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おにぎりセット

家から歩いて10分くらいのところに、おにぎりとお惣菜を売っているこじんまりとしたお店がある。
そこに、時々、お昼ごはんを買いに行く。

無添加で手作りのおにぎりとお惣菜が、ショーケースに並ぶ。お米や海苔にもこだわっているようだ。

私はいつも、おにぎりセットを注文する。おにぎり2つと玉子焼き、唐揚げ2つのセットだ。
おにぎりは、昆布、梅、明太子、鮭、じゃこ…など数種類のおにぎりから好きなものを選べる。

ここに足が向くときは、雑なお昼ご飯が続いていたときや、ちょっと人から優しくされたいときだ。ここのおにぎりとお惣菜は、私を大事にしてくれる気がする。

他にもこのお店を気に入っているポイントがある。
店主の女性の表情と声の大きさが、おにぎりやお惣菜たちと同じトーンであることとか。
買ったものを丁寧に経木(←材木を紙のように薄く削ったもの)で包んでくれることとか。

それに、以前、お店の周年記念の時期にたまたま行ったら、普段お店で使っているお米とお塩を記念品としてくれた。
700円のおにぎりセットを1つしか買ってない私にそれを渡したら、赤字だろうに。
「〇円以上お買い上げの方にプレゼント!」なんてやらないのがこのお店なのだ。

今日は初めて見る、ルッコラの菜飯おにぎりがあった。それと、梅の玄米おにぎりを選んだ。

選んでから「しまった!」と思った。
その日並んでいたおにぎりの価格は、210円~230円。私ったら、230円&230円のおにぎりを選んでしまったのだ。

これではまるで、セットの価格内で最大限に得をしようとしているみたいじゃないか!
ああ、あの素敵な店長に、強欲な女だと思われてはいないだろうか…。
そんな風に思ったのだった。


いや、あの店長はそんな風には思ってはいない。
それはもう絶対に。
なのに、どうして私はこんなしょうもないことに、気をもんでしまうのでしょう。



追伸:おにぎりも卵焼きも唐揚げも全部、相変わらず身体にしみました。



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