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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2023 Autumn Selection(10月9日~11月30日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする

「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が

それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る

「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら

D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

深まりゆく秋の街並みや、そこに描かれる心象風景を、素敵な音楽で色づかせることができたらと、心からの思いをこめて、今回もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しました。
月〜日を通してのTwilight-timeの特集は、2023年上半期のマイ・ベスト・トラック集を放送できていないのが心残りですが、大好評とのことで引き続き、僕のコンパイラー・ライフ30周年を祝したコンピ3タイトルのリリース記念企画として、これまで監修・選曲を手がけてきた約350枚のコンピレイション収録曲をシャッフル・プレイでお届けすることに。Free SoulとJOURNAL STANDARDのコラボ・アイテム(ロング・スリーヴTシャツ4種+キャップ3種+ブルゾン2種)が10/7より発売されるのに伴いBAYCREW’S STOREウェブサイトで公開された僕の最新インタヴューを始め、HMVウェブサイトCDジャーナルSTEPPIN' OUTなどのインタヴュー記事やトークショウ映像と共に、お楽しみいただけたら嬉しいです。
その他の時間帯は、いつものように(いつも以上に)大豊作だったニュー・アライヴァルのお気に入りを、惜しげもなくエントリー。とりわけセレクションで重宝した48作(いずれも3曲以上をセレクト)のジャケットを、最初に3枚の僕のコンピ、続いて特によく聴いた10枚(Laurel Halo〜Cleo Sol×2〜Samphaなど年間ベストの座をめぐってしのぎを削りそうな空前のUK勢の大充実ぶりは特筆すべき)、そしてそれ以外の作品をアーティストABC順で掲載しておきますので、ぜひその中身の素晴らしさにも触れてもらえたらと思います。

V.A.『Merci ~ SUBURBIA meets INPARTMAINT "Cafe Apres-midi Revue"』
V.A.『Gratitude ~ SUBURBIA meets ULTRA-VYBE "Free Soul Treasure"』
V.A.『Blessing ~ SUBURBIA meets P-VINE "Free Soul × Cafe Apres-midi × Mellow Beats × Jazz Supreme"』
Laurel Halo『Atlas』
Cleo Sol『Heaven』
Cleo Sol『Gold』
Sampha『Lahai』
Anja Lauvdal『Farewell To Faraway Friends (Wurlitzer Improvisations 2021-23)』
Matthew Halsall『An Ever Changing View』
Yussef Dayes『Black Classical Music』
Carlos Niño & Friends『(I'm Just) Chillin', On Fire』
Coco O.『Sharing Is Caring』
Ralphie Choo『SUPERNOVA』
Adeline Hotel『Hot Fruit』
Anais Cardot『Pink Magnolia』
Anthony Lazaro『Swinging On The Moon』
Bebel Gilberto『João』
Bibio『Sunbursting』
César Lacerda『Década』
Chris Brain『Steady Away』
Chief Adjuah『Bark Out Thunder Roar Out Lightning』
Colleen『Le jour et la nuit du r​é​el』
Dayo Bello『Outside』
Dorota Miśkiewicz & Toninho Horta『Bons Amigos』
Erika Ribeiro & Tatiana Parra『Entre Luas』
Frida Touray『Mending』
Gareth Donkin『Welcome Home』
GiddyGang & Vuyo『Art Over Profit』
Itai & Ingrid Saga『Serendipity』
Jalen Ngonda『Come Around And Love Me』
James Blake『Playing Robots Into Heaven』
Jason Dhakal『BEING』
Jenny Owen Youngs『Avalanche』
Kiefer『It's Ok, B U』
Kofi Flexxx『Flowers In The Dark』
Laufey『Bewitched』
Loraine James『Gentle Confrontation』
Matt Corby『Everything's Fine』
Matty『K​.​I​.​S​.​S』
Nina de Vitry『What You Feel Is Real』
((( O )))『(​(​( 4 )​)​)』
säje『säje』
Shafiq Husayn『So Gold (Immersive Edition)』
SOLOMON『VOICE MEMOS』
Stephen Steinbrink『Disappearing Coin』
Tonique & Man『Opening Soon』
Uma『Jai』
Walker『Good Man』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00

Brunch-time 月曜日10:00~12:00

Brunch-time 火曜日10:00~12:00

Brunch-time 水曜日10:00~12:00

Brunch-time 木曜日10:00~12:00

特集 月曜日16:00~18:00

特集 火曜日16:00~18:00

特集 水曜日16:00~18:00

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特集 金曜日16:00~18:00

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本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

担当する木曜から日曜のLunch-timeやTea-timeの選曲。2023 Autumn Selectionは懐かしい名曲を中心に選び、秋の雰囲気を自分なりに作ってみた。そのセレクションに少しだけ織り交ぜた新作で、ここで紹介したいのはMaster Soul BoyことGareth Donkinの『Welcoem Home』。ここ最近のアーティストの中で最も楽しみにしていたブルー・アイド・ソウルな好みの一枚。各サイトでの注目度も高く、もしかしたらかなりの人気アーティストになる予感もあります。10/6には国内レーベルのインパートメントから日本盤CDもリリースされたので、ぜひ手に取って聴いてみてください。

Gareth Donkin 『Welcoem Home』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

2000年代、かつてカルロス・ニーニョが導いたコミュニティー──ビルド・アン・アークのメンバーであった大好きなシンガー・ソングライター、デイモン・アーロン。彼が配信のみでひっそりとリリースしていたその名も『Autumn』に、つい先日出会いました。以前と変わらない慈しむような歌声と、アコースティック・ギターの優しい音色。それは本当に久しぶりの再会に近い感覚で、日常における小さな幸せの刹那を、ゆったりとしたリズムで丁寧に綴ってくれたのです。世界中の誰しもに、平等に、この曲のように穏やかな秋の景色が訪れますように。

Damon Aaron『Autumn』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

「usen for Cafe Apres-midi」最初期に毎年のように秋になると選曲していたシンガー・ソングライター、Roger Shriverの1972年作。ハイレゾ化されたのを機に久しぶりに選曲に取り入れてみました。半世紀以上前の録音ですが、Grady TateやJoe Farrellといった腕利きジャズ・ミュージャンのサポートを受けて紡がれたサウンドが、現代の作品とシームレスに繋がります。このアルバムを残して消えてしまったのが残念です。

Roger Shriver『Roger Shriver』
Laufey『Bewitched』
Lane Beckstrom『Looking Out』
Pedro Mizutani『Aperana』
Brad Stank『In The Midst Of You』
Tex Crick『Sweet Dreamin'』
OLD MAN CANYON『So Long Babylon』
Mr Beatnick & Richard Greenan『Coasty』
Somni『Gravity』
Enji『Ulaan』
Flashbaxx『Take Care My Friend Remixes』
Jalen Ngonda『Come Around And Love Me』
Pale Jay『Bewilderment』
Aphrose『Good Love』
Jess Nolan『'93』
Ruby Wood『Sincerely』
Laura Groves『Radio Red』
Sofia Grant『Extinction』
Puma Blue『Holy Waters』
Laura Misch『Sample The Sky』
((( O )))『((( 4 )))』
Zola Marcelle『Becoming (Deluxe)』
Kyoko Takenaka + Tomoki Sanders『Planet Q』
Matthew Halsall『An Ever Changing View』
Danny Scott Lane『Shower』
Lemon Quartet『ArtsFest』
Beverly Glenn-Copeland『The Ones Ahead』
Anja Lauvdal『Farewell To Faraway Friends (Wurlitzer Improvisations 2021-23)』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

あれだけ猛威をふるった太陽が陰り、爽やかな風が頬をなでるようになりました。
みなさまお変わりないでしょうか。

自身がトランペッターでもあり、Gondwana Recordsの創設者でもあるマシュー・ハルソールの新作が届きました。スピリチュアル・ジャズ=アフリカニズムをサウンドの中軸においた今回のプロジェクトは、早速ジャイルス・ピーターソンらのプレイリストに登場し、ロンドンをはじめ各国のクラブ・シーンを賑わせているようです。
中でも「Water Street」は、軽やかなカリンバとエレピの音色がリードするミニマル・アフリカンな佳曲。天高い秋の空にとても似合います。願わくば、ピクニックやグランピングで大地の恵みとご一緒に。

Matthew Halsall『An Ever Changing View』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

「遊びごころの秋」というテーマで深夜帯は曲の頭文字で“AUTUMN LEAVES”と読めるようにセレクトしている。悪ふざけだと思われても困るので、野暮にならない程度に説明すると、なんらかの縛りを設けることで手癖やそのときの好みから解放され、新旧を問わず思いもかけない曲を選ぶことができるのだ。新しい音源を探すのは確かに楽しいし、刺激的だ。職業選曲家として当然の行為でもある。ただ、聴く側に立ってみると、ある曲が半年前にリリースされたものであろうと30年前の新譜であろうと、初めて聴く曲なのであればそれは「新曲」だ。聴かれぬままデジタル・データとして無機質なままハードディスクに収まる膨大なアーカイヴにあらためて息を吹き込むことも我々の仕事であるように思う。

Rickie Lee Jones『Ghostyhead』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

今年の夏は北海道も酷暑で、僕の住む釧路は例年だとエアコンが要らない地域なんですが、年々真夏日が続き、都内在住のお客様がお盆帰省で滞在した実家がエアコンがないためにかなり暑く、釧路で夏バテしたそうで、温暖化が心配になりながらも、やっと秋になり涼しく心地よい季節になりました。



さて僕の偶像であるEd Motta待望の新譜が5年ぶりにリリースされます。

10年前にリリースされた名盤『AOR』からの流れをくむ、スティーリー・ダンのような緻密で洗練されたアレンジに、ブルーノート東京で観たライヴを思い出し、来日公演を期待せずにはいられません。

お土産で渡した六花亭バターサンドをEd Mottaご自身のInstagramにアップしてくれたお茶目な感じも忘れられません。

あ! 昨年ご本人からInstagram経由で安部恭弘のアルバムをWAVで送ってほしいと頼まれていたことを、今思い出しました……。怒っていないことを祈りつつ、もし来日されたらバターサンドを差し入れします(笑)。

Ed Motta『Behind The Tea Chronicles』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

新作のリリースを心待ちにしていたアーティストの一人、ブルーノ・メジャー。ジャズやクラシックを背景にした美しい旋律、洗練されたプロダクションが人気の彼ですが、3枚目となる本作は内省的な楽曲と客観的な視点で書かれた楽曲をバランスよく配置し、アルバムとして、これまでで最も完成度の高いものに仕上げています。本セレクションでは、シンプルなギターで奏でられる旋律にブルーノの歌声がなんとも切ないアルバム・タイトル曲「Columbo」、そして洗練されたメロディーにソウルフルで甘い歌声がロマンティックな「Tell Her」をセレクトさせていただきました。深まる秋の気配を音で感じていただけたら幸いです。ぜひ聴いてみてください。

Bruno Major『Columbo』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

活動停止してしまった、FAT MASAくん共々心底ライヴのお手伝いをしていたindigo jam unit。
今思い出すと、インディゴ好きの方々に協力してもらって作ったイヴェント・フライヤーはもちろん、チケットや配布用CDを作成したり、手作り感覚で、バンドの魅力やバンドを通じて新たな音楽を聴いてほしいなという純粋な気持ちで、ライヴを主催させていただいておりました。
あれから約7年。
なんとイギリスの伝説のジャズDJ、ポール・マーフィーのレーベルからindigo jam unitの編集盤がリリースされているではありませんか! 嬉しさと懐かしさと、そして「当時リリースしてよ!」という心の声。
レア盤が復刻されたときの、バンド周辺の方々の気持ちが少しわかりました。
とはいえ、ロンドン他ヨーロッパなどで、DJパーティーやラジオでオンエアされていると想像するだけで、テンションあがります。
そんな心境で、久々晩秋ジャズ・セレクションを中心にお届けいたします。
ちなみにメンバーのベース笹井克彦さんに「これは再結成するやろ?」と訊いたところ「ないです」と言われましたが、The Smithsのアンディー・ルークが他界して完全The Smithsの再結成が消滅した今、私にとってindigo jam unitの再結成が一番の願いであります。

indigo jam unit『Colin Curtis Presents: indigo jam unit』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

イングランド北部に位置するリーズを拠点に活動する、ヨークシャー出身のシンガー・ソングライター、Chris Brainが今年の7月にリリースしたシングル「Golden Days」を、2023 Autumn Selectionのベストワンに選びました。柔らかな秋の木もれ陽を想わせる、きらきらと零れ落ちるギターのフィンガーピッキングと、つつましくも伸びやかに響くストリングス、はっとするほど美しいメロディーを紡ぐピアノの音色と、温かく慈悲に満ちたクリスの歌声。黄金色に染まりゆく秋色の風景に心地よく馴染む、清らかな光を纏った本当に素晴らしい一曲です。
彼のYouTube Channelにアップされている「Golden Days」のライヴ・ヴィデオも、楽曲同様とてもおすすめな作品なので、ぜひそちらも併せてチェックしてみてください。このヴィデオは彼の生まれ故郷、ヨークシャーにあるウォッシュバーン川のほとりで、昨年の12月に撮影されたものです。その日は指先が凍えるほど寒い朝だったようで、ヴィデオからも凛とした冬の澄んだ空気が伝わってきます。朝焼けの光がほのかに残る羊牧場。厚手の上着を羽織りギター・ケースを抱えたクリスが、草を食む羊たちの間を抜け、陽が上りきる前の薄暗い森の中へと歩み入る。たどり着いたのは誰もいない静かな川辺。蒼く揺れる水面に映るのは、冬の空と立ち枯れた木々の影。小さな椅子に腰かけ、ギターを爪弾き、白い息をはきながらつぶやくように歌いはじめる。自然を心から愛する彼らしい、素朴でどこか懐かしい雰囲気に包まれた、とても素敵なMVに仕上がっています。機会があればぜひご覧ください。

Chris Brain「Golden Days」

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

今回のセレクションは、豊作な新譜のポップでグルーヴィーな曲の合間に、前回の選曲に引き続き、インタールード的にアンビエント的な曲を差し込んで選曲しています。その中でも特におすすめは、NYのフォーク・ポップ・レーベルRuination RecordsのオーナーAdeline Hotelの出たばかりのアルバム『Hot Fruit』。ジャジーでオーケストラ的な、アコースティック・ギターがメインのアンビエント・フォーク、「Seeing Yourself Seen」を選曲しています。アルバムは全体的に穏やかで、心地よい反復とメロディアスな展開に和みます。秋の夜長にじっくりとはまれるこのアルバムにもぜひ耳を傾けてみてください。

Adeline Hotel『Hot Fruit』
Jonny Nash『Point Of Entry』
Sunstroke『Nothing's Wrong In Paradise』
Lionmilk「Florista」
Flanafi『sixth night. sleepless. you made the world. wallowing.』
Bonnie “Prince” Billy『Keeping Secrets Will Destroy You』
Ítallo『Tarde No Walkiria』
Steven Bamidele『Summing Up』
Eriksson Kaner『The Purpose』
Jungle『Volcano』
Laura Marti『Africa』
Jalen Ngonda「If You Don't Want My Love」
Dirg Gerner feat. Theo Croker「Bumpy Ride」
Cleo Sol『Heaven』
Noname『Sundial』
Fieh『III』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

長く続いた残暑がようやく終わり、秋涼を感じながら選んだ今回のセレクションの中から紹介するのは、オーストラリアのシンガー・ソングライターMatt Corbyの待望のニュー・アルバムに収録されているキラー・チューン。冒頭から心を鷲掴みにされるタイトル・コールの「Lover!」のコーラスと、往年のレア盤と同じ匂いがする匠なサウンド・アレンジに、メロウ・グルーヴやフリー・ソウル好きなら思わず「これ誰の曲?」って訊きたくなるだろうミラクルな1曲です。その他にも、現在進行形で好リヴァイヴァルが続いているメロウ・グルーヴ系から、哀愁味を感じるネオ・ソウルや現行のグローバルなシティ・ポップのスパイスを織り交ぜて、日曜日の午前中の空気感にぴったりな選曲をお届けします。

Matt Corby『Everything's Fine』

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

その音楽を初めて聴いたとき、彼はこれまでにたくさんのいい音楽を聴いてきたのだろうと思った。柔らかなギターとリズム、メロウでスウィートな歌声と女声コーラス。密やかな高揚感に、“Dancing In My Room”という曲のタイトルの情景を思い浮かべさえする。スペインはマドリードのシンガー・ソングライターCarlos Abrilのこの一曲は、聴くたびに音楽が持つピュアな輝きを感じさせる。

Carlos Abril feat. KALENA「Dancing In My Room」

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

前回のコメントで初秋の季節なのに、毎日が暑すぎて頭の中は冷たい生ビールとかき氷しか思い浮かびませんと書いてしまいましたが、あれからの1か月もほぼ毎日が真夏日……。残暑というよりも夏真っ盛りな熱中地獄の日が続いていましたね。しかしようやくその地獄から抜け出た感じがしてきました。夜もだいぶ過ごしやすくなり、つい最近までは一晩中冷房をつけっぱなしにしていましたが、やっとそのスウィッチを切ることができました。ということで長かった夏を抜け、やっと訪れた秋の夜を心地よくする虫の鳴き声のようなリラクシンで透き通ったフィーリングを持つ音楽を集めて今回の秋の選曲にしてみました。
まずはオレゴン州ポートランド出身のGriffin Washburnの音楽プロジェクト、Goth Babeの新曲「Bioluminescence」を先頭バッターに配置。続いてミネソタ州生まれの女性アーティスト、METTEのキャッチーなポップ・ソングとグルーヴィーでダンサブルな要素を併せもつ「VAN GOGH」や、イントロのカッティング・ギターが心地よいオーストラリアはシドニーで活動するZeppelin HamiltonとClayton Allenの男性デュオ・ユニット、Velvet Tripの「Silly Boy」、カリフォルニアの男性アーティスト、PoolsideがVansireとコラボレイトしたメロウなナンバー「Float Away」、郷愁を帯びたコーラスが作品全体を優しく包み込む、ドイツのバイエルン州最大の都市ミュンヘン出身のアーティスト、Phantom Youthの9月初頭にリリースされた新作『Slide Back』収録の「Steal The Air」などをセレクト。自分の選曲では常連アーティストとなったCal In Redの新作「Habits」や、10月13日にリリースされるニュー・アルバム『Jardin』の内容がBandcampで徐々にわかってきたMUNYAの、フロリダのシューゲイズ・ドリーム・ポップ・バンドCathedral Bellsとのコラボ作「Blurred Out」も安定の素晴らしさですが、初めて取り上げたイギリスのニューカッスル・アポン・タイン出身男性アーティスト、St3VO(スティーヴォ)の「Lucid」や、ニューヨークのロチェスターで活動するBest Frenzの「Skin」なども素敵な作品ですね。
ディナータイム後半は、久しぶりのリリースで嬉しかったのですが、メンバーのジェイムスが初めて授かった子供がHSV1というウィルスのために生後13日で亡くなってしまい、その悲しみを歌った作品ということを知り複雑な想いになってしまったThe Miserable Richの「Glue」から始めてみました。静謐なアコースティック・ギターの響きが心の柔らかい部分に突き刺さる素晴らしい作品ですが、続くスフィアン・スティーヴンスの新作『Javeli』からのリード・シングル「So You Are Tired」がその余韻を優しく受け止めてくれます。ディナータイムの後半は他に、ニューヨークで活動する女性ひとりを含む4人組バンドStrange Rangerの新作アルバム『Pure Music』収録の「Wide Awake」や、ロサンゼルスの男性アーティストEthan Taschの新作アルバム『Got Him!』収録の「Shell」、カリフォルニアで活動するJoe Vannの「Leave That Town」、カナダはブリティッシュ・コロンビア州の州都ヴィクトリアのFreak Heat Wavesが、同じくカナダのトロントで活動しているCindy Leeをゲストに迎えコラボした「In A Moment Divine」などもピックアップしています。
ミッドナイトからの選曲は、シカゴで活動するJohn Wallace Cornadiの音楽プロジェクト、Huron Johnの軽快で思わず笑顔がこぼれるポップ・ソング「Just Me & Friends」をピックアップしてスタート。それに続くのはディナータイムでも取り上げたアーティスト、Phantom Youthの「1999」ですが、この作品もカラフルでマジカルな良質のポップ・ソングですね。そして東京で結成され、今はカリフォルニアをベースに活動しているHoneywhipの新作「Jump In The Fire」や、こちらもカリフォルニアを拠点に活動しているCatherine Moanの「Jawbreaker」、ニューヨークの男性アーティストSea Glassが、ロサンゼルスの女性アーティストYes Kidとコラボした「Never Right」など、女性ヴォーカルがメインの良作もセレクト。他にはスティールパンの音色が美しい、オーストリアの首都ウィーン出身の男性アーティストPressyesの「Blue Crystal Water」や、ニュージーランド出身の5人組バンドLeisureとロンドンの3ピース・ユニットNight Tapesとのコラボ作品「All The Good Times Never Die」などもピックアップしていますが、「All The Good Times Never Die」はある種の中毒性があり、サビのフレーズが頭の中で何度もループしてしまいます。
ミッドナイト後半は、ニューヨークの女性アーティストLayla Edenの音楽プロジェクト、Awfultuneの「Doitttt」から始まり、オーストラリアはメルボルンの女性デュオ・ユニット、Adoredのデビュー・シングル「Blush」や、ミシシッピ州ハッティズバーグの男性アーティスト、Jon Morrowのメロウなドリーム・ポップ「I Don't Mind」、カリフォルニアはサンディエゴの男女デュオ・ユニット、Moon Pandaのニュー・アルバム『Sing Spaceship, Sing!』収録曲「Hummingbird」などに繋げます。この時間帯のお気に入り曲は、アメリカはボルティモアで活動するオルタナティヴ・パンク・バンド、Turnstileがカナダはトロントのアート・ジャズ・アンサンブル・バンド、BADBADNOTGOODとコラボしてリリースしたEP『New Heart Designs』収録の「Mystery」や、ワシントン州シアトルで活動するアジア系男女デュオのBubble Tea And Cigarettesの深夜の闇に溶け込んでいくようなメロウな作品「Room 907」、そしてちょっぴりCigarettes After Sexの香りがするニューヨークの男性アーティスト、River Westinの「Blush」などですね。
さて、前回のコメントでシネイド・オコナーの訃報に触れましたが、自分の中ではいまだにその事実を引きずっており、彼女の作品を聴く毎日が続いています。そして次回の選曲は早くもクリスマス特集になるのですが、その中でシネイド・オコナーの作品をいろいろと取り入れることを決めたのでお楽しみに。ここでいつもの映画のお話ですが、最近U-NEXTで1997年制作のアイルランド・アメリカの合作コメディー映画『ブッチャーボーイ』の配信が始まり、一部映画ファンの間で話題になっています。この作品は日本では劇場公開が予定されていましたが、同じ年に神戸連続児童殺傷事件が起こり、映画の内容が事件を連想させるとのことで公開が見送りとなった経緯があります。また、VHS時代にソフト化はされ、(オンデマンドという形で)DVD化もされたのですが、どれも希少なものなので視聴のハードルは高い作品でした。U-NEXTは今までにもソフト化されていない希少な作品などを多く配信していますが、今回も良い仕事をしていますね。そしてこの『ブッチャーボーイ』ですが、シネイド・オコナーもイエス・キリストの母親である聖母マリア役として出演しています。彼女とカトリック教会との闘い、そして2018年のイスラム教への改宗などを考えるといろいろと考えてしまうことがありますが、自分はこの映画における彼女の役どころは大好きです。もしU-NEXTを鑑賞できる環境があるのなら、ぜひ観ていただきたい作品ですね。ちなみにVHSだけに存在する日本語吹き替え版があるのですが(これが一番視聴のハードルが高いのですが)、この吹き替え版は傑作だと思います(笑)。

Goth Babe「Bioluminescence」
METTE「VAN GOGH」
Velvet Trip「Silly Boy」
Poolside『Blame It All On Love』
Phantom Youth『Slide Back』
Cal In Red「Habits」
ST3VO「Lucid」
Best Frenz『The Mall』
The Miserable Rich「Glue」
Sufjan Stevens『Javeli』
Strange Ranger『Pure Music』
Ethan Tasch『Got Him!』
Joe Vann「Leave That Town」
Freak Heat Waves『Mondo Tempo』
Huron John「Just Me & Friends」
Honeywhip「Jump In The Fire」
Catherine Moan「Jawbreaker」
Sea Glass & Yes Kid「Never Right」
Pressyes「Blue Crystal Water」
Leisure & Night Tapes「All The Good Times Never Die」
Awfultune「Doitttt」
Turnstile『New Heart Designs』
Bubble Tea And Cigarettes「Room 907」
River Westin「Blush」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

長く厳しい残暑も落ち着き、やっと街並みも色づきはじめました。こんなにも秋を待ち焦がれた年はないのではないでしょうか。ということで選曲の方も本格的に秋仕様という感じで、今回はサロン・ジャズ系のヴォーカルとフォーキー系シンガー・ソングライターを中心に、新譜と旧譜を織り交ぜながらラインナップを組んでみました。そんな中、選曲のスパイスになれば、という思いで、今秋にリリースされたクワイエット・コーナーの最新作『Gondwana Records for Quiet Corner』から、いくつかおすすめ曲をピックアップ。ゴンドワナ・レコーズといえば、現在、英国ジャズ・シーンの一端を担う存在となり、ジャズだけではなく、アンビエントやエレクトロニカ、ポスト・クラシカルなど幅広いジャンルの作品を発表している要注目のレーベルですが、やはりレーベル創設者であり、トランペット奏者、コンポーザーとしても才能のあるマシュー・ハルソールを抜きにして語れません。このオータム・セレクションでは、彼の最新アルバム『An Ever Changing View』より「Water Street」をエントリー。ふと秋のカフェテラスで流れていたら最高に素敵かも、そんな気持ちをこめて選んでみました。ぜひお楽しみください。

Matthew Halsall『An Ever Changing View』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

バレアリック・クラシックとしても名高いLucio Battistiの1978年の名曲「To Feel In Love」を、Poolsideの元メンバーであるFilip Nikolic(Turbotito)とのコラボで2021年にカヴァーしていたことでも記憶に残るMirror TreeことMichael Gold。クラシックやジャズのピアノの教育を受けていながら旅客機のパイロットでもあるという異色のキャリアを持つ彼は、母親のSharon Robinsonも、レナード・コーエンとの共作や、パティ・ラベル、ブレンダ・ラッセルなどへの楽曲提供で知られるソングライターで、ヴォーカリストだという(昨年、未発表曲を集めたアルバムが発売されていました)。そして今年、先のFilip Nikolicとの共同プロデュースで9月にリリースされた彼のデビュー・アルバムは、スキャットやシネ・ジャズ的な要素も交えられた、なんだかelレーベル〜ハイ・ラマズを思わせるオーケストラル・ポップ風な内容で、ちょっとした驚きでした。今回は「Tuesday」という、まさにこのセレクションがオンエアされる曜日をタイトルにしたインスト曲を冒頭に置きました。秋ならずとも、寒さが深まるこれからの季節を温かくきらびやかに彩ってくれそうな楽曲もちりばめられていて、重宝しそうです。
また、このMirror Treeというソロ・プロジェクト名は、本人の言葉を借りるなら、“光と生命が私たちの周りの人や物に反射する様子の比喩”とのこと。“彼らの存在は、彼らが影響を与えた人々を通して伝えられる”と。それは伊丹十三さんが残した“私自身は──ほとんどまったく無内容な、空っぽの容れ物にすぎない”みたいな言葉に通じる、穏やかな眼差しの身軽な謙虚さが感じられて、とても好きです、はい。

Mirror Tree『Mirror Tree』
Chris Brain『Steady Away』
Bibio『Sunbursting』
Adeline Hotel『Hot Fruit』
Beirut『Hadsel』
Symbol Soup『Slow Puncture』
Le Cluster Ensemble『Le Cluster Ensemble』
Sarah Kang『Hopeless Romantic, Pt. 1』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

Autumn Selectionの時期はフォーキーなシンガー・ソングライターやメロウなR&Bなどの出番が多くなるので、数年前から自分の楽しみも兼ねて「50周年記念企画」というのをやっています。今年なら1973年にリリースされたアルバムや曲にまつわるものを選ぶということですね。この年にリリースされた名盤を挙げると、なんと言ってもスティーヴィー・ワンダーの『Innervisions』をはじめとして、トム・ウェイツ『Closing Time』、エルトン・ジョン『Goodbye Yellow Brick Road』、キャロル・キングは『Fantasy』、トッド・ラングレンなら『A Wizard, A True Star』など……。オリジナルを入れたものもありますし、サバービア・クラシックとなっているカヴァー・ヴァージョンを取り上げたものもありますが、「この曲ってまだ選曲で取り上げてなかったんだ」なんて発見もあり、なかなか楽しいひとときです。

やや話は脱線してしまいますが、クレイジーケンバンドの新作『世界』からの先行シングル曲「SHHH!」に、「恋の恨みは恋で晴らせ」という一節があって、思わず納得してしまいました。そうなんですよね、仕事でも恋愛でも趣味でもそうですが、逃避的な方法に頼っても結局良い結果を生まないと思いますね。さて、「音楽の恨みは音楽で晴らせ!(別に何があったというわけではありません・笑)」というコンセプトで臨んだ今回のアルバム・オブ・ザ・セレクションですが、イヴァン・リンスの新作『My Heart Speaks』がとても良かったです。ソングライティングでシコ・ブアルキがコラボしたオープナー「Renata Maria」から、メロウで切ない秋のムードがたっぷり。セレクションでは敢えてほぼスキャットで展開されるバラード「Missing Miles」を選んだのですが、ランディー・ブレッカーによるミュート・トランペット・ソロも沁みますね。実はこの曲の前にはマイケル・ブレッカーがソロを取るジェイムス・テイラーの「Don’t Let Me Be Lonely Tonight」を置いて、さりげなく兄弟競演としてみました。ちょうど今月来日する日系カナダ人アーティスト、Jonah Yanoの『Portrait Of A Dog』もこの時期にバッチリですね。メランコリックなワルツタイム・ナンバー「Always」が本当に素晴らしく、ハイライトと言ってもいい時間を演出してくれました。

あと、今回のセレクションは10年くらい昔によく聴いていた曲を選んでいるのも特徴かもしれません。どれもやっぱり名曲だと再確認しましたが、10年くらいが寝かせごろなんですかね? 昔はDJだと15年、20年説などあったんですが……。その象徴と言えるのが、今夏に初LP化されたアンドレス・ベエウサエルトの『Dos Ríos』。アナログで聴き直して、改めて心の深いところに届いてくる音楽の力を感じ、新鮮な気持ちでエントリーしました。オープニング・クラシックは数年ぶりにグレン・グールド弾くブラームス『間奏曲集』より。坂本龍一氏が亡くなった年の秋だからこそ、彼が愛してやまなかったこの演奏をセレクションの最初に置きました。ちなみに村上春樹の初期短編「シドニーのグリーン・ストリート」で、主人公が「いちばん好きなレコード」と言っているのがこのアルバムです。このレコードを紹介するとき、僕はほぼ毎回のようにこのことを書くのですが、なんだかとても素敵なエピソードだと思います。

Glenn Gould『Brahms: 10 Intermezzi For Piano』
Ivan Lins『My Heart Speaks』
Carole King『Fantasy』
V.A.『Come On Up To The House: Women Sing Waits』
Svante Thuresson『Just In Time』
The Stefan Scaggiari Trio『Stefanitely』
Massimo Farao Trio feat. Sandy Patton『My Baby Just Cares For Me』
Laufey『Bewitched』
Jonah Yano『Portrait Of A Dog』
Eisa Davis『Something Else』
Kendrick Scott Oracle『Conviction』
Andrés Beeuwsaert『Dos Ríos』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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