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"社風"の正体

大学院を卒業後,就職して2日目.新卒研修が始まった.グループにわかれてワークに取り組むのだが,「みんななんとなく似ているな」と思ったことをよく覚えている.物腰が柔らかくて,穏やかで,先生に好かれていそうな「優等生」といったタイプの人々が集まっていると感じた.

新卒研修中の休日に業界の異なる企業に就職した大学時代の友人と会った.その友人によると,同期入社の人はいわゆる「個性の強い」人ばかりだったそうだ.必ずしも学校の成績が良かったわけではないが何かしらの一芸を持っている,そんな人の集まりだったと語ってくれた.

自分が入社した会社と全然違うと驚いた.そして,企業によって「風土」や「文化」といったものは明確に存在して,それによって求める人物像も変わるのだなと思ったことを今でもよく覚えている.(これはぜひ就職活動をする学生に知っておいてほしいことである.企業は「優秀な」学生を求めるが,「優秀」の定義は企業によって様々なのだ.)

この経験が今でも頭の片隅に残っていたからだろうか.永野重雄著「君は夜逃げしたことがあるか」を借りたついでに図書館をうろうろしていると目に入ったのが植村修一著「”社風”の正体」である.セレンディピティを感じて,ついでに借りて読むことにした.

この本は,様々な企業の実例や企業文化に対する研究を豊富に引用しながら企業文化と企業成長・イノベーションの関係性に迫っている.そして,適切な企業文化を定着させて,これをステークホルダーを敬服・魅了することによって望む方向に動かす力(=ソフトパワー)に変えることを主張している.

”社風”というのは目に見えず,定量的な評価をすることが難しいため,正直なところこれまで私は軽視してきた.企業理念やスローガンに何の意味があるのだろうと思っていた.しかし,数々の企業の例を読んで”社風”が正しく機能すれば企業の成長の大きな原動力となると痛感した.”社風”醸成が成長への手段となるのだ.

自分が所属している会社の理念や価値観について改めて確認したい.そして,その意義や意図についても考え直すきっかけにしようと思う.

備忘録として,引用されていた書籍の中で次読んでみようと思った本をメモしておく.

<アメリカの企業3Mについて考察した本>

<最近の経営学について>

<トヨタの生産管理および経営理念について>



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