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精子を殺す身体

抗精子抗体。それは精子を殺す抗体のこと。

わたしの身体は精子に対してとても強い免疫を持っている
という診断が医師より下りました。

「抗精子抗体が強陽性」

予想もしない言葉に戸惑いを隠しきれませんでした。

告知された日

不妊専門のクリニックに転院してすぐのこと。
初診時に一通りの血液検査をして、結果を聞きに通院。

もしクラミジア感染などで卵管癒着してたらどうしよう…とか
着床障害とかピックアップ障害っていうのも聞くな~
などなど思いながら先生の言葉を待ちました。

すると、予想もしなかった言葉。

「抗精子抗体が強すぎるため、自然妊娠は不可能です」

頭の中は真っ白になり、軽くパニックになりました。

人工授精も希望がないし、体外受精の中でも
卵子に付着した体液に触れることなく精子を送り込める
顕微授精を一番に考えたいとのことでした。

涙を止めることに必死で
言葉がうまく出なかったことを覚えています。


【顕微授精一択】を突き付けられ、今までが無駄だったように思えて
どうにもやりきれない気持ちになりました。

そして、「いつか」では子供をは産めない現実と
向き合わざるを得なくなりました。


抗精子抗体とは?

もともと女性の体内に存在しない精子に対して抗体がある、
体内に入ってきたときに異物とみなして攻撃してしまうこと。

SIV値という精子不動化値によって示されます。
漢字で書くと分かりやすいですね、つまり動けなくしてしまう。

わたしはSIV値が96.90Uでした。
Uというのは【以上】ということで、これ以上測れませんという値。

一般の人:1
⇒基準値。問題なし

弱陽性:2~10
⇒変動するから人工授精や自然妊娠もありうる

強陽性:20以上(97以上は測れない)
⇒体外受精がおすすめ
数値が20なら「20人中1人しか生き残れない」ということ

精子は子宮頸管という膣と子宮の間の道を通って
子宮の中を泳ぎ、卵子にたどり着くのですが
わたしの場合は泳ぎ切れずに卵子までたどり着くのは
まず無理でしょうとのこと。

発症理由は解明されておらず、治療法などもありません。
避妊して数値を下げて…という方法も実践する人もいるそうですが、
わたしの場合は数値が少し下がったところであんまり意味もない。

妊活のために送り込みたいのに、送り込むと抗体ができて妊娠しなくなる…
ハリネズミのジレンマですね!!!!

告げられた日は泣きながら帰りましたが
「敵とみなして攻撃してしまうなんてわたしらしすぎる」と
夫と2人で笑ってしまいました。笑

それまでは体外受精って本当に最終手段としての
妊活のステップアップくらいの感覚でした。

体外受精までは無理にしなくていいな〜など思っていたわたしですが
自然妊娠が不可能と言われ、頭の中は顕微授精一択になりました。

終わりが見えない

日常生活の時々に「普通の生活では子供一生産めないんだな~」と
突然思い出して悲しくて涙が止まらなくなることも。
生まれましたー!だったり子供についての報告が
次々にあがるインスタを見なくなりました。

不妊治療は出口が見えないトンネルの中を歩いているようだと良く言いますが、まさにそうです。
治療には終わりがないし、何度も通院したり時間もかかる。
労力もすごいし、何より膨大なお金がかかります。

そして痛く辛い思いをしても100%授かれるわけではない。

「産まない選択」をすることもあるけれど、
「産みたいのに産めない」のは心が全く違う。

普通に妊娠できれば悩まなくていいことが多すぎるな…と日々思います。

体外受精より体質改善でしょ!と言われたこともありますが、
いくら体質改善しても医学的に妊娠できないんですわたし…
努力でなんとかなる世界ではないです。

「自然妊娠は不可能」と数値で出ている以上、
医療に頼らなければ妊娠はできません。

ということで、私は今日も、薬を自分に打ちます。

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