ひとり世論調査 若者が投票にいかない理由
投票に行かないのは「若者」だけではないし、「元若者」がその後もあまり選挙に行かないのも、投票率があがらない理由なんだから、若者ばかりにフォーカスするのもカチンと来る人がいるかもしれません。
が、投票率は年齢が高くなるにつれてあがるとはいえ、若い頃の投票率が低いと、低い中で少しずつあがっていく、という感じになってしまうので、やはり大切な事かとは思います。
別に若者を責める、というつもりはなく、どういう心持なのだろう、と思ってアンケートで聞いてみました。
2回連続して投票しなかった人たちに聞いてみた
ということで、お小遣いでできる「ひとり世論調査」は、衆院選直後(2024年)ということで、2回連続して投票しなかった、ガチ選挙行かない勢の人たちの選挙や政治についての考え方、感じ方を探ってみました。
アンケートツール Freeasy を利用。
18歳から34歳の1000人を対象に、今回(2024年)と前回(2021年)の選挙で投票したかどうかを聞く(年代別人口・性別比で割付)。
そのうち「前回も今回も投票しなかった」人たち100人に、政治や選挙に対する感じ方を聞いています。
さらに、今回は、与党が過半数割れをするという大きな変化が生まれましたが、これが次回の投票行動に影響しそうかどうかも探ってみました。
「投票してもどうせ変わらない」という人たちにとって、今回の選挙結果が次回にどう影響するのか、というのも大変興味深いところです。
「ガチ不投票勢」の割合は20%
「わからない。覚えていない」を除いた811人のうち、前回はともかく今回は投票した人が446人で、割合は50.6%でした。まだ年代別投票率は出ていませんが、少し高すぎて「良い子」の回答になってしまっているかもしれません。
また、同様に母数を811人として計算すると、前回も今回も投票に行かなかった「ガチ不投票勢」は20%という事になります。1000人ぽっちの調査なのでしっか
りした事は言えないと思いますが、「ガチ不投票勢」に女性の比率がやや多いのも気になります。
自分が一票を投じたところで、結局何も変わらない??
「ガチ不投票勢」へのアンケートで、選択肢(複数選択可能)として用意したのは、以下の項目です。
自分が一票を投じたところで、結局何も変わらない。
どんな選挙結果になっても、社会や政治はそんなに悪いことにはならない。
どんな選挙結果になっても、社会や政治はそんなに良くはならない。
政党や政治家は信頼できないので、投票しても意味がない。
自分がどんな政治を望んでいるのか、正直よく分からない。
考え方に賛同できるような政党や政治家がいない。
どんな政党や候補者が、どんな主張をしているのか、よく分からない。
政治にかかわることは、なんだか「怖い」感じがする。
政治にかかわることは、なんだか「格好悪い」感じがする。
あてはまるものはない
投票に行かない理由としてよく聞かれるのは「一票では何も変わらない」という感覚ですが、「任せておけば大丈夫」という「白紙委任」的な感じ方と、「どうせよくならない」という諦めの2つのパターンがあるかと思い、それもリストに加えています。
他には「政治の事を知らないから」という理由もよく聞きます。これも知識として知らないということと、自分自身の政治的欲求がよく分からないという2面があるかと思いリストに入れています。
また政治的な事柄を避けるような傾向もあるのかと思い、「怖い」「格好悪い」なども入れてみました。
「ガチ不投票勢」の気持ちは「政治不信」
結果は、以下のグラフの通りですが、「自分が一票を投じたところで、結局何も変わらない」が41%でした。
また、「そんなに悪いことにはならない」という白紙委任的な考えをしている人は圧倒的に少なく、「そんなに良くならない」「信頼できない」「賛同できる政党や政治家がいない」と答える人が22%~21%いて、ベースにあるのは「政治不信」的な気持ちである事が推察されます。
「自分がどんな政治を望んでいるのか、正直よく分からない」という選択肢を選んだ人が22%いるのも、少し注目ポイントかと思います。胸に手をあてて考えると、「自分がどんな政治を望んでいるのか」は、なかなか難しい問いですよね。
政治に対する一般的な忌避感は、大変低いことも分かりました。若者は政治的な事柄から遠ざけられているから、投票率が低いのだ、というような考え方もあるようですが、ストレートにそう言えるわけでもなさそうです。
次の選挙は行きますか?
今回(2024年10月)の選挙は、「政治と金」についての批判が吹き荒れて、与党が過半数割れをするという大変動が起きました。まさに「一票が政治を動かした」という状況ですが、それでは、この結果をうけて、「ガチ不投票勢」のみなさんは次の選挙に行きたくなったのでしょうか?
気持ちは変わらないとした人が56%で最多ですが、「行きたくなった」人が18人だったのに対して、「行きたくなくなった」人が26人と、行きたくなくなった人の方が多かったのです。
これはちょっと衝撃です。
投票したくなる政策 投票したくなる政党を
まぁ、考えてみれば、与党過半数割れの状況のもとで、本当に政治や社会が良い方向に変わるのかは予断を許さないわけで、「一票では変わらないって? いや、変わったじゃん!」みたいな単純な話ではないですよね。
「あなたの一票が未来を変える」的なキャッチフレーズもありますが、自分の一票が本当にキャスティングボートになって、政治が変わるわけもなく、自分の望まない方向に変わったとしても、そこには反対側の一票があるわけで、ここには何か綺麗ごと的なギャップがありますよね。
今回のアンケート結果でもわかったような根強い政治不信を考えると、(あたり前ではありますが)投票したくなる政策、投票したくなる政党が生まれない限り、投票率はあがっていかないのではないかと思いました。
「老人会」的には危ういなと思う面もあるのですが、石丸現象や、今回若い層で国民民主党が大きな支持を集めているあたりは、やはり、要注目ですね。