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推し地下アイドルの卒業から1年、グループが解散する

※読まなくても平気だけどわりと地続きなので読んだほうが内容がわかりやすくなる以前のnote2つです↓
https://note.com/usagoe716/n/n57a594155289
https://note.com/usagoe716/n/nad84051fadb8

2つも前提があるのかよ読むのめんどくさいよ~~~って人向けに上記の記事の内容を簡単に説明すると、私はもともと女性地下アイドルの女ヲタクで、ほぼガチ恋のような感じで足繫く現場に行って騒いでいたけれど結局推しは卒業してしまい、でも推しとした「私が卒業してからもグループのこと見守っててね」という約束を守るためにワンマンや生誕祭など節目の大きいライブはなるべく見に行っているよ、という話。

さて。またそのグループから卒業者が出ることになった。我が推しとも半年くらい同グループで活動してくれていた子だ。コロナ禍で自分の将来について考える時間が増え、ちゃんと就職しようと思ったらしい。

そういう地下アイドルはいま多い。たくさんのライブをやって生きていたのが、急にツイキャスとかよくわからないオンラインテレビ通話サービスをやるだけの女になってしまって、自分がアイドルなのかわからなくなって病んでいる子の姿をわりと見る。ライブで毎日家を出ていたのが、毎日家にいることになって家族とギスギス…みたいなこともあるかもしれないし。

これを書いている10月現在、少しずつ地下アイドル業界のライブ活動は再開されているものの、コロナ禍以前とは全く違う。コールもないし、自分を推しているオタクがステージ近くに行くこともない(それはまあ嬉しいかもしれない)。物販だってビニールカーテン越しで、お互いの声が聞こえなくてよく困る。コロナ禍で参っているのはオタクだけではないということ。

さてそんなわけで、9月某日、メンバーの卒業公演。実に半年以上ぶりのアイドル現場へと足を運んだ。検温を終えて会場に入るときっちり間隔をあけられたパイプ椅子がズラッと並んでいて、ライブが以前とは全く違うモノであると認識させられる。私はやっぱり。かすれるほど大声を出してオーサー開いて暴れまくって、のアイドル現場が好きだった。別に推しの卒業が早くて良かったというつもりは全くないし1秒でも長くいたかったけれど、でもコロナ禍以前に卒業で良かったな、とは思ってしまう。最後の最後なのに推しの名前も呼べず、ガチ恋口上もできずに終わったら、ずっと不完全燃焼だっただろう。まあ推しの名前呼んでガチ恋口上してもこうやって引きずってるんだから変わらないかもしれないけど。

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卒業公演は順調に進んでいた。久しぶりに(それこそ推しの卒業ぶりに)聞いた曲もあって、1年以上ぶりであっても身体がフリコピとコールを覚えていて、楽しい。推しがいないことを踏まえても、やっぱりこのグループの曲とライブが好きだなあとやっと素直に思えるようになったことが嬉しかった。前だったら泣いてるだけだった曲でも楽しく思えることに、「時間が解決してくれるってあながち嘘じゃないかも」と少し思う。まあ、思い出が多すぎて泣いちゃう曲もあったけど。

だが。楽しかったのも束の間。「(グループ名)からの大事なお知らせがあります」と告げるリーダーの声で、喉がヒュッとする。

思い当たるところがあった。普通、誰かが卒業すると(特に3人グループは)ほぼ必ず新メンバー募集を開始する。でも今回はそれがなかった。でもまさかね。だってもう6年半も続いてるアイドルグループよ、と。入れ替わりが非常に激しい地下アイドル業界、6年半やってるのは結構な古株に近い扱いなわけです。

でも。やっぱりね、って。

(グループ名)は、10月○○日の単独公演を持ちまして解散します。

マスクの下の唇が震えた。通ってない分際で何をと思われても仕方がないが、このグループが存在していること自体が自分の支えになっていたことに気づく。

推しとした「私が卒業してもグループを見守っていてね、好きでいてね」の約束を頼りに生きていたけど、それすらもできなくなる。

推しのいた場所がなくなってしまうことが本当に悲しくて、やりきれなかった。推しが卒業しても、推しが何千回と歌って踊った曲とステージが「そこにある」ことだけは、当たり前に続くと思っていた。

でも、現場に行っていない地縛霊の私がそんなふうに悲しむのも失礼な気がして、「○○のライブは楽しいから、解散が悲しい」以外に何も言えない。

そもそも、「あのグループが存在して、それを応援することだけが私と推しメンに唯一残された繋がり」と考えていたけれど、そんなのは幻想で、もう何にも残ってなかったのかもしれない、と思ってしまった。

推しは、自分のいたグループの解散を聞いてどう思ったんだろう。もっと続けてれば…とか、辞めて良かったかも…とか。分からない。それだけでも聞いてみたいし、それを聞くために顔が見たい、本当は。

ボンヤリした気持ちで、解散公演の申し込みをした。それなりに広い会場ではあるが、一応抽選をして、当選者のみ行けるスタイルらしい。地縛霊にもチケットを用意してくれることを願う。

あ~~~。本当に沸ける現場がなくなってしまうんだなあ。

これでやっと地縛霊から無になるのかもしれないな。

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