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(展覧会感想)福田美蘭ー美術って、なに?ーArtとTalk㉝ー


皆様お元気ですか?宇佐江です。
今回は、久々の展覧会感想!
名古屋市美術館で2023年9月23日から11月19日まで開催中の『福田美蘭ー美術って、なに?』についてお話したいと思います。

それでは参りましょう~!

※noteに書かれた内容は宇佐江みつこ個人の意見や感想です。その点をご理解の上、今回もどうぞお付き合いください。

外観


地下鉄伏見駅から徒歩数分、白川公園内にある名古屋市美術館に向かって歩いていると、すれ違った人が、
「何でも描けちゃうんだね」
とつぶやいているのが耳に入りました。期待の予感…大!

福田美蘭は1963年生まれの現代美術家です。
浅学な私は今展を訪れるまで、彼女の詳細を何一つ知らずにいたのですが、漠然と、森村泰昌みたいな感じかなあ…と想像していたら、当たらずも遠からず。1992年に今回と同じ名古屋市美術館で、福田美蘭と森村泰昌の二人展が開催されていたようです(当時の私はまだ7歳で、観覧はしていません)。
ただ、福田美蘭の個展となると、中部地域では今回が初開催なのだそう!

感想をひとことで言うと……。


絵が、
めっっっっっちゃうまかったです。


「なんだその当たり障りない感想」
と思うなかれ、通常、美術を志す人はめったに作家の絵にたいして「うまい」なんて安直な表現はしません。100メートル走日本代表選手に、他の選手が「君、足速いね」なんて言わないのと同じです。
けれど、
ごく稀に、もう「うまい!」と言わずにいられないほどの圧倒的な画力の天才がいるのです。以前私がnoteで書いた「形がとれるタイプ」の最高峰とでも言いましょうか…。

実物作品を目にする機会があり「この人めっちゃ絵がうまいな~」と圧倒された作家は個人的に過去、ふたりだけ。会田誠とゲルハルト・リヒター。2012年に森美術館で開催された会田誠の個展タイトルが『天才でごめんなさい』でしたが、まさに、誰も文句のつけようがない程の天才的な画力の持ち主です。
そんな、私の中の「絵がうまい2大巨頭」に今回、福田美蘭が堂々加わりました。

実績としても、福田美蘭は弱冠26歳で当時、具象絵画の登竜門といわれた安井賞を最年少で受賞しています。先日、中日新聞に掲載されたコラムのなかで現代美術家・日比野克彦が「予備校でアルバイトしていた当時、そこに美蘭さんが通っていて、すごいデッサン力を持った高校生がいると評判でした」とも語っていました。
その、ありあまる画才をもって、果たしてどのような作品を描いているのかは、ぜひ今展をご覧いただきたいので詳細は伏せておきます。ひとつだけヒントを出すと、メインビジュアルに使われている鰻も、ぜんぶ、絵です。
すごっ。
でも会場にはもっともっとすごい描写がさく裂している作品が目白押し!ほんとに「何でも描けちゃうんだね」!!
あのご婦人のつぶやきは、正しかった。ぜひ、皆様にも観ていただきたい。
個人的には「写真を描いた絵」が特にどれも神がかっています。


展示は11月19日まで名古屋市美術館にて開催中。
詳しくはこちら↓





今週もお読みいただきありがとうございました。福田美蘭、すごく、すごく面白かったのですがひとつだけ後悔が…。昨年練馬区立美術館で開催された『日本の中のマネー出会い、120年のイメージー』に福田美蘭も出品していたそうなのですが、あろうことか会期中にその作品を日展の洋画部門に出して審査を受けるという前代未聞の試みをしたらしく(マネがサロンへの出品にこだわったことにちなんで)、入選すれば作品は日展会場へ行くため練馬には戻らず、落選すれば会期終了まで無事(?)飾られる―。
そんな面白そうすぎる展示を、私は見逃してしまったのです。。。
がーーーーん。。。。。
悔やまれるのは、実はタイトルに惹かれて「行こうかな」と手帳にも書いていたのに、ハシゴする都合で他の美術館と少し場所が離れていたので断念してしまったこと。

「展覧会、逃すと二度と、観られない」(by宇佐江みつこ)。

悔いのないよう、今年行きたい展示をスケジュール帳に入れまくっている今日この頃です。

◆次回予告◆
『美大時代の日記帳⑲』

それではまた、次の月曜に。

*前回の展覧会感想はこちら↓


*他にも展覧会感想、あります。↓






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