライアン・ウィルソン色が強い『Fantasma』に収録の「Thank You For The Music」にフレーズが引用されていることでも知られていますね。そしてこの力強い作品に繋げたのは1967年にヒットしたアソシエイションの「Never My Love」の作者として有名な、Addrisi Brothers として知られるDon And Dick Addresiというソングライター・チームのペンによる「Take My Hand」という作品をトニー・ハッチのプロデュースのもと、60年代にブリティッシュ・ポップ界隈で活躍したハーモニー・グループのモンタナスが1967年にシングルとしてリリースした作品です。この躍動感のある元祖パワー・ポップ的な作品を選んだ理由は、ミレニアムのメンバーであるリー・マロリーが、グループ参加以前にソロ・アーティスト名義で同じ曲をリリースしていたからでもあります。この躍動感のある流れでミレニアムの前身バンドであるボールルームの「If You Only Knew」に繋げ、以下、サジタリアスの「Lonely Girl」、ミレニアム「Sing To Me」などのビートが効いた作品を続けます。そして2002年にリリースされたカート・ベッチャーの未発表作品集『Misty Mirage』に収録されたサジタリアス「You Know I've Found A Way」のカート・ベッチャー・ヴァージョンを挟み、もう一人の奇才でありバーバンク・サウンドの立役者であるヴァン・ダイク・パークスがアレンジを手がけ、そのバーバンク・サウンドの記念すべき第1弾作品として1966年にリリースされたモジョ・メンの「Sit Down, I Think I Love You」もセレクト。このようにゲイリー・アッシャーやカート・ベッチャーとは直接関係ない作品では他に、ビーチ・ボーイズ「In My Room」のアンサー・ソングのような響きを放つ、サークルの傑作セカンド・アルバム『Neon』収録の「Two Rooms」、バーバンク・サウンドを象徴する代表バンド、ハーパース・ビザールの「Look To The Rainbow」とロジャー・ニコルス作品の名曲カヴァー「Drifter」、そして高度なハーモニー・ワークでソフト・ロック・ファンの間で人気が高い、クリス・デドリックを中心に結成されたフリー・デザインが、カナダはオンタリオに移住しマイナー・レーベルAmbrtypeからリリースした『There Is A Song』の冒頭を飾る「Canada In Springtime」なども収録。またブライアン・ウィルソンの影響下にあり、西海岸産のサンシャイン・ポップの傑作であるイエロー・バルーンの「Stained Glass Window」という素晴らしいナンバーもピックアップしています。
ミッドナイト・スペシャル後半はカート・ベッチャーのコーラス・アレンジの魅力が爆発するミレニアムの「I'm With You」で始まり、ボールルームのメンバーだったミシェル・オマリーのソロ・アルバム『Saturn Rings』より、サジタリアスも取り上げていた「Songs To The Magic Frog」をセレクトし、先頃リリースされたカート・ベッチャーのスタジオ・ワークスに焦点を合わせたコンピレイション盤『Looking For The Sun』の1曲目に収録された、1966年のTVシリーズ『バットマン』の出演でも知られる女優シンディー・マローンによる完全未発表音源で、もろにサジタリアス~ミレニアムのサウンドに絡むキュートな女性ヴォーカルがサイケデリックな浮遊感を生む「You Were Near Me」や、カート・ベッチャーがヴィクトリア・ウィンストンという女性とデュオを組み2枚のシングルを残したサマーズ・チルドレンの可憐な「Too Young To Marry」、そして前半のセレクションで触れたリー・マロリーの「Take My Hand」などをピックアップ。カート・ベッチャーのスタジオ・ワークでは他に、英国出身のガール・グループであるザ・ブティックスのオールディーズ・ロックンロール「Did You Get Your Fun?」や、フォーク・ロック系グループのアクション・アンリミテッドによる「Thinking To Myself」も収録。ボールルーム~サジタリアス~ミレニアムのメンバーでもあるサンディー・サリズベリーのソロ作品からは可愛らしい小品の「Cecily」を取り上げ、『Begin』がリリースされた1968年当時、日本盤でのシングルが存在し、「霧のファイブ・エイエム」という素敵なタイトルが付けられていたミレニアムの「5 A.M.」もピックアップして、このマジカルで華やかなセレクションにきらきらとした彩りを添えています。

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Mammals「Calm Down」
Matt Maltese『Krystal』
Johnny Goth「Dream」
Kevin Krauter『Toss Up』
Camp Howard『Cañón』
Divino Niño『Foam』
The Nicholas「Call Me Back」
Kate Bollinger「No Other Like You」
Hope Tala『Sensitive Soul』
Julien Baker「Tokyo」
Haim「Hallelujah」
Stella Donnelly『Thrush Metal』
El Rocko「Half The Day」
Maye「Tú」
Helena Deland「Claudion」
Felivand「Waitin’ For You」
Josh Augustin feat. Eva Alexis「Mid Town」
Monsune「Outta My Mind」
Night Hikes「Avila」
Someone feat. Benjamin Longman「True Love Will Find You In The End」
Gary Usher『A Symphonic Salute To A Great American Songwriter Brian Wilson』
Gary Usher『Beyond A Shadow Of Doubt』
The Millennium『Begin』
The Ballroom『Preparing For The Millennium』
Curt Boettcher『Misty Mirage』
Sagittarius『Blue Marble』
Curt Boettcher『Looking For The Sun』
Summer's Children「Milk And Honey」
Lee Mallory『That's The Way It's Gonna Be』
Sagittarius『Present Tense』
Sandy Salisbury『Sandy』
The Millennium「霧のファイブ・エイエム」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年も、素敵な時間や空間の演出のお手伝いとなる選曲をお届けできれば嬉しいです。2020年、新しい時代の幕開けということですが、僕は引き続き、「usen for Cafe Apres-midi」らしさを追求しながらも、フレッシュな風を吹かせることができればと考えています。あと、今年は吉本宏さんと一緒に行っているプロジェクトの「バー・ブエノスアイレス」と、僕が主宰している「クワイエット・コーナー」が10周年を迎えるので、そこでも何か面白い企画ができればと考えています。さて、選曲の方は、真っ白な冬景色が似合うフォーキーなシンガー・ソングライターを中心に、ラウンジーなサロン・ジャズ、柔らかなエレクトロニカをちりばめて組んでみました。中でも強く紹介したいのが、大好きなシンガー・ソングライター、サム・アミドンの「Dry Bones」です。こちらはハリー・スミスに捧げたニュー・EP『Fatal Flower Garden』に収められた曲で、まさに“マウンテン・フォーク”と呼びたくなる、風や光を感じる歌と演奏に心が震えます。

2020wtr_山本

Sam Amidon『Fatal Flower Garden EP (A Tribute To Harry Smith)』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

毎年Winter Selectionは、その年のベスト・アルバムなどが様々なメディアから徐々に発表されだす12月初旬が締め切りなので、そんなリストを眺めつつ選曲作業することは、次の年へとつながる響きをまとった音楽(過去音源も含め)を探る、どこか背骨の歪み(自分と世間のセンスのブレ)を治すことに近い機会でもあります。しかし、今現在の国内外の社会情勢をみると、2020年に生まれる新しい音楽が心から本当に楽しみと言える状況でないことがなんとも嫌な気分で……。逆に、そんな時代の色彩を帯びた音楽に心打つどんなものが生まれてくるか期待してしまう2020年でしょうか。

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Ben Watt『Storm Damage』
computer science「Tan Honda」
Rejoicer feat. iogi「Up In Flames」
Vagabon『Vagabon』
Jessica Risker「The Waves」
The Japanese House「Chewing Cotton Wool」
Tulipa Ruiz e Joao Donato「Gravidade Zero」
Cass McCombs「Confidence Man」

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

このコメントを書いているのは2019年12月25日、クリスマスの朝です(前年のコメントもこんな始まりだったような・笑)。昨日は仕事を終えたあと、渋谷でレコードを買ってから公園通りを上がり、代々木公園をぶらぶら歩いていました。街の雰囲気もクリスマス・イヴというよりはすっかり年の瀬という感じで、2010年代も終わっていくのだなと感じつつ、原宿駅近くの歩道橋で灯りだした渋谷の街の明かりを眺めていました。ちょっと『グレイト・ギャツビー』的な感じですよね。今、スピーカーからはエラ・フィッツジェラルドの「What Are You Doing New Year's Eve?」が流れています。

選曲の際のエピソードをいくつか。オープニング・クラシックはドビュッシーのピアノ組曲「Children's Corner(子供の領分)」から「Snow Is Dancing(雪は踊っている)」。ドビュッシーの曲が持つ独特の浮遊感は、その名も「夢」というタイトルを持つ曲にもよく表れていますね。「子供の領分」はどれも名曲揃いですが、この季節に合うのは夢とうつつの間(あわいと読んでください・笑)から流れてくるようなこの曲だと思い、Winter Selectionの1曲目にしました。

トッド・ラングレンの「All The Children Sing」を選んだのは、ある朝散歩をしていて「この曲を新年のセレクションのアタマの方に持ってくるといいかもしれない」とひらめいたから。昨年観た小西康陽さんのソロ・ライヴで歌われた「子供たちの子供たちの子供たちへ」のイメージがどこかにあったのかもしれません(「All The Children Sing」が収録されている『ミンク・ホロウの世捨て人』というアルバム・タイトルも、当時の僕には共振するものがあったのかも)。パイザノ&ラフ「The Drifter」、ミス・エイブラムス・アンド・ザ・ストロベリー・ポイント・フォース・グレイド・クラス「Mill Valley」などもそういう子供ものを意識して選曲しました。

選曲について考えたりそのチェックをしたりというのを、散歩しながらやっていることが僕はけっこうあります。周囲の風景や空気の匂いのようなものが屋内よりも変化に富んでいるぶん、インスパイアされるものがあるんでしょうね。聴覚や嗅覚は記憶との結びつきが強いと言われていますが、現にふとしたきっかけで聴いた曲である場所を思い出したり、あるいはその逆の体験をすることがあります。そういう意味で、選曲には無意識と対話しながら行うという面もあるんでしょうね。

音楽を聴くという営みを通じて過去を含めた新たな自分と出会いながら、リスナーの皆さまが心地よく感じられる時間をこれからもめざしていきたいと思っていますので、ニュー・ディケイドの始まりである2020年もよろしくお願いいたします!

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Arturo Benedetti Michelangeli『Claude Debussy – Images I/II · Children's Corner』
Todd Rundgren『Hermit Of Mink Hollow』
Pisano & Ruff『Under The Blanket』
Gary Corben『Gods In Brasil』
Free Nationals『Free Nationals』
Michael Kiwanuka『KIWANUKA』
FKJ『Ylang Ylang』
Rachael & Vilray『Rachael & Vilray』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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