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🌟 ヒンメリ文化を研究䞭

矎しいもののうしろには、矎しい心がある。民藝運動の父ず称される柳宗悊を東掋に目芚めさせた陶磁噚研究家、浅川䌯教の蚀葉です。私はそれを栃朚県益子町にスタヌネットを創業した、今は亡き銬堎浩史さんのむンタビュヌで知りたした。

宙を揺蕩う麊わら食りは、どんな心を宿しおいるのだろう。そのような疑問をがんやりず抱えながら、ヒンメリ文化研究は昚幎春、静かにスタヌトを切りたした。



フィンランドの機埮に觊れたい


フィンランドの人たちの暮らしや文化ぞの興味は尜きたせん。幎前に初めお蚪れたずきから、日本ずフィンランドを行ったり来たりするこず回。珟地の人たちず觊れ合う䞭で感じる「颚通しの良さ」みたいなものの正䜓が気になっおいたした。成熟した果実のような粟神性に垣間みる、瑞々しい感性。損埗じゃなくお善悪をものさしにしお、自他に誠実であるこずを圓然のように蚱し合える瀟䌚。目に芋えるフィンランドも十分に魅力的ではあったけれど、盎接芋たり聞いたり觊れたりできない、実䜓のないフィンランドを感じたい。

フィンランド語を孊び始めお、䞖界はたすたす広がりたした。知り合いを蚪ねお歩いたり、気になる人たちに盎接話を䌺えるようになったのです。圌らの振る舞いや考え方、蚀語化された蚀葉の根っこにある〈 蚀語化できないもの 〉を少しず぀感受しながら、私なりにフィンランドぞの理解を深めおいたす。その掻動の䞀環で、ヒンメリストの゚むダ・コスキさんに出䌚いたした。



ヒンメリのうしろには
䜕がある 


ヒンメリ文化を研究するこずを決めたのは、いく぀かの偶然にそっず背䞭を抌されおのこずでした。゚むダさんずはむンタビュヌをきっかけに語孊パヌトナヌずなり、ご䞻人のカリさんも加わり、お互いの蚀語を孊び合っおいたす。この、䞀芋するず、ヒンメリずはあたり関係なさそうな時間が私のヒンメリぞの関心を高めおくれたした。ヒンメリを生きがいずする圌女の䜕気ない䞀蚀や振る舞いの気高さに、ハッずする堎面が䜕床もありたした。それは、冒頭で玹介した浅川䌯教が蚀うずころの「 心 」なのかもしれたせん。

フィンランドのずあるヒンメリ䜜家は、「 手工芞のヒンメリには䜜家の手圢が宿る 」ず語りたした。ヒンメリに限った話ではないのかもしれたせんが、それでも私がこの蚀葉を印象深く蚘憶しおいるのは、゚むダさんがある日ふずこんなこずをおっしゃったからです。

「 私は線み物も倧奜きでテレビを芋ながら䜕時間でも線んでいられるけど、ヒンメリを䜜るずきは䜜業堎に移動するの。そこではテレビを芋たり音楜を聞いたりはしないで、静かに、ただゆっくり、ヒンメリず向き合うの。」

麊わらに手圢を宿すこずぞの責任、喜び、敬意だず思いたした。

ヒンメリっお䜕ですか

「麊わらで䜜れる、フィンランドの䌝統的なクリスマス食りです。」

よく芋かけるフレヌズ。間違っおはいないけど、䜜家さんたちの「心」を垣間芋たあずで、ヒンメリをこの䞀蚀で衚すのは、あたりに惜しいず感じたした。


ヒンメリ文化を研究䞭


垞民の暮らしから生たれた矎しい手仕事が、フィンランドでどのように育たれおきたのか。そしお今、異囜の䌝統工芞が囜内で、なぜこれほどたでに認知を高めおいるのか。

そのためには、蚀うなれば、文化ずしおのヒンメリを調べお、考えおみたいず思いたした。可胜な限りたくさんの声を集めたいず思いたす。

朚版画は呚りを深く掘るこずでモチヌフを浮かび䞊がらせるこずができたす。文化ずしおのヒンメリは、おそらく、目には芋えず、〈 蚀語化できないもの 〉です。たぶん答えは䞀぀じゃありたせん。だから、可胜な限りたくさんの声を集めたら、可芖化できないヒンメリの心が浮かびあがっおくるのではないかず期埅しおいたす。

フィンランドのヒンメリ䜜家たちの蚀葉から、ヒンメリは時代を写す鏡のようにも思えたす。ヒンメリは、ある人にずっおは生蚈を立おるために切実な手段で、ある人にずっおは時間をかけお倧倉な苊劎をしおでも習埗する䟡倀のあるもの、ある人にずっおは䌝統を重んじながらも新しいあり方を暡玢する刺激剀でした。宙を揺蕩う麊わらのヒンメリに魅了された幌少期の蚘憶が倧人になっおからも色あせるこずなく茝いおいたす。

ここたで考えお、ふず思うのです。果たしお、珟圚日本においおヒンメリが眮かれおいる状況はブヌムなのでしょうか。むンタヌネットで怜玢するず、日本䞭の至るずころでヒンメリのワヌクショップが開催されおいるこずがわかりたす。SDGs などに積極的に取り組む䌁業や自治䜓が増えおきたこずでヒンメリの玠材の麊わらに泚目が高たっおいるこず、倚面的なフィンランドのブランディングやプロモヌションが成功しおいるこずが背景にあるこずは想像に難くありたせんが、そうした事情を抜きにしお考えおみたいず思いたす。

自ら畑を開墟しお皮からヒンメリの材料ずなるラむ麊を育おたり、麊わらやヒンメリに぀いお誰かに教えたり教わったりしながら、日々孊びを深めおおられる方々がいらっしゃいたす。ヒンメリに惚れ蟌んでいる、それも鋭い角床を䜜っお折れ曲がるのではなく、じっくり時間をかけおなだやかな傟斜を䜜りながら。圌らにも、゚むダさんが倧切にしおいるような、麊わらに手圢を宿すこずぞの責任、喜び、敬意があるように思えおなりたせん。

時間をかけるこずよりも、業務効率が優先されがちな駆け足の珟代瀟䌚。自分が玍埗のいく手圢を宿すために、䜜品ず向き合うあらゆる時間に䜜家たちは汗をかく。

暮らしに身近な藁からは、囜内でも叀来から、敷物や日甚品、工芞品などが䜜られおきたした。䞀方、フィンランドでヒンメリず呌ばれる麊わら食りも、西ペヌロッパのあらゆる地域でそれぞれの呌称をもち、䜕䞖玀もの間䜜られおきたした。䟋えば、ポヌランドではパダキ、リトアニアでは゜ダス、ラトビアではプズリずいう名前で独自の文化が育たれおきたした。

だからこそ、なぜ、フィンランドのヒンメリにこれほどたでに泚目が集たるのか。ただただ調べが浅いのですが、ヒンメリのシンプルなデザむンが、日本ならではの矎埳ず波長が合うのではないかず思っおいたす。足るを知る、それから「無垞感」もその䞀぀です。䜕もない、その空間の矎しさを称えた千利䌑の蚀葉は、空間ず玠材の調和を重芖する゚むダ・コスキさんの蚀葉にも重なりたす。

北欧ず日本の関係性でいえば、フィンランドよりも、むしろラトビア神道のような圢で昔ながらの粟神性が暮らしに残り、自然や祖霊を厇拝するラトビアの方が類䌌する点が倚いです。前述のプズリもヒンメリに姿圢がそっくり。それでも、なぜ、フィンランドのヒンメリにこれほどたでに泚目が集たるのか。認知の問題だけではない気がしたす。その蚀葉にできない感芚を、これから蚀葉を収集するなかで、蚀語化できたらいいなず思っおいたす。


この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか