道をそれるな

映画のセリフに

「道をそれるな。お前には関係ない。」

というものがあった

荒廃した近未来

一つの本を運ぶ男が 男たちに襲われる男女を

物陰から見た時に言うセリフだ

止めに入ることもできるのだが

「道をそれるな。」と食いしばった口からこぼれる

男女は殺され持ち物を奪われる

自分には関係ないと 見て見ぬふりをすることは

生きていれば少なからずあるだろう

そして その出来事が いつまでも心に残り

ふいに思い出し ざらざらした後味の悪さを感じるのだ

しかし あの時に何もできなかったのだから

今更 何ができるわけではない

同じ場面に出くわしたとしても

一歩前には進めないだろう

映画のようなヒーローになれないのを良く知っているから

その映画では 立ちよった町で その男たちとトラブルになる

そして男たちを殺してしまう

男たちは後悔することもなく ただ死ぬ

主人公は自分の目的のため歩き続ける

目的地にたどり着き 男は目的を全うする

「道をそれるな。お前には関係ない。」

そう言いながらも、自分の正義に反することは

やはり許せず 機会があれば 思いを成し遂げる

そのチャンスがトラブルであろうと成し遂げる

理不尽な正義と言えばそうだが

自分の強い信念をもって歩いている

荒廃した世界で その男の運んでいる本は

人々が争い 奪い合い 殺し合う世界に

生きる希望を与える本

物語の中には多くの矛盾があるが

この本の言葉が人々に広がれば

平和になる という希望がある そういう終わり方なのだろう

「道をそれるな。お前には関係ない。」

自分の成すべきことを成せ


映画の中に出てくる言葉のように終わるならこうだろう

「主よ。ここにこうして生きていることに感謝します。アーメン。」




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