素人土木ICT#7 【サーフェス活用の構造物工のすゝめ】
ICT施工をとっつきにくくしている理由の一つに、普段なじみのない横文字キーワードの存在が挙げられるだろう。
英語かぶれならいざ知らず、普段無縁の人間には暗号にしか聞こえない。
サーフェスとは何か。
3DCGにおける立体のモデリング手法には上図3種類がある。
ワイヤーフレームモデルは頂点と稜線のみで構成され、立体の輪郭のみを表現する。
サーフェスモデルは面を表現するが、中身が無いため、体積を求める事が出来ない。
ソリッドモデルは立体の中身まで表現できるため、体積が求まり、面で立体を切った場合、断面が平面として表現できる。
流行りの(今後逃げられない)BIM/CIMではソリッドモデルを使用する。
また、よく聞くLandXMLとは、様々な要素の情報・座標・線・サーフェス・TINをパッケージ化したファイルである。
要するに小零細土建屋ごときはLandXMLを理解し、使いこなすことが当面の目標となるのである。
さて、上図のような道路土工においてサーフェスモデルを作成して施工に活用する事はなんら難しい話ではない。
それだけなのか?サーフェスの可能性はそれだけなのか?
非常に勿体ない話である。設計面がmm単位で瞬時に判明する利便性をもっと様々な工種に適用できないものか。
そもそも、土木工事の花形たる中規模以上の切・盛土工の工事本数も少ないのではないだろうか。
まさに貧乏根性であるが、私は重力式擁壁工と砂防堰堤工をターゲットとした。どちらも土工の最終仕上げとベース打ち、本体の型枠組立等に活用できると踏んだ。
上図は実際に砂防堰堤工で使用したサーフェスモデルである。堰堤後部が残存型枠であり、自社型枠組立となったので急遽作成して提供した。
(前から・地形データはLSにて観測)
大手様から見たら笑われるようなデータの出来であるが、うちとしては画期的なモノになった。
監督に聞いたところ、今後サーフェスデータ無しでの型枠組立は「考えられない・考えたくない」との事である。
実際の位置出し作業は新卒の者がやったという事も大きな成果だ。
上図は以前紹介した重力式擁壁のサーフェスモデルである。これも当然中身はないので大手様に見られたら馬鹿にされるような出来だが、施工には大いに役に立った。
主に床堀とベース位置出し、基準高の確認に活用した。図では一対しかないが、離れたところにもう一対あり、工期も迫る中、監督1名で2個班を運用し同時施工が可能になった。
結局ミスって手戻りが発生した物の、様々な課題と、サーフェスモデル活用による構造物工に自信をもつきっかけとなった。
何度も言うが、ICT施工における測量の強みは「ワンオペで初心者でも」である。
必要な時期及び場所に容易に位置出しが出来る事を主眼にするならば、サーフェスモデル使い倒しは最適解である。
ネット上にも、サーフェスモデルを創意工夫して活用している事例が山のようにある。
どうすれば既存のソフトウエアで構造物を再現できるのか?
そしてどの様に活用して成果を上げるのか?
自分で頭をひねって試行錯誤するのも楽しいモノである。
仕事は楽しいものでなければならない。
最後に失敗事例をリンクして結びとする。
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