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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2022 Winter & Christmas Selection(12月1日~12月25日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

3年前までは、12月ならではの心暖まるロマンティックな気分や装いに合わせて、華やいだ街並みを甘美に祝福するような選曲を心がけていたウィンター&クリスマス・セレクションですが、コロナ禍以降は少し雰囲気を落ちつけて、それでも一年で最も心暖まりたくなる季節の心象風景に寄り添い、少しでも素敵な音楽でささやかな幸せを彩ることができたらと希って、セレクトに励んでいます。今年もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しました。
例年はクリスマス・ソングばかりに頼らずにクリスマス前の気分にフィットするようなセレクションに仕上げることができたら、という理想を描いていましたが、今年は(個人的にも)コロナ禍からの復興を希う気持ちが強いのか、ストレイトにクリスマス・ソングを聴きたい気持ちが高まっているような気がします。そんな印象もあって、月〜日のトワイライトタイムの特集は、「usen for Cafe Apres-midi」の21年間の歴史の中で定番になってきたクリスマス・ソングに、今年リリース分のお気に入りを加えた計100曲以上を、シャッフル・プレイ放送でお届けすることにしました。
その他の時間帯は、相変わらず大充実のニュー・アライヴァルの恩恵を受けて、その95%以上をこの秋の新譜で構成しています。何と言っても「usen for Cafe Apres-midi」でもヘヴィー・プレイしてきましたロンドンのマイ・フェイヴァリット・コレクティヴ、Saultによるダウンロード・アルバム5作の一挙リリースが大きなトピックですが、敢えて“Album Of The Season”を選ぶなら、Nosaj Thingの『Continua』でしょうか。もし自分が今、真夜中にひとり音楽を聴きながらドライヴできるような環境にいたならば、“Album Of The Year”かもしれないなと思ってしまうほど、その深い世界観に感銘を受けている傑作です。また、やはり「usen for Cafe Apres-midi」の常連ですが、そのアルバムにも参加しているDuval Timothyの新作『Meeting With A Judas Tree』も素晴らしく、ケンドリック・ラマー『Mr. Morale & The Big Steppers』などへの貢献も含め、今年のMVPは実は彼ではないかと、密かな確信を深めているところです。
曲単位では、3作目となるニュー・アルバム『Tableau』で一気に飛躍をとげたThe Oriellesの白眉「Honfleur Remembered」や、名門Flying DutchmanとAcid Jazzがダブルネイムで贈るBilly Valentineによるカーティス・メイフィールド「We The People Who Are Darker Than Blue」のグレイト・ジャズ・カヴァーが、とりわけ印象深く胸に刻まれていますが、今回のセレクションで特に活躍してくれた24作のジャケットを掲載しておきますので、ぜひその中身にも触れていただけたら嬉しいです。それでは皆さん、引き続きつらいことも多く、かつてのように心躍らせるのは容易なことではありませんが、ポジティヴな気持ちで来年を迎えられることを祈って、心安らぐ素敵なウィンター&クリスマスを!

Sault『Untitled (God)』
Sault『11』
Sault『Earth』
Nosaj Thing『Continua』
Duval Timothy『Meeting With A Judas Tree』
The Orielles『Tableau』
Gaba Cannal『Deepest Gratitude』
WizKid『More Love, Less Ego』
Smino『Luv 4 Rent』
NNAMDÏ『Please Have A Seat』
The Charles Géne Suite『Suite Nites』
Flwr Chyld『Luv N Chaos』
Louis Cole『Quality Over Opinion』
Justin Orok『Kanata』
Arima Ederra『An Orange Colored Day』
Maxine Funke『Pieces Of Driftwood』
Logan Farmer『A Mold For The Bell』
Surya Botofasina『Everyone's Children』
ulla『foam』
Caity Gyorgy『Featuring』
Pau Vallvé『: )』
Didier Sustrac & Roberto Di Ferdinando『Bossa Saravá』
Giuliano Eriston『Universo Em Si』
Ana Gabriela『Degradê』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

クリスマスの名曲と言えば、ジョン・レノンもポール・マッカートニーも確かにすごく素晴らしいが、自分では山下達郎やワムのほうが好みだったりする。新曲でもなく何度も聴いているのに、若い頃より歳をとるたびに好きになっていく。
でも今年はレイラ・ハサウェイが父親である故ダニーとの念願のデュエットを叶えた「This Christmas」がやっぱり目玉ですね。なんだかんだ好きなクリスマスの名曲は、幸せ感も切なさも包み込んで、毎年満たされた気分にしてくれます。

Donny Hathaway & Lalah Hathaway 「This Christmas」

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

シャソールの代名詞とも言えるスピーチ・ハーモニゼイション(かつてバラク・オバマ米元大統領の演説に音階をつけたことで一躍有名になりましたね)に導かれ、幻想的な冬世界への扉が開きます。ここのところ年を経るたびに濃度を増していくクリスマス・セレクションのリストにおいても、特にスペシャルな風景を演出してくれるニュー・スタンダードとして聴き続けることになるでしょう。2020年の作品でありながら2022年11月現在でいまだにデジタル・データのみのリリースなので、シーズン・アイテム〜全体のサイズ感的にも、いつか10インチでのアナログ化とかが実現すると嬉しいですね。

Chassol『The Message Of Xmas』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

2022年ウィンター&クリスマスのラストは2020年12月12日に開催された坂本龍一の無観客のピアノ・ソロ・コンサートから「Merry Chrsitmas Mr. Lawrence」を選びました。2年後の今年12月11日に配信されるピアノ・ソロ・コンサートも楽しみです。

Joyce Cooling『The Holiday’s On!』
Donny Hathaway & Lalah Hathaway「This Christmas」
Gustavo Infante『Maré de caracóis』
V.A.『Blue Note Re:imagined II』
The Greg Foat Group『Blue Lotus』
Luciel『From Outside』
Ronald Isley & The Isley Brothers『Make Me Say It Again, Girl』
The Charles Géne Suite『Suite Nites』
Nick Hakim『Cometa』
Loraine James『Building Something Beautiful For Me』
Nosaj Thing『Continua』
Kingsley Ibeneche『Udo』
Svaneborg Kardyb『Over Tage』
Pip Millett『When Everythng Is Better, I'll Let You Know』
Scott Orr『Oh Man (Acoustic Version)』
Yoshiharu Takeda『Before The Blessing』
Takuro Okada『Betsu No Jikan』
Misha Panfilov『Momentum』
Nate Mercereau『Sundays Expansion』
Don Glori『Welcome』
Deniz Cuylan『Rings Of Juniper』
Seahawks『Infinite Echo』
Cole Pulice『Scry』
Ryuichi Sakamoto『Ryuichi Sakamoto: Playing The Piano 12122020』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

2022年も閉幕の時期となりました。人生を一巻のストーリーに見立てるとすれば、いよいよオチを捻ればならない時期を迎える私にとって特に不愉快でも愉快でもありませんが、コロナ禍を過ごしてきた中で「時間のありがたみ」は確実に実感しております。だからこそ、板状に成形された洗練式電話の画面に釘付けになることなく、なるべく車窓の景色を愉しみ、また間違っても今日の昼食を印画し衆目に晒すようなことはしないように心がけています。これはいよいよ死に向かう壮年男性の戯論ですから、別のストーリーを生きる方には何の役にもたちません。何卒ご放念くださいませ。

ここ最近乾いた空気と心を満たしてくれるのは、カラカラに乾いたバンジョーの音色だったりします。このコメントを書いている段階でまだアメリカ合衆国の中間選挙の結果が出ていないのですが、このタイミングで「アメリカの心」というべき音楽を愛することができるのは幸運というべきでしょう。放浪で鍛えられたウディ・ガスリーの詩情、優しい眼差しがそのまま声になったピート・シーガーの弾き語り。ランブリン・ジャック・エリオットによる古典アメリカへの憧憬と、それらを記録しようと世界を股にかけるアラン・ローマックスやフォークウェイズ・レコードのモーゼス・アッシュの行動力。それらは好き嫌いを超えて「スタンダード=正調の音楽」としてこれからも語り継がれていくのと同時に、選挙の結果次第では「プロテスト・ソング」としてメインストリームに息を吹き返す可能性だってあります。偉大なるアメリカン・ミュージック。みなさまは触れたことがありますか?

2022年も聖夜の時期を迎えました。アメリカン・スピリットを胸に、いまこそ唄い継ぐのはスフィアン・スティーヴンス。彼が2006年にひっそりと発表したのは『ソングス・フォー・クリスマス』という小品集でした。スタンダードを織り交ぜながら聖夜を語る本盤は副題の「シングアロング」に彼の想いが凝縮されており、アメリカ音楽への憧憬とやさしい詩情に溢れています。これはストーリーテリング(自伝や伝承に基づいた表現)を得意とするミシガン出身であるスフィアンらしいソングライティングであり、都会的なパンチ・ブラザーズによるアメリカン・ミュージックとはまた一線を画しているように思いますがいかがでしょうか。珠玉のクリスマス集ですが、白眉は「オ・ホーリー・ナイト」「オンリー・アット・クリスマス・タイム」あたり。スフィアン・スティーヴンスの世界、機会がありましたらぜひ聴いてみてください。

来年もみなさまにご加護がありますように。

Sufjan Stevens『Songs For Christmas』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

クリスマス・ソングはオーソドックスなのが好みだ。デュエットならさらに良い。ほどほどに厳かで、ほどほどに甘く。この絶妙なさじ加減はヴェテラン勢の得意とするところ。ジェーン・モンハイトとジョン・ピザレリ。不満などあろうはずがない最高の組み合わせ。熟して、なお瑞々しい。

Jane Monheit『The Merriest』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

今年は冬の訪れが、いつもよりゆるやかに近づいている今日この頃でございます。
クリスマスが今年もやってくる、ということで今シーズンの白眉は念願の親子共演が実現したダニー・ハサウェイとレイラ・ハサウェイ。
「This Christmas」の数多ある名カヴァーの中でも、満を持して出たこの曲に敵うものはございません。
レイラ・ハサウェイが用意した最高のクリスマス・プレゼントに感謝して、いつか暖炉の前でゆっくりとクリスマスを過ごす身分になりたいと願い、今日もせっせと働きます(笑)。メリー・クリスマス!

Donny Hathaway & Lalah Hathaway「This Christmas」

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

毎年、選曲しながら自ら心が温かくなってしまうこの時期のセレクション。今年は「It's You」で知られるジョイス・クーリングがリリースしたクリスマス・アルバム『The Holiday’s On!』からの楽曲と10月に行われたライヴも好評だったノラ・ジョーンズが昨年リリースしたクリスマス・アルバム『I Dream Of Christmas』に新録を加えたデラックス・エディションからの楽曲を軸にセレクトしました。コロナ感染拡大がなかなか収まらない状況下ですが、皆さま、素敵なクリスマス・シーズンをお迎えください!

Joyce Cooling『The Holiday’s On!』
Norah Jones『I Dream Of Christmas』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

ウィンター&クリスマスの選曲は、選曲し終わった時点から次の年の選曲は始まります。
そして、これまではクリスマス・ソングではないが、クリスマス感のある楽曲でクリスマス空間を選曲してきましたが、今回は、クリスマス・ソング100%。
どこか廉価盤CDのタイトルみたいですが、そんなことはありません。
クリスマス・ソングなのにクリスマスではないとクリスマス・ソングの間の近すぎず離れすぎず結婚しない恋人同士のような距離感を持ったクリスマス・ソング集なのであります。
友人にプレゼントでいただいたMarika Hackmanの『Wonderland』は、新クリスマス・ソング集というべき心地よいザラザラした庶民派アコースティック・クリスマス・アルバムです。
このアルバムをきっかけに今回は「ひとりぼっちのクリスマスの夜」をテーマで選曲してます。
ひとり誘われたクリスマス・パーティーへ向かい、楽しい華やかなクリスマス・パーティー。とはいえ、やはりなんとなく愛嬌笑顔で話しつつスルッといつものバーへ逃げ込み、いつもの奥のカウンター席で、ひとりスパークリング・ワイン。マスターにも1杯奢る。しかしいつもは見ない女性がマスターと恋話で盛り上がっていて、面倒そうなので1杯で帰宅。帰宅して昨日友人が持ってきてくれた残りワインをゆっくり呑みながらソファで、うとうと。そんなひとりクリスマスの夜。しかし出逢いは大事にしないとですね……。メリー・クリスマス!

Marika Hackman『Wonderland』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

今年のWinter & Christmas Selectionは、誰もが笑顔になれる、とびっきりマジカルなクリスマス・ソングをご紹介いたします。NY出身の女性シンガー・ソングライター、イングリッド・マイケルソンと、同じくアメリカ出身の男性シンガー・ソングライター、ジェイソン・ムラーズとのデュエット・ソング「Christmas Valentine」(2020)。イングリッドのほんのりハスキーで甘い歌声と、ジェイソンの伸びやかでフレンドリーな歌声との掛け合いは、まるで恋人たちの楽しいおしゃべりのように、スウィートでリラックスしたムードに包まれています。「ベイビー、ぼくのものになってよ。きみと一緒に毎日をクリスマスにしたいんだ」というロマンティックでキュートな歌詞にも心ときめきます。キャッチーなメロディーにのせた「Baby just be mine♪」は、何度も口ずさみたくなる、胸キュン必至のキラー・フレーズ。愛らしいパペット・アニメイションで撮られたミュージック・ヴィデオも、とってもおすすめなので、ぜひチェックしてみてくださいね!

メリー・クリスマス! 素敵なクリスマスをお迎えください!

Ingrid Michaelson & Jason Mraz「Christmas Valentine」

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

今年も数多くのクリスマス・ソングや、このシーズンにマッチする素敵なナンバーを揃えました。
そのほとんどが2015年以降の曲で、新譜をメインとした選曲と馴染むように全体を構成しています。

The Randy Paserntes Trio feat. Sam Gendel and Gabe Noelはこのシーズンに合うしっとりとした心温まる曲が連なるカヴァー集。先行シングルの「My Best Girl」を選びましたが、アルバムには他にもブロッサム・ディアリーが歌った「Now At Last」や、ラドカ・トネフが歌った「The Moon Is A Harsh Mistress」、ポール・マッカートニーの「Waterfalls」など、懐かしさを感じる名曲が、Sam Gendelを交えてオールディーズな印象だけではなく、新鮮さを感じる内容に仕上がっています。

Jason LaPierre & edaの「Along The Way」はクリスマス・シーズンにぴったりな切ないバラードで美しいメロディー展開が心に響きます。Jacob Collier、Bruno Major、チェット・ベイカー、ウェス・モンゴメリーなどから影響を受けたというサウンドはメロウでおすすめです。

世界が平和になって、誰もが穏やかな雰囲気で暖かく楽しいひとときを迎えられたらと祈るように選曲していますので、楽しんでもらえればとても嬉しいです。

The Randy Paserntes Trio feat. Sam Gendel and Gabe Noel『Now At Last』
Jason LaPierre & eda「Along The Way」
Mike Lundy『December '99』
Matt Dorrien『Christmas In LA』
Show Dem Camp『Palmwine Music 3』
Julius Rodriguez『Let Sound Tell All』
Teebs「Did It Again」
Sumo『Trakul EP』
Louis Cole『Quality Over Opinion』
Fievel Is Glauque「Go Down Softly」
Other Lands『Archipelagos』
Makaya McCraven『In These Times』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

早いもので今年もあっという間にクリスマス選曲の季節ですね。今年の選曲の中で新しく偶然出会ったトラックを中心に、「usen for Cafe Apres-midi」の流れるこの季節の空間にぴったりのナンバーを集めてお贈りします。
そんな選曲の1曲目に選んだのは、砂浜の上にたてられたもみの木を挟んで座る二人の風景に心を奪われたこの「Sleigh Ride」で、Loren Northの切なくて美しい唄声とAaron Ferrerのセンス抜群のギターのタッチとユニゾンのヴォーカルが溶け合う、素晴らしいミラクル・ヴァージョンです。
カレンダーを確認したところ、今年はなんと12月25日が日曜日ですので、年に一度の特別な休日の午前中は、ぜひ「usen for Cafe Apres-midi」の選曲が流れる空間で、大切な人と素敵な時間をお過ごしください。

Loren North『Merry Little Christmas EP』

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

“ホリデイズ・オン!”の高らかな掛け声とともに2022年のクリスマスが始まる。あのJoyce Coolingがブランニュー・クリスマス・アルバムをリリース。彼女の軽やかで都会的な歌声とギターが「Christmas, Christmas」や「It’s A Brand New Year With You」などホリデイ・シーズンを祝福する。2023年も穏やかでピースフルな1年でありますように。メリー・クリスマス!

Joyce Cooling『The Holiday's On!』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

クリスマスがやってきます。今年はコロナに関する規制が緩和されたことから、各所でいろいろなイヴェントが復活し、花火大会やハロウィーンなどで多くの人が楽しんでいました。そしてクリスマスが近づき、街が煌びやかなクリスマス色に染まり始め、街頭には人々の笑顔が溢れます。世界を見渡せば、決してハッピーなことばかりではありませんが、ハッピー・クリスマスという思いを込めて、今年のクリスマス選曲を紡いでみました。
ディナータイムは、アメリカはヴァージニア州ノーフォークのシンガー・ソングライターIan Randall Thorntonや、北ウェールズ・スランディッドノ出身のアーティストCourteous Thief、カナダの4人組バンドThe Johner Boys、ミズーリ州スプリングフィールドのシンガー・ソングライターHudson Freemanなどのアコースティックな響きの作品でまとめ、ミッドナイト以降は、この時期の自分的定番ソングであるシネイド・オコナー、コクトー・トゥインズ、シェリアン・オーファン、ファイスト、そしてU2にアバ、ポーグス、プリテンダーズ、ダメ押しにルーファス・ウェインライトといった具合に名曲のオン・パレードで構成しました。

さて、今回の映画にまつわるお話ですが、もちろんクリスマスに関係のある作品について触れてみたいと思います。以前にも少し触れましたが、クリスマスが舞台の映画で特別思い入れがある作品と言えば、1962年制作のフランス映画『シベールの日曜日』です。戦争で心に傷を負った青年と、親から離れ修道院に入れられてしまった少女の純粋な交流を描いたこの作品は、1962年にヴェネツィア映画祭特別表彰、1963年にはアカデミー賞外国語映画賞に輝いています。アメリカの脚本家・映画監督のハーモニー・コリンもフェイヴァリットなフランス映画だと言っていましたね。しかし現在観ることのできるヴァージョンは、Amazonのカスタマー・レヴューなどにも複数の方が書いていますが、重要なクライマックスの場面がカットされているらしいのです。そのシーンを詳しく描写している方もいるので信憑性は高いのですが、このエピソードを知ってから、ずっとこのシーンを観るのが夢でした。そしてもしやと思いアメリカのクライテリオン社から出ているブルーレイなども購入してみたのですが、内容は日本盤と同じものでがっかりした経験があります。そんなときにあるお方が昔TVで放送されたこの作品のとても貴重な吹き替え版をお持ちで、それをご厚意で鑑賞させてもらえることになりました。この吹き替え版が制作され初めて放送されたのが1972年11月12日の『日曜洋画劇場』だということで、その再放送版といえども1972年版と同じ素材なので期待は高まりましたが、残念ながら期待したシーンはなく、手持ちのソフトと同じ展開でした。しかしそれを差し引いても、大変貴重な吹き替え版を鑑賞できてとても感動しました。ちなみにAmazonのカスタマー・レヴューでもこの吹き替え版に触れている人がいて、その方もこの吹き替え版は絶品だとおっしゃっています。そしてそこにはハーディ・クリューガーの声を務めたのが鹿賀丈史さんだと書かれていますが、実際は江守徹さんです。しかしこれが自分にはとてもじわじわとツボにハマるナイスな間違いでした(笑)。

Ian Randall Thornton「North & South」
Courteous Thief「Mountains And Sea」
The Johner Boys「Let It Snowman, Let It Reindeer」
Hudson Freeman「Warm Me, Winter」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

毎年、マイ・スタンダードを中心に、その年のクリスマス・ソングの新曲や、たまたま発見した曲を加えて、さらにはこの時期にぴったりの曲を探しながら、選曲リストがアップデイトされていく様子が楽しいです。選曲の前半は、ランチタイムを華やかに演出してくれるグルーヴィーでラウンジーな曲を並べてみましたが、後半のティータイムは少しメロウな雰囲気に。中でも、ぜひおすすめしたいのが、アイスランドのジャズ・ヴォーカリストのSilva Thordardottirと、ピアニストのSteingrímur Teagueによる「Try Your Wings」のカヴァーで、何と言ってもブロッサム・ディアリーのヴァージョンが人気ですが、この二人のヴァージョンも素晴らしくメロウな雰囲気で、久々にしびれました。こちらもぜひみなさんのクリスマス・スタンダードに加えてもらえれば嬉しいです。

Silva Thordardottir & Steingrímur Teague「Try Your Wings」

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

できればその年の空気感みたいなものが感じられるように、様々な出来事や風景に思いを馳せ編むことを心がけているクリスマスの選曲。そんな今年は、ドビュッシー晩年の歌曲である、第1次世界大戦における戦災孤児たちを題材にした「もう家のない子のクリスマス」が、気分的には頭の中で鳴り続けてはなれない年でした。今回、選曲の納期までに新曲のクリスマス・ソングに出会うことはかないませんでしたが、とりあえずここでは、昨年11月末にリリースされた、Shannon Wiseの歌声が子供のように可憐なNYのヴィンテージ・サイケ風男女デュオThe Shacksのクリスマス・シングル2枚をピックアップ。切なくも穏やかで心温まる曲を連ねた今年のWinter & Christmas Selectionに、別の世界へと誘うような浮遊感をたたえ、美しく溶けこんでくれました。
それでは、どうか皆さまのもとへ、素敵なクリスマスが訪れますように。

The Shacks「Got To Be Christmas」
The Shacks「Christmas Time Is Here」
Laufey「A Very Laufey Holiday」
Louis Cole『Quality Over Opinion』
Bibio『BIB10』
Jonah Yano『portrait of a dog』
The Welcome Wagon『Esther』
Sam Prekop『The Sparrow』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

11月上旬に仕事で名古屋に行く機会があったのですが、ホテルのロビーや駅前のビルの前に大きなクリスマス・ツリーが飾られていて、ハロウィーンが終わったらもうクリスマスという切り替えの早さとも相まって、最近は気候の上でも意識の上でも秋が短くなったなあと思わせられました。この放送が流れるのはちょうど12月1日からなので、その頃には街もよりクリスマス・ムードが高まっているのでしょうね。
今年のWinter & Christmas Selectionは、ここ数年の集大成とも言えるものになりました。もちろん、新曲も織り交ぜつつの構成ですが、「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルのセレクターを始めてからのマイ・スタンダードをたっぷりと収め、来年は新たな気持ちでセレクションに臨みたいと考えています。さて、現状でのベスト・クリスマス・アルバム2022は、アリシア・キーズの『Santa Baby』ですかね。しっとりとアダルトに仕上げられたタイトル曲や「Christmas Time Is Here」をはじめ、彼女の誠実な個性がよく感じられる仕上がりになっています。今回はヴィンテージ・ソウル感漂う「December Back 2 June」をエントリーし、エイミー・ワインハウスのジャクソン・ファイヴ・カヴァーなどと並べてみました。

続いて、アルバム・オブ・ザ・セレクションは、前回のタイミングでご紹介できなかった『Blue Note Re:imagined II』です。なんと言ってもコナー・アルバートの「You Make Me Feel So Good」が素晴らしかったですね。ネクスト・トム・ミッシュとの呼び声も高い彼ですが、オリジナルのボビ・ハンフリーの持つメロウネスにブレイクビーツ風のリズムが掛け合わされていて、とてもフレッシュに響きました。parthenopeによる、寒くなってくると聴きたくなるノラ・ジョーンズ「Don’t Know Why」のカヴァーも好感度大でしたね。参加アーティストは前作と比較すると、期待のニューカマーが中心というラインナップですが、「usen for Cafe Apres-midi」チャンネル的に選曲しやすい曲が並んでいたと感じました。ブルーノートのオムニバスというつながりで言うと、レナード・コーエンのトリビュート・アルバム『Here It Is: A Tribute To Leonard Cohen』も大推薦です。名匠ラリー・クラインが自らのコネクションをフルに活用して豪華メンバーが集結した、ジャズとアメリカーナのエッセンシャルな蜜月という作品に仕上がっていますね。このアルバムのあとにハービー・ハンコックのジョニ・ミッチェル・トリビュートを聴いたのですが、こちらも改めて素晴らしい作品(ウェイン・ショーターのサクソフォン!)だと感じ入りました。

琥珀色のメロウ・ソウル「What Am I Gonna Do」で知られるレディ・ソウル・シンガー、グロリア・スコットの半世紀近い時をこえて届けられた奇跡の新作『So Wonderful』も予想を上回る好作でしたね。ジャケットで着ているグリーンのニットはやっぱり前作を踏まえているのでしょうか(笑)。フランスのパーカッショニスト3人組、Trio SR9の『Déjà Vu』も紹介しておきましょう。クラシックの音楽教育を受けた彼らがマリンバやヴィブラフォン、トライアングル、さらには創作楽器などを用いて、リアーナ、ビリー・アイリッシュ、アリアナ・グランデ、ファレル・ウィリアムスなどをカヴァーしていて面白いです。説明だけ読むと批評性や実験性の高い作品と思われそうですが、かつてのヤン富田さんのアルバム・コメントを引用するならば、「むずかしい内容ではありません」というところです。「dublab.jp suburbia radio」でもフランク・オーシャン「Super Rich Kids」のカヴァーが取り上げられていて、聴いた瞬間に反応しました。そうそう、武田吉晴さんの『Before The Blessing』についても触れなければ。4年ぶりの新作はなんと鈴木惣一朗(WORLD STANDARD)さんのレーベル“Stella”から。前作『Aspiration』の世界観を引き継ぎながら、より進化/深化した内容になっています。惣一朗さんが取り上げることを薦めたというアメリカン・トラディショナル「Lullaby」は、本当に「心の調律師のような音楽」として響きますし、クリスマスの時期にもぴったりだと思います。

最後にオープニングとエンディングのことを。オープニングは定番、バッハの『クリスマス・オラトリオ』から、カール・リヒター指揮による歴史的録音で。クリスマスにふさわしく敬虔さに満ち、対位法的な構成が素晴らしい第2日の1曲目も考えたのですが、やはりここは喜びにあふれた冒頭曲「歓喜の声を放て、喜び踊れ」を選びました。そしてエンディング・セクションではローラ・ニーロの「It’s Gonna Take A Miracle」を。ちょっとしたときの橋本さんとの会話で「このアルバムはクリスマスに合うね」という話題が出たので、実質的なエンディングというイメージで置いてみました。それではリスナーの皆さま、それぞれの素敵なクリスマスを。

Münchener Bach-Chor, Münchener Bach-Orchester, Karl Richter『Bach: Christmas Oratorio, BWV 248』
Alicia Keys『Santa Baby』
Pierre-Gérard Verny & Graffiti Groupe Vocal『Les demoiselles swinguent à Rochefort』
V.A.『Blue Note Re:imagined II』
Here It Is『Here It Is: A Tribute To Leonard Cohen』
Gloria Scott『So Wonderful』
Trio SR9『Déjà Vu』
Yoshiharu Takeda『Before The Blessing』
Sam Gendel & Antonia Cytrynowicz「Without A Scare」
Ono Yoko with The Plastic Ono Band「Listen, The Snow Is Falling」
Matt Dorrien『My Christmas Plea』
Luara Nyro & LaBelle『Gonna Take A Miracle』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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