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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2021 Early Spring Selection(3月1日〜4月11日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

コロナ禍に苛まれ、今年に入りカフェ・アプレミディは時短要請を受けて休業続き、外出自粛要請に伴いDJをする機会も一度もなく、例年以上に春の訪れが待ち遠しいこの季節、そんな様々な思いをセレクションにこめて、今回もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に計34時間分を新たに選曲した。
Twilight-timeの特集は前回に続き、月〜日を通して2020年のベスト・トラック720曲(曲目リストはカフェ・アプレミディのホームページをご覧ください)をシャッフル・プレイ放送で。そのうちの大半は、Spotifyプレイリスト「2020 Best Tracks 720 selected by Toru Hashimoto (SUBURBIA)」でも聴けるので、よかったらどうぞ。
その他の時間帯は、いつものように選りすぐりのニュー・アライヴァルを中心に。2021年に入っても豊作続きで、特に活躍してくれた32作のジャケットを掲載しておくので、その中身の素晴らしさにも触れていただけたら嬉しい。個人的に愛聴したアルバムという観点なら、No.1はPuma Blue、次点はMadlib + Four Tetだろうか。シングルも気に入った作品が多く、とりわけserpentwithfeet「Fellowship」やK15「Feel More」、Deb Never「Someone Else」やAntonio Loureiro「Saudade」、そしてNavasha DayaによるGil-Scott Heronトリビュート「The Liberation Song」は絶品だった。ここに挙げた傑作はどれも、dublab.jp suburbia radioの2/17放送分アーカイヴでも聴けるので、こちらもよろしければぜひ。

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V.A.『Indaba Is』
Gretchen Parlato『Flor』
Kristin Berardi, Sean Foran, Rafael Karlen『Haven』
Puma Blue『In Praise Of Shadows』
Arlo Parks『Collapsed In Sunbeams』
Dominique Fils-Aimé『Three Little Words』
Lava La Rue『Butter-Fly』
Deb Never「Someone Else」
Madlib + Four Tet『Sound Ancestors』
Kota The Friend『Lyrics To Go, Vol.2』
James Tillman & Flwr Chyld『After Hours』
serpentwithfeet『DEACON』
Saint Ezekiel『Everything Is Under Alarm』
GiTori『A Thousand Hills, Vol.1』
Brijean『Feelings』
Christian Lee Hutson『The Version Suicides, Vol.1』
Pino Palladino & Blake Mills『Notes With Attachments』
Sam Gendel『Fresh Bread』
CARM『CARM』
Shai Maestro『Human』
Galdre Visions『Galdre Visions』
Buzzy Lee『Spoiled Love』
Indigo Sparke『Echo』
Cassandra Jenkins『An Overview On Phenomenal Nature』
Antoine Loyer & Mégalodons malades et Bégayer『Sauce chien et la guitare au poireau』
Judit Neddermann『Aire』
Ignacio Maria Gomez『Belesia』
David Walters, Vincent Segal, Ballaké Sissoko & Roger Raspail『Nocturne』
Lefa Mosea『Double Standards』
Fi Maróstica『Visão do Mar』
Antonio Loureiro「Saudade」
Arthur Nestrovski & Lívia Nestrovski『Sarabanda』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

「Feel Like Makin’ Love」と言えば、ユージン・マクダニエルズ作曲でロバータ・フラックが歌い、今まで数多くのアーティストがカヴァーしてきた名曲として音楽好きはじめ多くの人から知られているが、「usen for Cafe Apres-midi」でも様々なヴァージョンを選んで流してきたお馴染みの曲でもある。そしてこの曲は歌い出しの歌詞に、「Strollin' in the park, watching winter turn to spring」とあるので、自分は勝手に早春の時期の恋人たちの曲だと思っている。
ということで2021 Early Spring Selectionの木曜日~日曜日のランチタイム~ティータイムは、各曜日に1曲ずつ「Feel Like Makin’ Love」のカヴァーを選んで織り交ぜた。中でもお気に入りは木曜に選曲した、トリニダード・トバゴの男性SSW/ギタリストGene Lawrenceによるアコギとエレピが絡み合うメロウなカヴァー。土曜の放送では宮本典子のグルーヴィー&メロウなナイス・カヴァーも選んでみた。

2021sp_本多

Gene Lawrence 『Sunset to Sunrise』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

永遠に夢の中を漂うような感覚でずっと聴けるソロ・ピアノ・アルバム。それはまるで、ヴァージニア・アストレイの1983年名作『From Gardens Where We Feel Secure』のよう。本セレクションでは「Rêverie op.1」を深夜0時の直前に選んだ。僕が担当するのは彼女がイメージした日曜日ではなく月曜の夜だが、やはり穏やかな微睡みの世界へと貴方を導いてくれるはずだ。

2021sp_中村

Eriko Uegaki『Rêverie 日曜日の夢の始まり』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

日ごとに春めいてきた早春の風を思い描いて24枚をピックアップ。ベストは本人のサイトから購入したサイン付きアナログ盤の到着が待ち遠しいArlo Parks。次点に何度も「Professional」に針を落としてしまうGabrielsといったところでしょうか。このセレクション以外にも良質な新譜が目白押しなので選曲リストもぜひチェックしてみてください。

2021sp_添田

Urban Village『Udondolo』
Buck Meek『Two Saviors』
Market『2』
Sounds Of A&R『Questions Left Unanswered... 』
It's Immaterial『House For Sale』
The Far East『New York Is For Lovers』
Tio『Sorousian』
Sisonke Xonti『uGaba the Migration』
Native Dancer『Tides』
Mac Ayres『Magic 8ball』
Arlo Parks『Collapsed In Sunbeams』
SiR「Footsteps In The Dark, Pts.1 & 2」
Rhye『Home』
Gabriels『Love And Hate In A Different Time』
serpentwithfeet『DEACON』
Olivier St. Louis『M.O.T.H. (Matters Of The Heartless)』
Saint Ezekiel『Everything Is Under Alarm』
Puma Blue『In Praise Of Shadows』
Jacob Collier『Djesse Vol.3』
James Tillman & Flwr Chyld『After Hours』
Gazelle & The Bear『Weird Shaped Clouds』
Gianni Brezzo『The Awakening』
Ferruccio Spinetti & Giovanni Ceccarelli『More Morricone』
Nicolas Repac『Rhapsodic』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

ちいさな春をみつける喜びは冬眠から覚めた動物とたいして変わりはない、という点で、つくづく人間も動物なんだと感心する。しかし、どうぶつが、にんげんが、と区別し生態系ピラミッドの頂点に君臨しつつコントロールしているのは我々人間だ、という考えにはいささかの違和感をおぼえる。ピラミッドであれパンテオンであれ、足元を支える基礎(大地)や中枢を司る構造体が綿密にからみあうことで永続するものだから(それらを簡単に壊してしまうのは決まって人間だが)。そういう意味では動物からみた人間もあんがい同じようなもので、これは「知能/情緒の有無」で決められる事柄ではけっしてない。

オーストラリア出身の女性ピアニスト、エマ・グレイス・ステフェンソンを中心に結成された多国籍ピアノ・トリオ、ヒエロニムス・トリオ。初源キリスト教の偉人の名を冠したこのトリオの確かな演奏力、そして難解なソングライティングは唯一無二の個性を感じさせるが、同郷の天才ヴォーカリスト、ジャン・スレイターをフィーチャーすることによりプログレッシヴな曲調に「上質な説得力」を獲得している。ジャズ・シーンではここ10年くらい、ジュリア・ハルスマン・トリオの「ティック・トック」のような「プログレッシヴ・ジャズ」と呼ぶべきジャズのオリジナル曲がふえており、ソングライティングの才能を開花させた若年層の演奏家が台頭してきたことを嬉しく思う。

特殊な環境下、鼓膜をここちよく震わせてくれる音楽がかさついた生活をいかに彩ってくれるかを実感する。うつくしい音楽を聴いてどこへでも飛んでいけるのは人間の特権だが、なにより尊いのはうつくしい調べを予見させる「ハル」が手の届くところまで近づいていること。さぁ、明日も精いっぱい生きましょう!

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Gian Slater & Hieronymus Trio『Where The Rest Of The World begins - Songs by Emma Grace Stephenson』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



髙木慶太 Keita Takagi

今なら間違いなくライヴ配信をしていたであろう、5年前に原宿で行われたALA.NIの“伝説の”インストア・ライヴ。
カリブ海のスプリンターを思わせる長い手足と腰高の肢体。Rage Against The MachineのグレイのTシャツと淡いグラデイションをなすリボンマイク。目を奪うものだらけの空間を結局奪われたのは耳だった。いや、より感覚に忠実に表現すれば鼓膜のみならず皮膚で聴くような、浸透圧高く心の琴線に触れる声であり歌であった。伝説たる所以。以来、桜の季節が来るたびにこのライヴが恋しくなる。

2021sp_高木

ALA.NI『You & I』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

今年の冬はいつも以上に寒かったので春が待ち遠しい今日この頃です。
心も体もハートウォーミングになるブラジリアン・ポップスのMelimの新譜『Amores E Flores』が心地よく、南半球から暖かい風を運んできてくれる。
タイトル曲「Amores E Flores」と「Possessiva」が特に気に入っています。
DjavanからJorge Vercilloあたりが好みなMPBファンなら間違いなくツボな内容なので、レコード出してほしいです。切に願っています。

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Melim『Amores E Flores』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

2021 Early Spring Selectionでは春らしくフレッシュなブラジルのアーティストの曲を前半にちりばめました。その中から3アーティストの作品をご紹介させていただきます。まずブラジルの歌番組で優勝し、デビュー以降、その天性の美しい歌声で徐々に活躍の場を広げているアイルトン・モンタホイオスの『Cartola, Do Samba Ao Samba-Canção』。本作はギタリスト、エジミウソン・カペルピを迎えてリリースしたカルトーラの作品集で、本セレクションでは代表曲「O Mundo É Um Moinho」をセレクトさせていただきました。そして注目の女性シンガー、アナ・ガブリエラがアルバム『Ana』リリース前にリリースしたEP『(nó)s』。ちょっぴりハスキーなヴォーカルが魅力の彼女ですが、本セレクションではシンプルなリズム・アレンジがヴォーカルをより際立たせた「Mais De Nós」をピックアップさせていただきました。最後はエスピリトサント出身のシンガーソングライター、シウヴァが昨年末にリリースした最新アルバム『Cinco』。本セレクションでは女性シンガー、アニッタとの掛け合いが見事なスカ・ナンバー「Facinho」をセレクト。思わず踊り出したくなるような曲に仕上がっています。3作品とも他の曲も素晴らしいので、興味のある方は是非チェックしてみてください。

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Ayrton Montarroyos 『Cartola, Do Samba Ao Samba-Canção (Ao Vivo)』
Ana Gabriela『(nó)s』
Silva『Cinco』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

初春にて、積雪かと思えば20℃を超える温かさ。
とはいえ、しっかり梅の蕾はちらほら。
きけば、卒業旅行も卒業式もエアな結末。
ライヴは、配信が当たり前になりつつ。
CDやレコードも到着遅く、忘れた頃に届く回数が増えて。
しかし!
その無の時間に新たな音に出逢うというか気づく場面が増えてきました。
久々に中南米あたり。
アルバムとして素晴らしいと曲を抜き取ることを避けていたヴェネズエラ隣の国ガイアナ出身のJuke Ross。
とにかくメロディー・ラインと繊細な音作りに弱々しい手前なフレンドリーなヴォーカル。脱民族なテイストも素晴らしいです。
ブラジル ・サンパウロのSSW、Ga SetubalやGustavo Infanteも脱ブラジリアンなテイストにも好感。
果ては、NYのジャズ・ヴォーカルSomiのソフト・アフリカンな心地よさにうっとり。
現地にいるような楽しさ。
と、窮屈なりに楽しんでおります。

2021sp_渡辺

Juke Ross『Chapter 2』
Ga Setubal『Via』
Gustavo Infante『Ser』
Somi『Petite Afrique』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

穏やかな春の陽射しがうれしい今日この頃。わたしの住む北海道にも待ちに待った季節がやってきました。「重いコート脱いで出かけませんか? もうすぐ春ですね」なんて思わず口ずさみたくなる、この心躍る季節が大好きです。2021 Early Spring Selectionは、休日のブランチタイムに心地よく馴染む、芽吹いたばかりの若葉のような、フレッシュな印象のアコースティック・サウンドを中心に選曲しました。今回のベストワンには、シリア生まれのサウジアラビア育ち、現在はLAを拠点に活動している女性シンガー・ソングライター、Azniv Korkejianによるプロジェクト、Bedouine(ベドウィン)が、2019年にリリースしたセカンド・アルバム『Bird Songs Of A Killjoy』から、「Sunshine Sometimes」をセレクトしました。うららかな春の陽射しを思わせる、瑞々しいアコースティック・ギターの音色と、70年代のフォーク・シンガーを彷彿とさせる素朴で温かみのある歌声に、ほっと心が安らぎます。ブリジット・セント・ジョンやジュディー・シル、金延幸子などがお好きな方におすすめしたいアーティストです。

2021sp_ジュリ

Bedouine『Bird Songs Of A Killjoy』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

昨年末から今年にかけて出会った素晴らしい音楽の中から、「usen for Cafe Apres-midi」と自分が選曲する時間帯にあった選りすぐりの曲を4時間お届けします。
その中でも最も心を癒してくれたDezron Douglas & Brandee Youngerのアルバム『Force Majeure』についてコメントをしましょう。
ニューヨークのハーレムにある彼らのリヴィングルームにて、ロックダウン中の金曜の朝にライヴ配信された「Brunch in the Crib with Brandee & Dezron」をまとめた、マイクひとつで自宅録音されたジャズ・デュオ・アルバム。
コントラバス、ハープによる親密でリラックスしたセッションは、ライヴに行けないこのご時世に、ライヴの良さを再認識させてくれる、素晴らしい一枚です。
「仕事ができなくても、ミュージシャンが創造的であることを止めることはできない。世界全体としてアート&エンターテインメントが、都市に重要で不可欠な存在である」「ブラック・ミュージックは複製することができない」とメッセージを配信しました。
今回は「Sing」を選びましたが、他にも「The Creator Has A Master Plan」「You Make Me Feel Brand New」「Never Can Say Goodbye」など、彼らが影響を受けた身近な曲や、リクエストに応じて演奏されたいい曲が多くあるので、ぜひアルバムも聴いてみてください。

2021sp_小林

Yotam Silberstein & Carlos Aguirre『En el jardín』
V.A.『Future Bubblers 4​.​0』
K.ZIA「Mon Mood」
Naji & The Kount「Angel」
Alecia Renece『Play Vol.2』
Moods & daste.『Moonrider』
Damani Rhodes feat. Keyon Harrold『Mon Yawn Ugh』
Rasharn Powell「Freedom」
Linkwood & Other Lands『Face The Facts』
Dezron Douglas & Brandee Younger『Force Majeure』
Boozoo Bajou feat. Joe Dukie「Take It Slow (Mousse T.'s Easy Ride)」
V.A.『Stand Up』
Scary Pockets feat. Madison Cunningham「Arrow Through Me」
Mac Ayres『Magic 8ball』
Tawiah『Starts Again (Live)』
Shai-Li「White Roses」

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

春の訪れを感じる陽気の中で選曲をしているせいか、いつもよりも少しポップで明るい仕上がりとなった今クールの中から選んだ1曲は、クイーンにインスパイアされたかのようなダイナミックで印象的なコーラスのイントロから始まるWouter Hamelの最新作「Escapade」。ウーター・へメル本人いわく“爽やかな素晴らしい日”をコンセプトにしたというだけあって、聴くものすべての気持ちを、ご機嫌でポジティヴにさせてくれます。この曲が街に流れだす春先にはきっと、「カフェや飲食店に普段通りの“爽やかな素晴らしい日常”が戻ってきすように」と願いをこめて、この曲を贈ります。

2021sp_野村

Wouter Hamel「Escapade」

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

“Please take it easy on me...”と繊細なシンガー・ソングライターのように歌いだされる冬の名残を感じさせる「Sleep Song」から、everestが参加するバンドOffice Partyの春を告げるようなポップな「hotline」まで。ペンシルヴァニアのアーティストeverestによるこれからのアルバムを見据えたポートフォリオ作品集。どの曲もほどよいポップ・フレイヴァーがちりばめられた春の香りが漂う。

2021sp_吉本

everest『2021 portfolio』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

右を見ても左を見てもコロナ、コロナの毎日ですが、コロナを笑いに変えてくれたのが、先ごろ人気投票のために応募総数62,542句の中から優秀作品100句が選ばれて発表された、通称「サラ川」こと「サラリーマン川柳コンクール」です。毎年楽しみにしているこの企画ですが、今年はコロナ禍の中で自分にも当てはまる作品が多くあり、かなり笑える内容となっていました。そしてこの「サラ川」によって笑顔をもらったので、初春の選曲はリスナーの方に笑顔になってほしいという想いを込めて、そしていろいろな意味で「春よ来い」という気持ちを込めて、ハッピーで楽しくなるセレクションにしてみました。
まずは2020年のベスト・セレクションでも取り上げたカナダはケベック州の都市、モントリオール出身の女性アーティスト、アリシア・クララの新作アルバム『Outsider/Unusual』収録曲「Hazemaze」からスタートし、続けてロサンゼルスを拠点に活動しているフランス人とアメリカ人の男女デュオ、フリーダム・フライの「One Big Happy Family」、こちらもロサンゼルス出身のHenry Moserによるソロ・プロジェクト、 Henry Nowhereの牧歌的な「Something Changed」を続けてセレクト。さらにフランスのディスコ・バンド、L'Imperatriceの昨年末にリリースされた「Anomalie Bleue」や、ロサンゼルスを活動拠点にしている女性アーティスト、ホリデイ・サイドワインダーの「The Real Tea」、アメリカ人プロデューサーであるDJ Poolboiがカナダのシンガー・ソングライターであるフロア・クライをゲストに迎え昨年末にリリースした「Motions」、ディナータイム前半のセレクションではかなり気に入っている、ユタ州ソルトレイク出身のリンデン・ウィリアムスの音楽プロジェクト、Divorce Courtの「Same Same」といったキュートなダンス・ナンバーも、初春のイメージにぴったりだと思いピックアップしてみました。
ディナータイム後半は、煌めき感のあるハッピーなディスコ・サウンドが心を軽やかに躍らせる、メルボルン出身の2人組、ジュノ・ディスコの「You’re So Hung Up On My Colours」や、ミネソタ州ロチェスター出身のアーティスト、アイザック・ワインミラーのこれまたハッピーに跳ねるグルーヴが心地よい「With The Seasons」、ブルックリンを拠点に活動するニッチなシンセ・ポップ・バンド、ネイション・オブ・ランゲージの今年1月にリリースされた新曲「Deliver Me From Wondering Why」、アトランタで活動する女性デュオ、ココ&クレア・クレアによるコケティッシュな「Pop Star」などをセレクト。

0時からのミッドナイト・セレクションは、アラバマ州のドリーム・ポップ・バンド、ウィリスの「CranMango」をオープニング・ナンバーに配し、オーストラリア連邦の西オーストラリアの州都であるパースで活動する男女5人組バンド、Yawn Vibesの「Stadium」や、ニュージーランド最大の都市であるオークランドを拠点に活動しているギタリストとヴォーカリストからなる男性2人組バンド、Dualのエッジの効いたダンス・ナンバー「Honey」をピックアップ。他にはイギリスの若手アーティスト、Fernがデンマークはコペンハーゲンの4人組ユニット、Lissとコラボレイトした「1988」や、4月にニュー・アルバム『A Tiny House, In Secret Speeches, Polar Equals』をリリース予定のサンフランシスコ出身のエレクトロ・シューゲイズ・ポップ・バンド、スウィート・トリップが先行シングルとしてリリースした「Walkers Beware! We Drive Into The Sun」、オーストラリア・ブリスベン出身の男女4人組インディー・ポップ・バンド、ジャングル・ジャイアンツのニュー・シングル「In Her Eyes」などの心地よいダンサブルな作品をセレクト。
ミッドナイトの後半は、ニューヨークで活動する男性2人組ユニット、J・パステルの「Holy War」や、ここ最近のセレクションでは常連となっているダッド・スポーツの「gf haircut」、南カリフォルニアを拠点に活動するウィリアム・ゴンザレス、スティーブン・マルティネス、ダニエル・ジュラードの3人によって結成されたインディー・ポップ・バンド、 Pure Midsの「Ivy」などのポップなナンバーに加え、ロシアはサンクトペテルブルク出身の男性3人組バンド、Impedanceの「Madness」や、テキサスを拠点に活動するシンガー・ソングライターのモリー・バーチがワイルド・ナッシングをゲストに迎えリリースしたニュー・シングル「Emotion」、アメリカの西海岸を拠点に、本名や別名義のDanny JayとしてリリースしていたDaniel Goldsteinが、新たにLane 8名義でジュリア・チャーチという女性アーティストをゲスト・ヴォーカルに迎えてリリースした「Oh, Miles」といった、色気のあるダンス・ナンバーも織り込んで構成してみました。

さて、今回このコメントは10都府県への2度目の緊急事態宣言の延長が決まったタイミングで書いておりますが、相変わらず家に引きこもって映画鑑賞の日々を送っているので、今回もコロナ禍以降にハマった吹き替え映画をネタに、自分の覚書のためにも少し書いてみようかと思います。前回のコメント以降もDVD化されていないレアな日本語吹き替え映画をコツコツと入手しているのですが、今回鑑賞したレアな吹き替え映画は、家族の不幸を乗り越え、不安に揺れる少年の心の成長を描いた、女優ダイアン・キートンが監督を務めたハートフル・ストーリーの『想い出の微笑』、名優リチャード・ドレイファスが競馬狂のタクシー運転手を演じた痛快ギャンブル・コメディー映画『のるかそるか』、神戸市の連続児童殺傷事件の影響で日本では未公開となってしまった、『クライング・ゲーム』や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』などの作品で知られるニール・ジョーダン監督作品の隠れた傑作映画『ブッチャー・ボーイ』、90年代テイスト溢れるコメディー・タッチのユニークなホラー・ムーヴィー『シュランケン・ヘッド』、クリストファー・クロスの名曲「ニューヨーク・シティ・セレナーデ (Arthur’s Theme)」が印象的なダドリー・ムーアとライザ・ミネリが共演するドタバタ・コメディー映画「ミスター・アーサー」、ピーター・セラーズ亡き後の作品にもかかわらず評価が高い『ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ』などです。どの作品も吹き替えの質が高く感心したのですが、特に『ミスター・アーサー』と『ピンク・パンサー5』の吹き替えが素晴らしく、このヴァージョンがソフト化されていないのはおろか、字幕版ですらDVD化されていないのは残念なことですね。そして今回鑑賞した作品の中でなんといっても感動したのが『Mr. Boo』などの吹き替えでおなじみの広川太一郎さんが声優を務め、感動的なまでに太一郎節を炸裂させていた、モンティー・パイソンがビル・マーレイやジョン・ベルーシといったアメリカの“Saturday Night Live”軍団までも巻き込んで制作したビートルズのパロディー映画、『ラトルズ4人もアイドル!』の1978年に東京12チャンネル(現テレビ東京)の「ザ・テレビジョン」という番組で放送された日本語吹き替え版でした(当時のタイトルは『ラットルズ オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ 金こそすべて(四人もアイドル)』)。この日本語吹き替え放送は広川太一郎大先生が主役といっても過言ではないほど太一郎節が全編にわたって駆けまわる作品で、映画の面白さと相まって鑑賞中は終始笑い転げていましたが、43年も前の放送をちゃんと録画して保存されていた方がいたということにも感動し、本当に貴重なものを鑑賞できたと思います。
そして感動ついでに今回もこの作品についていろいろと調べてみたのですが、どうやらこのオリジナル作品はロング・ヴァージョンとショート・ヴァージョンが存在するようです。所有している2005年版の日本盤DVDは73分のロング・ヴァージョンでしたが、66分ヴァージョンというのが存在することがわかりました。違いがわかりやすいところでは、ビートルズ「Get Back」のパロディー・ソング「Get Up And Go」の演奏シーンで、演奏終了後に警官によって屋根から撤収させられるシーンが、ショート・ヴァージョンではばっさりカットされていました。しかしミシシッピに出向いてラトルズのルーツを探る箇所では、現地のミュージシャン、ラトリング・オレンジ・ピールの奥さんとエリック・アイドル扮する司会者の会話シーンで、ショート・ヴァージョンの方がロング・ヴァージョンより数秒長いシーンがあるなど、興味深い発見がありました。さらに、東京12チャンネルのTV版はショート・ヴァージョンを元に制作されていることも確認しました。

と、こんな具合に緊急事態宣言の中、またまた独り部屋にこもって重箱の隅をつつきまくって検証作業を楽しんでいましたが、こんなことばかりしている自分を冷静に見つめ直してみると、果たしてコロナが明けた後にちゃんと社会復帰できるのかとても心配です……(泣)。

2021sp_高橋

Alicia Clara『Hazemaze』
Freedom Fry「One Big Happy Family」
DJ Poolboi feat. Floor Cry「Motions」
Divorce Court『Two Kids』
Juno Disco「You’re So Hung Up On My Colours」
Isaac Winemiller「With The Seasons」
Nation of Language「Deliver Me From Wondering Why」
Coco & Clair Clair「Pop Star」
Willis「CranMango」
Yawn Vibes「Stadium」
Fern『Bones』
The Jungle Giants「In Her Eyes」
J. Pastel「Holy War」
dad sports「gf haircut」
Pure Mids「Ivy」
Impedance「Madness」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

家にいる時間が多くなって、外出することも少なくなると、どうも体が固くなってストレスも溜まってくるので、なるべく散歩をしたり、軽いジョギングをしたりして、リフレッシュすることを心がけています。ただ無音だと味気ないので、「usen for Cafe Apres-midi」の選曲と同じプレイリストをBGMにしています。やはり街の風景の中で聴くと、その音楽のもつ魅力がきらりと輝くように生きてくるように感じます。カルロス・アギーレが、イスラエルのギタリスト、ヨタム・シルバースタインと共に奏でる音楽も、やはり移りゆく季節の中で輝いています。嬉しいことも、悲しいことも、全てを包み込んでくれるような大らかさと、そっと寄り添ってくれるような優しさを感じさせます。まもなく2011年の東日本大震災から10年が経ちます。カフェ・アプレミディ・チャンネルが流れる場所で、皆さんの心がリラックスできたり、日常が優しくポジティヴな気分へ向かうことができたりすれば嬉しいです。

2021sp_山本

Yotam Silberstein & Carlos Aguirre『En el jardín』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

あまり人と会うことのない時間を長くすごしていると、おのずと自分の身体や心の調子が気になってくるもの。そんなとき出会ったのが、「風邪の効用」などの著書で知られる野口晴哉の整体法を学んだ川﨑智子の本。ここでは、身体の恒常性の乱れをリズムの乱れとして、「音楽を聴いて心地よくなることでリズムは取り戻せる。疲れも音楽を聴くだけで抜けてしまう」など、あーそんな感じー、なんて思わずうなずいてしまう言葉と整体技術の考え方がこと細かに記され、日々の生活環境の中でも意識的にならざるをえないほど影響を受けてしまいました。
ソフィア・コッポラ初監督作品のタイトルをもじった、アバとテイラー・スウィフト、ヴァネッサ・カールトンの作品を取り上げたChristian Lee HutsonのカヴァーEP(女性曲ばかりなのはそんなタイトルだからでしょう)からこぼれる早春の風景。その優しくきらびやかで風通しのよいアコースティック・アンサンブルに感じられる、キレイな水を飲むように季節の移ろいが音楽を通して身体を通過してゆくような感覚を、整体ラヴな早春選曲としてリスナーとわかちあえたらいいなあと願ってやみません、はい。

2021sp_武田

Mylow『Voyager EP』
Christian Lee Hutson『The Version Suicides, Vol.1』
Moons『Blood On Canvas』
808vic feat. Cozy Kiyo「Overstayed」
Los Days『Singing Sands』
Alice Phoebe Lou『Glow』
Vagabon feat. Courtney Barnett「Reason To Believe」
Astronauts, etc.「Cherry Plum」

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

「usen for Cafe Apres-midi」の選曲は僕にとって日記代わりというか、リストを見たり曲を聴いたりしていると作業をしていた時期のことが自然と思い出されます。ちょうど1年前のこの時期には、その1か月後に世の中が激変してしまうことなんて想像もしていなかったんですよね。まさに「What a difference a day made」という感じですが、コロナ禍でまだまだ先行きが見えない今だからこそ、と思うような曲も織り交ぜています。数年後、僕はどういう気持ちでこの選曲を聴くのでしょうか。

このコラム、Early Spring Selection期はファッションのことを話題にしている頻度が高いと思います。毎年この時期になると、春物コーデのことを考えて気分が高まってしまうんですよね(笑)。2014年以来のリーヴァイス・レッドの復活という出来事もあり、最近デニムがマイ・ブームです。2年前に着ようかと思って結局出番がなかったリーヴァイス・レッドの1stジャケットに今年こそは袖を通そうと思っていますが、10年以上昔のアイテムを引っ張り出して着るというのも面白いです。時間を置くことによって手持ちの服でも新鮮に感じられるんですよね。同じことは音楽にも言えます。ここ最近のセレクションは選曲時期にリリースされた新曲をまずはご紹介! という感じになっていたのですが、今回は季節や時間帯にフィットした選曲という、「usen for Cafe Apres-midi」のおおもとのコンセプトに立ち戻ってみました。インターネット以降、世界は時間の流れがどんどん加速していて、情報が川の流れのように通り過ぎていきます。以前ならもっとじっくり耳を傾けたうえで選んでいた音源も、一回のセレクションで使ってそのまま、ということも少なくありません。選曲のクオリティーは以前より上がっているという自負はあるのですが、どこかしら後ろめたさのようなものを感じてしまうことも事実です。お気に入りのワードローブのように、古いものも新しいものもミックスしながらリスナーの方が心地よく感じられる時間をつくり出せたらという思いを、今回のセレクションでは形にできたのではないかと手ごたえを感じています。

それではポイントになっている曲について、今回も触れていきますね。ラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」で正午をお知らせしたあとは、ステイシー・ケント歌うビル・ウィザースのフリー・ソウル・クラシック「Lovely Day」。「usen for Cafe Apres-midi」のファンの方にど真ん中の選曲ですよね。冬から春へと移り変わっていく季節にぴったりの極上カヴァーだと思います。この曲に先がけて昨年リリースされていたボブ・マーリーのカヴァー「Three Little Bird」にも小鳥のさえずりがちりばめられていましたが、新作は鳥をイメージした作品集なのでしょうか、否応なしに期待が高まります。バイデン~ハリスの就任記念番組でジョン・ボン・ジョヴィが歌っていたジョージ・ハリスン作の名曲「Here Comes The Sun」は、ニッキー・シュラインのヴォーカルとジェラルド・クレイトンのピアノのデュオで。「Haven’t We Met?」へのリスペクトが感じられるミア・ドイ・トッドとカルロス・リラの2曲に続いては、本家ケニー・ランキンのレア曲を。マック・ミラー「Blue World」のイントロでサンプリングされていた「It’s A Blue World」は、2021年の今だからこそと思い、今回セレクトしました。ここでは同名の名作アルバムを吹き込んでいる、ノスタルジック&ロマンティックなメル・トーメ版をお届けします。……おっと、この調子でやっているととてつもなく長い原稿になってしまいそうですね(汗)。

ポイントを絞りましょう。先ほど触れた、僕にとっての昔から持っている服に当たるような曲をいくつか挙げると、まずはカーメン・マクレエのBN-LA時代のアルバムから「You’re Everything」。最近だとロバート・グラスパーらのバックアップを受け、フィリップ・ベイリーがスムースに蘇らせたのも印象的だった、チック・コリアのブラジル色濃いナンバーですね。ビッグ・バンド・スタイルで盛り上げていくカーメン・ヴァージョンもなかなかです(ちょうどこのコラムを書いている最中、チック・コリアの訃報が飛び込んできました。近年も精力的な活動を続けているイメージだったので、驚きを禁じえませんでした。心からご冥福をお祈りします)。続いてゲイリー・バーツのEW&Fカヴァー「After The Love Is Gone」。数年前なら選んでいなかったと思いますが、別れの曲ということも相まって、ちょっと切ない春のムードに合うかなと思い今回エントリー。昨年「ギター・マガジン」の70年代ブルーノート・ギタリスト特集でもフィーチャーされていたデヴィッド・T. ウォーカーのファースト・アルバムから、ニュー・ソウルへの憧憬が感じられるキャロル・キングの「Brother, Brother」カヴァーは、春へと季節が移り変わる頃の柔らかなメロウネスが感じられます。ブルー・アイド・ソウル~AORセクションで取り上げた、イタリアはナポリを代表する名SSW、ピーノ・ダニエレの「A testa in giù」や、チン・マイアなどと並び称されるブラジリアン・ソウル・マスターのひとり、カルロス・ダフェの「Bem querer」は、どちらもコーヒー片手に散歩に出かけたくなるような伸びやかなナンバーです。他にもマイケル・キワヌカやホセ・フェリシアーノ、テリー・キャリアー(ミニー・リパートンがコーラスで参加しています)のハートウォームなフォーキー・ソウルなどなど、昔からのサバービア・ファンの方ならより楽しめるような内容になっていると思います。「Not new, but fresh」というフレーズは、4年前に亡くなった僕の奥さんのお気に入りでしたが、選曲中に思い浮かんでいたのはそういう気持ちでした。

今ご紹介したような曲たちと組み合わせた最近のニュー・ルックについても少し紹介しておきたいと思います。アルゼンチンが誇る至宝と言うべきアーティストであるカルロス・アギーレと、彼を敬愛するイスラエル出身のギタリスト、ヨタム・シルバースタインのデュオ・アルバム『En el jardín』は心に響く名作でしたね。僕は坂本龍一風のクラシカルな「Madrugada」を敢えてセレクトしましたが、軽やかで心躍る曲想の「João」など春らしいナンバーも多いので、ぜひアルバムを通して聴いていただければと思います。バーデン・パウエルの影響色濃いギタリスト、ファビアーノ・ド・ナシメントの新作EPも、フルートがフィーチャーされたタイトル曲をはじめこの季節によく合いそうです。昨年リリースされたビリー・チャイルズの『Acceptance』は、ブラジリアン・ミュージックのエッセンスが随所に感じられる好感度大の作品なので、こちらもこの機会に推薦しておきたいと思います。最近、橋本さん近辺で盛り上がっている南アフリカの音楽シーン、その立役者のひとりであるZoë Modigaの『Inganekwane』も僕のコラムではまだ取り上げていなかったので、ここでご紹介。静謐な美しさとスピリチュアリティーを宿した名曲「Umdali」は、ジャイルス・ピーターソン主宰Brownswoodレーベルの南アフリカ・ジャズ・コンピレイション『Indaba Is』でもシブシル・シャバらが演っていました。『Indaba Is』は聴くと静かな勇気や力をもらえるような清々しい作品集で、こちらもこれからの季節にぴったりではないでしょうか。

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Krystian Zimerman, Pierre Boulez, Cleveland Orchestra『Ravel: Piano Concerto, Piano Concerto for the Left Hand, Valses Nobles et Sentimentales』
Stacey Kent「Lovely Day」
Billy Childs『Acceptance』
Fabiano do Nascimento『Partido Alto』
Mel Tormé『It's A Blue World』
Carmen McRae『Can’t Hide Love』
Pino Daniele『Nero a metà』
Michael Kiwanuka『Home Again』
MF Doom『Operation: Doomsday』
Zoë Modiga『Inganekwane』
Rejjie Snow, Snoh Aalegra & Cam O’bi「Mirrors」
Yotam Silberstein & Carlos Aguirre『En el jardín』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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