買い物

数日ぶりの買い物に出かけた。
買い物袋の一つを自転車カゴいっぱいに詰め込んでも、まだ二袋あるというくらいに買い込んだ。
無理に詰め込んだ袋からは、新じゃがと新たまねぎがゴロゴロ落ちてしまった。

なんとか苦労してまたがった自転車も、一度乗ってしまえばこっちのもので、日の伸びた夕方をすいすい行く。

まだ五月というのに、昼間は真夏だった。この時間ともなると、少しばかり過ごしやすい。

髪をすく風の中に、雛鳥たちの声がした。
人気のない、反響する街の中で、どこからか親鳥とは違う、か弱い声にときめく。


角を曲がると、南の空に雲の砂山を見た。
まだ赤く染まらぬ淡い水色の空に、西から射す光によって、見事な稜線が描かれていた。
するすると流れる様は、雲ではあるが雲でなく、砂丘のようであった。

早く伝えたかった。
家の前で自転車を止めると、買い物袋が両手を襲った。

そして、荷の重さでついぞ忘れてしまった。

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