仁先生の本命を考える(※タイトルと本文はあまり関係ありません・あとネタバレ注意)
再放送が終了したら書こうと思いつつすっかり忘れていた、ドラマ『JIN-仁-』の感想を今更ですが綴っていこうと思います。再放送終了から結構経ってしまったので記憶が曖昧になりつつありますが。だからさっさと書いておきなさいとあれほど…とか自分に言った記憶も既にない←やばい
テレビ番組の収録や制作が難しい状況だったからでしょうか、過去に人気のあったドラマが色々再放送されていたようですね。その比較的初期の段階で全国的に再放送が始まったらしいのがこの『JIN-仁-』。
この作品は医療ドラマですが、現代の医師が江戸時代にタイムスリップして、歴史を改変してしまう可能性に苦悩しつつも、当時は普及していなかった技術や知識を駆使して命を救っていくというSF色の強い内容です。病や治療について身近に感じつつもどこか現実味を抱かずに見られることもこの時期には良かったのかもしれないですね、リアルになりすぎなくて。
以下、盛大にネタバレする予定ですので、未視聴の方はお読みにならない方がよろしいかと思います。
ちなみに、漫画を原作とするドラマですが、漫画の方はまったくの未読です。純粋にドラマのみを見ての感想です。
本放送は10年ほど前でしたかね。当時も飛ばし飛ばしには見た記憶があるのですが、全話通してではなかったのでよく話や人物関係がわからないまま見ていた部分も大きかったです。
なので、今回はできるだけ全話見ようと頑張りましたが、私の地域では放送が日付が変わるくらいの時間帯からの開始で、眠さのあまり数話飛ばしてしまいました(泣)。最終回なんて放送終了したの朝4時前くらいだったような…。夜が明けるがな(笑)。
主人公は脳外科医の南方仁。突然江戸時代にタイムスリップしてしまった仁先生ですが、江戸時代の人が現代にタイムスリップする場合よりは馴染みやすいんですかね、過去のことは知識として持っているから。それとも医者として助けられる患者が目の前にいればとにかく体が動いてしまうのか。
タイムスリップするなり、自分が現代から持ってきた道具と江戸時代の道具で頭部の手術をやってのけてしまう仁先生。このドラマは手術シーンもばっちり映されるので、血が苦手な人にはなかなか大変かもしれませんね。
その手術がきっかけで武士の橘家に居候することになり、仁先生は江戸の世の中に居場所を見つけるわけですけど、もしこのきっかけがなければ先生はどうなっていたのだろう。幕末の江戸という動乱の時代だったからこそ仁先生のような変わった人物が紛れ込む余地もあったのかもしれない。これが江戸の初期だったりしたら、仁先生はもっと不審者がられたりしてたのかなあ…。
幕末期に実在した人物もたくさん登場しますが、中でも重要な存在として物語の主軸を成すのが坂本龍馬。実はこの作品の作り手は坂本龍馬を描きたかったのかな、なんて想像してしまうほど。演じられた俳優さんの役作りが上手く、我々が抱く坂本龍馬のイメージに最も近い人物像だったかもしれません。
様々な作品に登場したりイメージ的に使われたりする人物なので、この10年ほどで私の中で彼に抱くイメージも変わっていきましたけど、久しぶりにドラマを見ると、また『JIN-仁-』の坂本龍馬でイメージが定着していきそうになるほどの迫力がありましたね。
ご存知のように龍馬は暗殺されて若い命を散らしてしまうのですが、当然仁先生はそのことを歴史上の知識として持っています。仁先生が躍動する歴史の流れに翻弄されながらも、龍馬の暗殺を食い止めようとするSFと史実とが入り交じったエピソードが物語の主軸のひとつです。仁先生は龍馬の豪快な人柄に助けられ、友情を深めながら江戸の医療に奔走していくのです。
しかし、仁先生が龍馬さんのことが好きすぎて、ほぼ腐ってないはずの私の目にも何か違うものに見えてしまって困りました(笑)。再放送ではそんなこともなかったんですけど、本放送の時は「何か違うものに見えてしまうのは私だけなんだろうか」と不安になってめっちゃネット検索しましたし(笑)。同じこと思ってる人がいっっっぱいいて安心しました(笑)。ってかごめんなさい(笑)。
だって仁先生…。何で龍馬さんにはそんな抜群にいい笑顔を…。病床の龍馬さんに話しかけてる姿がおかーさんみたいですし。龍馬さんが亡くなるとマジで泣いちゃうし…。いけないわ、この感情は何かしら。ってかごめんなさい本当に(笑)。
もうねー、私腐りたかったんだけどね、素養がなかったのよ全然。なんで腐りたかったかと言うと、私の周囲の腐女子は皆メンタルが屈強だったからです。会社で嫌なことがあっても「この課長(男性)、部長(男性)とうまくいかないからこんな怒ってるんだな」とか思っといてやり過ごす、とかなんとか言ってるんだもん。強い、強すぎる…。私もそのメンタルが欲しい…。笑。
ええっと(笑)。そうそう、仁先生も演技が素晴らしいんですよね。笑顔は本当に屈託がないのに、鋭い表情をしている時は別人のようで背筋がゾクッとする程です。この凄みのある表情の演技が、作品に迫真性を持たせていたんじゃないかなあと思います。
江戸時代の人間には到底持ち得ない医療の知識を有する彼は、江戸時代の人にとってはヒーローです。しかし、自分は未来の人間だと簡単に告白することができない苦悩や、仁先生の優しさや優柔不断さが、彼を等身大のヒーローに仕立てていて、タイムスリップものというある意味リアリティに欠ける設定を、ごく自然に視聴者に受け入れさせていたように私は思います。
そんな仁先生なので、もちろん彼に思慕の情を抱く女性も現れるわけです。作品のヒロインは3人。仁先生の現代の恋人である未来、未来に顔がそっくりな花魁の野風、仁先生が居候する橘家の娘である咲。
咲と野風のそれぞれの愛の形がまた胸を打つのです。たとえ恋人や夫婦という形では成就しなくても、二人は結局最後まで仁先生を深く愛しているのですね。仁先生がいつか戻っていくであろう未来のために、二人はそれぞれの運命を選んだのではないのだろうか、そう思ってしまうほど。
特に野風の覚悟には凄まじいものがありました。自分が仁先生の恋人の先祖であることを知り、命を懸けてでも子を生むことで未来を作ろうとするのです。麻酔が使えない状況での帝王切開のシーンはバリバリとお菓子を食べながらのんきに見られるような生半可な場面ではなかったです…。
自分が同じ状況になれば、同じことをしろって言うかもしれないけど、それに耐えられるかと問われればきっと無理だろうなあ。考えただけで卒倒しそう…。
個人的には、ラブストーリーとしての『仁』はこの結末でいいんじゃないかと思いました。いちばんスッキリとした終わり方だと思います。大前提としてこの作品はタイムスリップものですからね。いつか未来に戻ることになる人間が別の時代の人間と結ばれてはならんだろうとついつい思ってしまいますし。何より、江戸での日々が確かにそこにあったことを、「未来」の存在が何よりも感じさせたからです。
仁先生はきっと、そのうち「未来」と結ばれることになるのでしょう。そこはあえて描かれていませんでしたが、咲と野風の想いが本当の意味で報われるためには、その結末しかないだろうと私は思います。
タイムスリップの仕組みも最終回で何となく説明されていましたが、あれだと「最初の仁先生は何の要因でタイムスリップしたのか」が気になりますね。そしてこのタイムスリップの螺旋はどこまで続くのかも。次元が無限に存在するなら無限に続くのでしょうか。そしていちばん最初の仁先生のいた次元の過去と、次以降の仁先生がいる次元の過去はそもそもがいちばん最初と同じなのか、毎回少しずつ変わっていくのだろうか、とか。って考え出すとキリがないからやめよう(笑)。
MISIAの歌う主題歌も良かったですね、胸に迫ってくる素晴らしいメロディと歌詞です。
ほかにも色々書こうと思ってた気がするのに、やっぱり放送直後じゃないと綺麗に忘れちゃいますね…。けど、このたび再放送された理由もわかる気がします。私は毎週同じ時間にテレビの前にいるのが面倒であまりドラマを見ない人間なのですが、それでも面白い、続きが見たいと思えた作品なので。
以上、すべて私の勝手な感想です。解釈違いがあればお許しください。また内容を忘れた頃に見たい。
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