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大学JKの宇宙よりも遠い場所 聖地巡礼 Part9 ラミング編 STAGE9 後半

 こんばんは、南極研究の予算がついてご機嫌の騎空士鮫ミンです。やったぜ。

今回はSTAGE 9 南極恋物語(ブリザード編)の後半記事、つまり南極海でのラミングの話になります。

後半は白瀬と隊長の過去話からスタート。
白瀬がお母さんに「南極観測は危険が伴うけど行く」と諭されてるシーンですね。

(c)YORIMOI PARTNERS/ KADOKAWA/ MADHOUSE/「宇宙よりも遠い場所」制作委員会

貴重なブレザー報瀬。
正直、いまの南極地域観測隊で死ぬということはまずありません。技術の進歩の影響もありますが、やはりそれ以上にいままでの南極観測で得た経験の蓄積が大きいと思います。60年以上にわたる観測隊行動で、先人たちがきちんと記録を取り、どこでどのような行動をすると危険なのか、どういうことが起きたらどのように対処すればいいのかということを伝えてきてくれたからです。先人たちの愛のおかげです。

先人たちの重い愛(物理)

この愛の結晶(A4 270ページ)には、先人たちの失敗やヒヤリハットが書かれており、超ためになること(ブリザードがきた場合の対処法)から、ギャグかこれ?(寒すぎて着火しないからといって、ガスボンベをエンジンで温めてはいけない)みたいなことまで、観測隊行動におけるありとあらゆる事例と対処法が細かく記載されています。これを使って、日本にいる間、訓練期間、昭和基地到着までのしらせの中でしつこいくらい安全講習を行います。観測隊の最大の目的は元気に帰ってくるですからね。

とは言え危険なのは事実なので、行く前にちゃんと保険をかけてからいきます。

あなたが南極で死んだ場合の遺体回収と日本に運ぶ費用の補助はつけますか?とかのオプションを選んでいきます。

「死なないとは思うけど万が一死んだ時の輸送費めちゃくちゃかかるのはヤダな。いやむしろ逆に遺体は南極に置いていってもらったほうが絶対面白いな」とか、考えることが多いのです。

そして白瀬と隊長のやりとりが続きます。
「お母さんが死んで恨んでないか?」「それは本心か?」
たぶん隊長も色々思うところがあるのでしょうね・・・
そしてここで隊長に激震が走る!!

(c)YORIMOI PARTNERS/ KADOKAWA/ MADHOUSE/「宇宙よりも遠い場所」制作委員会

激震(物理)

両舷後進微速!両舷後進微速!
ここの両舷というのは右舷と左舷両方のことで、後進は後ろ向きに進む、微速は6ノット(時速11kmくらい)のことです。つまり「両舷後進微速」とは「いまから後ろにゆっくりすすむよ」の意味です。

そして隊長の「定着氷にぶつかったの、ラミングよ」発言。

海の氷にも色々ありまして、南極観測において知っておかなければいけないものが3種類あります。

一つ目は流氷。これは海の水が凍っててきるもので、陸地から離れた海にぷかぷか浮かんでいるものです。冬の北海道とかでも見られます。前回の艦上体育の時とかに見えていた海に浮かんでいる薄い氷がそれです。海氷の一種。

流氷浮かぶ南極海
右奥にうっすら氷山が見える

二つ目は氷山。これは氷河から海に流れ込んだ時にできるもので、流氷などに比べると遥かに巨大な氷の塊です。タイタニックがぶつかって沈んだことで有名。

山型の氷山(ペンギンつき)
流氷に囲まれる氷山
大陸と間違うくらい大きい氷山
艦橋から見る氷山
芸術的割れ方の氷山

氷山は色々な形があるので見てて飽きません。一生見てられます。


そして三つ目が問題の定着氷。これは上記の二つと違い、海にプカプカ浮いてるものではなく、海岸に接している氷のことです。海氷の一種。そして、避けて進むことができない氷です。

(c)YORIMOI PARTNERS/ KADOKAWA/ MADHOUSE/「宇宙よりも遠い場所」制作委員会

このシーンが見やすいですね。右側は流氷や氷山の浮いてる海で、左側が定着氷。陸地まで氷が続いています。つまりここから先は海の上を歩いて南極大陸までいけます

艦橋から見た定着氷
左奥には氷山も見える
こちらを見つめる定着氷上のペンギン
ペンギンとアザラシのお得セット

実際には歩いて行くわけにはいかないので、この氷を船体で割って進む必要があります。後ろに下がって勢いをつけて氷に乗っかり、船の重さで氷を割って進みます。これがラミング

ちなみにこのラミングですが、一往復に10分くらいかかります。
進まないときはラミング一回で20mとかしか動きません。遅いときはよっぽど歩いて行ってやろうかと思うくらいには鈍足。我々の時は昭和基地に着くまでに535回ラミングしました

ラミング中のしらせを見ながら歩くペンギン




遅すぎて途中このペンギンたちに抜かれました(マジ)





「あいつら氷のど真ん中で何してんの?」
という目



腹立つ顔でこっち見んな




劇中ではラミング中はものすごく揺れるみたいな描写がありましたが、実際にはあまり揺れません。むしろ周囲を氷に囲まれているため波がなくて揺れ自体は少ないです。その代わりエンジン音がすごいし、船体に氷がぶつかった時のゴンゴン言う音がめちゃくちゃうるさい。しかもこれが24時間続きます。この音に慣れちゃったせいで昭和基地についてからしばらくは夜が静かすぎて寝られませんでした。

ちなみにこのラミングが始まった時に報瀬が艦橋に入ってくるシーンがすごく好きです。

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なぜこのシーンが好きかというと、報瀬が入ってくる時に帽子を被ってるんですよ。よくよく見るとわかります、0.2秒くらいですけど。
実際の観測隊でも、艦橋に入るときは必ず帽子を被らないといけないルールがあります。ここは製作陣の観測隊への理解の深さがわかるシーンでした。

そしてこのシーンも。

(c)YORIMOI PARTNERS/ KADOKAWA/ MADHOUSE/「宇宙よりも遠い場所」制作委員会

このシーンが好きな理由は船底です。

往路(行き)のしらせ
復路(帰り)のしらせ

往路と復路でしらせの違いがわかりますか?
船底の色が往路はオレンジ色なのに復路では銀色になってます。これは氷の海を進んで行った結果、船底のオレンジ色のペンキが剥がれた結果です。言い換えると、しらせが頑張った結果が、この傷ついた船底です。
よりもい製作陣がこういうところをちゃんと汲んで再現してくれるの最高なんですよね。

(c)YORIMOI PARTNERS/ KADOKAWA/ MADHOUSE/「宇宙よりも遠い場所」制作委員会

横から海水を出してるのは、氷を割りやすくするためです。氷をバキバキ割りながら進むペンギン饅頭号

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氷を割りながら進むしらせ
完全に一致

氷を割りながら進むので、しらせが通った後は海が開いたままになってすぐわかります。

海開き(物理)

こうやって昼も夜も氷を割り続け、昭和基地へ進んでいきます。


(c)YORIMOI PARTNERS/ KADOKAWA/ MADHOUSE/「宇宙よりも遠い場所」制作委員会

昭和基地近くの海氷に到着すると、船での旅は一旦ここで終了です。

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昭和基地近傍へ到着
接岸中のしらせ

接岸後、周囲の安全を確認したら、ようやく海の上に降りられるようになります。


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しらせから海氷上へ降りる観測隊員
(c)YORIMOI PARTNERS/ KADOKAWA/ MADHOUSE/「宇宙よりも遠い場所」制作委員会

このジャンプほんと好き。


でも実際は危ないから慎重に降りてね。

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そしてこの伝説の「ざまーみろざまーみろざまーみろざまーみろ!」です。

このざまーみろの気持ち、よく分かります。
私も邪魔こそされませんでしたが「よりもい見たから南極行きます」って言ったら
「よりもいwwwアニメwww南極観測隊www」
って言われたことあります。でもこちとら気合が違うんだよ気合が!!

接岸しらせと報瀬
OPっぽいしらせと報瀬


初めて見る南極大陸

初めて目にした南極大陸は、思ってた数倍感動しました。行くと決意してからの人生プランの変更、日本での準備訓練、南極研究、しらせに乗ってからの一ヶ月半の航海などの、いままでの労力が思い出されて感動もひとしおです。

応援してくれた人、してくれなかった人
Twitterで報告したら「え、マジで南極行ってんの!?冗談じゃなく?」と驚いてた人たち(主にPと騎空士)
「南極は危ないんじゃないか、死んだり怪我したりしないのか?」と心配してくれた家族
同行者同意書を提出したと言ったら「え、マジで僕も南極行くんですか!?冗談じゃなく?」と言っていた学生
「ウチの子をよろしく頼みます」と言っていた学生の保護者
関わってくれたたくさんの人たちの顔も思い出されました。





やっぱアニメ見たからで来ていい場所じゃないわここ




ともチラッと思いましたが、私はハイパー自分大好きの超有能大学JK科学者なので気合でねじ伏せました。もう来ちゃったものは仕方がない。
私よりいい南極研究を提案して採択されたら行けますよ(ロジハラ

というか、準備やら航海が大変なだけで、まだ着いただけだからこれからが本番なのですよね。もう9話だぞ。

最後に日本からのメールがきて STAGE9 は終了。

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1ヶ月半にわたるペンギン饅頭号での船旅も終わり、次回はついに昭和基地のSTAGE10です。正直、昭和基地の話はめちゃくちゃ長くなりそうなので、前後編に分けても終わりそうにないのですよね。どうしようかな・・・

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