見出し画像

📝 繰り返し呟き続けたことばと、心惹かれたこと

短い一生で 心魅かれることに多くは出会わない もし見つけたら 
大切に…大切に…

写真家の星野道夫さんの言葉です。


そしてもうひとつ。

ほんとうに大切なものがあれば、ほかのすべてを無視していい。そうすればうまくいく。自分の世界に入りこみ、目をとじて、大げさな言葉を休まずつぶやき続ける。そのうち確信がもてるようになる。

トーヴェ・ヤンソンの言葉です。

初めてフィンランドを訪れる少し前、私はそれまで時間をかけて育てた夢を手放しました。

しばらく休職したあとでも、有難いことに職場の皆さんに必要としてもらい、私が叶えたかった夢を手に入れて活躍している先輩や同期、私が耐えられなかった不規則な生活や目がまわるほどのスケジュールに必死にくらいついている後輩たちをサポートするポジションを任されました。

たとえどんなに大変な仕事でも、やりたいことや好きなことを見つけた人たちは愚痴を言う横顔さえ輝いて見えて、眩しくて。

何気ない一言に感謝されたり、頼ってもらえたりするとそれはそれで嬉しくて、陰日向になって職場の環境を整えることに必死になる一方で、自分が作り手として再び情熱を傾けられること、夢中になれることを模索していました。

私が幸運だったのは、入社してから一番近くで見守り支えてくれた上司が海外旅行や海外の暮らしに前向きな知見と好奇心をお持ちだったこと。それから、世界のどこかで毎日誰かが働く環境に身を置いていたことです。

気分転換に海外旅行にでも行ってみたら?と提案してくれたのも上司でした。まわりの同僚たちも旅慣れていて、私が初めて海外旅行に行くのだと知って、空港からホテルまでの道をgoogleマップを使って一緒になって予習してくれたり、ちょっぴり複雑な乗り換えを心配してわざわざ地図をプリントアウトして持たせてくれたり、既に仕事で訪れたことがある方はおすすめの町やカフェを教えてくれたり、上司は外貨の両替にもついてきてくれました(笑)


そしていよいよ、フィンランドへ。


途方に暮れながら日々を過ごし、見通しのたたない未来に投げやりな気持ちで決めたことでしたが、職場の仲間たちが私のはじめての海外旅行を一緒に楽しんでくれたから、欲が出ました。自分のために一生懸命になれる心境ではなかったのに誰かの期待には応えたいと思って、おすすめされた島を散歩しているときにふと心が解ける感覚がありました。

また何かを好きになれるかもしれない、また何かに夢中になれるかもしれない、それはひょっとするとフィンランドに関係することなのかもしれない、そんな風に思いました。

帰国してすぐ、フィンランドに興味を持った人ならばほとんど誰しもが一度は通るであろう、ムーミンやマリメッコ、「かもめ食堂」等をひとしきり追体験し、特にムーミンは、Amazonから『楽しいムーミン一家シリーズ』を全話収録したDVD BOXを購入するほどハマりました。そのことを当時の職場で話したら、DVD BOXの制作を手がけたのがその場に居合わせた同僚の親友(!)ということでご縁が繋がり、いま私は彼女から譲り受けたマリメッコのワンピースを着ながらこの記事を書いています。人生って不思議…

フィンランドを旅行した翌年、トーヴェの業績を紹介する催事が東京の銀座で開かれ、冒頭に引用した言葉と出会いました。

おまじないのように、何度も何度も繰り返し心の中で唱えたし、しんどいときはお風呂場で口に出したこともありました。

フィンランドと日本を繋ぐ架け橋になれたらと、様々な思いと覚悟をもって事業を立ち上げている方々が日本に大勢いらっしゃいます。私もその一人になりたくて、正社員の仕事を辞めました。年収は当時の半分以下になってしまいましたが、その時々で軸足を変えながら、片足で旅費を稼ぎ、もう片足ではフィンランド語を学習する日々。大学広報に転職して今年で6年目、契約満了まであと11か月です。1年後、どこで何をしているのか、全く検討がつきません。

そんな状況で自分の力を試してみたくて始めたのが、noteでの不定期更新「等身大のフィンランド」です。既にフィンランドへの知見や興味関心がある方からの反応は嬉しいですし、フィンランドで知り合った方たちもこの企画を面白がって積極的に協力してくれて有難い限りです。

誰かの期待に応えたい。そうやって手探りでも歩き出したら、少しずつ、確信がもてるようになってきました。

等身大のフィンランドは現在、第4回の記事を準備中です。楽しみにお待ちください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?