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「人のセックスを笑うな」を読んで思ったこと

以下はこの物語を紹介するために、感想を簡単にまとめたもの。

120ページしかないのであっという間に読めちゃいます。
2004年第41回文藝賞を受賞した山崎ナオコーラさんのデビュー作。

高評価している人もいれば、「合わなかった」「よくわからなかった」という人もいて評価が割れる作品でした。
私は後者。笑

しいていえば、恋愛なんてものにはそもそも年齢も容姿も関係くて、気づいたときにはもうどっぷりハマってしまっているような、そんなもんだよなぁと、余韻に浸りながら思うような作品でした。

タイトルの割には淡々とした内容なので、スリルのある展開やどろどろした恋愛絡みを期待する読者は肩すかしをくらったような気持ちになるみたいです。
著者、山崎ナオコーラさんが独特な感性をお持ちの方なので、その描写や世界観が理解できる強者には文藝賞受賞も納得な作品なのでしょう。

上記の感想は嘘じゃない。
けど、もっと簡単に、あらっぽい言い方をすると、
「この物語は自分にはそれほどおもしろくなかった」
というのが本音。

けれど八方美人気質のある私は感想を書くにあたって、正直に「おもしろくなかった」と言うのが著者にとてつもなく悪いことをしている気がして、なんとかポジティブな言葉でまとめられないか、えらく悩んだ。

そしてどうおもしろくなかったのか、考えてみた。

一番には、全体を通して、19歳の「オレ」にも、39歳の「ユリ」にも感情移入できなくて、淡々と状況把握する読み方になってしまったこと。
「ふーん。…で?」という感じ。
のめり込んで読んでしまう物語はだいたい、顔が思い描けるくらい登場人物自体を好きになるのだけれど、今回は登場人物の顔が定まらなかった。つまりは、登場人物に魅力を感じなかった。
「ユリ」がなんとも普通な人(むしろ同性としてはちょっとどうかなと思っちゃうようなタイプの女性)だし、そんな彼女を魅力的だと感じる「オレ」の気持ちもよくわからなかった。

そもそも作者が女性なのに、どうして19歳の「オレ」の心情が書けるんだろうか。
いや、書けるはずがない。だから結局は作り話もいいところ、と、途中から俯瞰して冷めた目で読んでしまっていた。
(これって著者にとってかなり失礼なことをしているのかもしれない…と思いつつも…)
つまらない先入観が邪魔してあまり入り込んで読めなかった。

前向きな感想があるとすれば、もしかしたら「ユリ」の年齢に近くなって読み返すと彼女の気持ちがわかるようになっているかもしれないから、その頃にもう一度読んでみるのもいいかもな、と思ったことくらい。

言いたい放題言ってしまったけど、
この物語の感想を言語化するにあたっていろいろなことを考えた。

私の場合は登場人物に感情移入できなかったから、この物語はあまりおもしろくなかったと感じた。
でも、それでいくと、感情移入できない物語は、物語としておもしろくないんだろうか?という話になる。
共感できるものしかおもしろい物語ではない、というのは違う。
自分の理解が及ばない域で、この物語にはおもしろくて興味深いポイントが間違いなくある。
(だから文藝賞とか取ってるんだし)

感想は感想で、読者はどう思ったっていいんだ別に。
それを読んで、触れてみて、で、「どうでした?」って話で。
感じたことに正解不正解なんてないんだし。
読者の数だけ感想もあるんだ。

自分がもっといろんな視点でものを見ることができるようになって、作者の意図を汲み取れたり行間を読むことができるようになったとき、この物語の奥深さやおもしろみがわかるようになるんだろうと思う。

だから、今は「おもしろくなかった」でいいんだ、別に。

無理に、作者に失礼だからと一生懸命良いところを見つけて感想を書こうとしたり、「時間の無駄だからこういう人にはオススメしませんよ」と断定して評価したりとか、
そういうことはしないようにしよう。

だから逆に、いろんな人のレビューに惑わされないようにしよう。
いろんな意見があって当たり前。それらは全部本当の感想。

どの評価もその物語の全てを語っているわけではない。
語られる評価はその作品のごく一部であるということを意識して、レビューを参考にしようと思った。

この文章も何度も読み直したり書き直したりしたけど、語彙力の限界。
あー全然だめだ。
けどこれも今の自分のレベルなんだと諦めて、記録として残すことにする。

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