ヒンメリを作っている人、ヒンメリに魅了されている人の声を紹介することで、ヒンメリの文化的な側面を考える「ヒンメリが生まれ、育まれる場所プロジェクト」。
第3回は、2014年12月に mtv UUTISET が公開した記事をご紹介します。
原文はこちら
ヒンメリは滅びゆく民族の伝統ではない
現代の暮らしにもフィットする
文化は生き物
ヒンメリがおばあちゃんの家を連想させるものならば、その価値基準とされるヒンメリもまた、時代とともに見直されるべきではないか、という視点がとても面白いです。
例えば、ある時代をある場所で生きた私が、祖父母の家を連想するモノの一つに「黒電話」があります。
現代の子どもたちが少し大きくなった頃に同じような質問をしたところで、同じような回答も共感も得られることはないかと思いますが、彼らは黒電話の音がどんなものかを、スマートフォンの着信音を通じて認知しているはずです。姿形は変わっても、ある時代のある文化が、ひっそりと息づいているのです。
実はこの記事を読むまで、私自身、プラスチックやワイヤーアートで作られるモダンなヒンメリに否定的な気持ちがありました。ところが今、伝統を大切にする心はとても大切ですが、文化を継承するという点では、モダンテイストのヒンメリも一つの形としてあっても良いのではないかなと思います。
ヒンメリの材料は必ずしもライ麦の藁でなければならない、
ヒンメリの色は必ずしもライ麦の藁の色でなければならない、
ヒンメリが飾られるのは必ずしもクリスマスの時期でなければならない。
こうした伝統やヒンメリの文化を理解したうえで、選ばれるのがモダンなヒンメリであっても構わないと思うのです。一方で、「ヒンメリ=フィンランド」「ヒンメリ=クリスマス」「ヒンメリ=正八面体」と何かの記号のようにヒンメリが表現されることには、まだ少し抵抗があります。
それから、もし機会があったら2人のアンナさんには、なんでヒンメリを作ってみようと考えたのか、そのきっかけを伺ってみたいです。身近なところでお金をかけなくても材料の麦わらが手に入る環境であったとしても、なぜヒンメリである必要があったのか。手間暇がかかるし、もっと楽な選択肢もあったと思うんです。それでも2人がヒンメリを選んだのは、エコロジカルでナチュラルな素材の麦に魅了されるに至った何らかのバックグラウンドがあるように思いました。
第4回は新たなヒンメリの作り手に関するロングインタビューをご紹介したいと思います。