「NPOに公金を使うのはムダ」のウソ、根本的無知


全く理解していない。NPO(非営利団体)は行政の下請けではない。政治・行政にその意識は残るが、行政が捉えられないニーズ、柔軟・迅速に応えられないニーズに応えるもの。ネオリベ的なアウトソーシングの発想は古い。そして、補助金等は巨額には程遠い。予算の中身を見ない、無知なデマが一人歩き。

「利権のために新たな問題を作る、弱者を生む」も連中の常套句。政治・行政に届いていなかった声、ニーズはいくらでもある。マクロ、ミクロ両面での差別、権力の偏り等によって聴かれず、気付かれず、大したことと思われてこなかった。社会構造・意識はすぐには変わらないがそこにNPOの役割がある。

こういう連中が現実にどれほど受益しているかは知らないが、社会的弱者・マイノリティに光が当たり、必要には遥か足りない規模でも予算が充てられることで、自分たちの立場が揺らぐ、既得権益とすら自覚していない自明の利益が侵される、要は「奪われる」と思うのだろう。

結局、暇空らの女性支援団体叩き、#MeToo やフラワーデモなどの女性・ジェンダーに関わる運動等へのアンチ、外国人ヘイト、障がい者バッシング、アイヌ差別、生活保護バッシング、それぞれに重なるNPO叩き等々、根底にあるのはこの感情。他責的な恐怖、不安、怒りなんだよね。

米国を範とするのは大間違い。米国は公的社会支出が少なく、それが格差・貧困問題の背景にありかつ解決が進まない要因。欧米を範にと書きながらスルっと米国の話に絞るのは欺瞞。寄付や民間助成団体の規模が日本は欧米よりはるかに小さいことも無視している。しかも、ふるさと納税が巨大化する歪さ。

税金を使ってNPOが困窮者、困難を抱えた人などのケア・支援などを行うのは広義の再分配。行政の画一的なサービスではなく、アウトリーチしながらサービスを届けていく。あるいは、現金給付やクーポンでサービスは市場購入せよという新自由主義的な暴論(市場は弱者・少数者に排除的)とも違う。

NPO(非営利団体)への委託・補助等でも、行財政改革・予算削減のためのアウトソーシングと、今叩かれているNPOの委託・補助事業等では全く成り立ち、系統が違う。そこも一緒くたにされてるのよね。

結局ね、NPO叩きは無知と差別の産物であるし、マジョリティの側にいると思っている連中が自明の利益=既得権益を奪われることを想像して恐れているだけなのよ。あるいは、自分は権利要求しない/できないでいるのに対してサービスを得られる人たちへの顛倒した怒り。

このスクショのポストは暇空周辺のリポストで見かけていて、さっき浜田聡秘書の村上ゆかりがリポストしたので取り上げた。こういう連中が「公金チューチュー」と言っている。要は叩くことが先にあって、関連の基礎知識はないか誤っていて、様々な差別意識で駆動されているのよ。

巨額の産業補助金・出資、広告代理店等に発注されるイベント、施策毎のシステム構築、コールセンター、シンクタンク等に発注される調査…こういうものこそ政策効果がなかったり中抜きがあったりする。財政難対策になるほどNPOには使われてないし。「わけのわからん」のは自分が意義を知らんだけ。

大体さ、原子力含め技術開発の類とか「国産○○」「日の丸○○」とかでどれだけの予算が無駄に使われてきたたと思っているんだよ。それも「結果的に失敗」ではなくて、当初から想定や戦略を誤っていたのに、イケイケドンドンだったりナショナリズムで熱に浮かされたりなんだよ。

あるいは、リゾート開発、ふるさと創生、地方創生…時の政権が旗を振ったけど、成功事例の方が稀少という結果になっている。NPOと連携し公金を使うのは、そういう大上段で予算規模ありきで質、成果が伴わないやり方への反省が生かされている面もある。

共同親権推進派の「弁護士利権」「シンママ利権」デマもそうだけど、「これがどうやったら利権になる?」というところにのみ暇空らは「利権」を見るからね。あまりに常識外れ。「費用対効果がー」と言う時もその分野、事業に無知だから効果の定義、測定方法が全く我田引水、結論先取りで話にならんし。

暇空も他の連中も「気に食わないところに公金が使われている」から入っているし、無知で調査・分析の方法論も持ってないから、全く滑稽で不合理なことを言っていることに気付かないんだよね。挙句「男女共同参画予算9兆円」デマのようなものを信じるというあり得ない間違いも犯しているし。

まあ、全部1年以上ずっと言ってることなんだけどね。気にして読んで、叩いたり当てこすったりしてくる暇空たちは、それでも一向に理解できないし、しようともしない。とは言え、読んでいてなおデマ、誹謗中傷を続けている訳で、訴訟等では逃げを打てないよということではある。


NPO法のきっかけは阪神大震災の「ボランティア元年」だが、自民党は行政の下請け、手足ならいいけど「反政府」的なものはダメだというスタンスだった。そこを頑張ったのが社民・さきがけであり旧民主党。そして新自由主義志向が強まったのを転換させようとしたのが民主党政権の「新しい公共」。

前も書いたけど、NPO法案審議の舞台が参院に移って壁になったのが故・村上正邦参院自民幹事長。その前にも当時1年生の辻元清美さんが村上さんの自宅を訪ねたりしてたんだけど(その行動力は語り草)、私が秘書をしていた清水澄子さんと堂本暁子さんで直談判に行って前に進めた。

NPOを巡る真の課題は、行政に便利に、安く使われるのをどう変えていくかや、財政基盤や運営基盤をどう強化していくかだし、暴力団や反社が隠れ蓑にすることを含め粗悪なNPOが紛れ込むのを防ぐことも初期からの課題なのだが、NPO叩きという問題が急に膨らむという酷い環境になってしまった。悔しい。

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