保全サポートSaaSを提供するに至ったワケ

これまでいろいろと工場の現場での資料管理の省力化や、技能伝承という切り口でいろいろと書いてきました。仕事は、「発電設備の保全業務のナレッジ共有・省力化を支援するSaaSサービスの提供」をしているのですが、どんな流れでこんなことに取り組むことになったの?ということについて書いていきたいと思います。

自分の話なので書こうと思えば無限に長くなりますが、ツイッターでつぶやけるレベルにまとめるとこんな感じです↓

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もともとあまり頭が良いほうではないのですが、大学入試の時に慶應SFCだけ小論文のテストの配点が高く、ギリギリ合格して通うことになりました。親父にはしきりに「横浜国大いかないか?」とギャグのような本気のような提案をしてもらったけど、雰囲気イケてる大学を選んでしまったわけです。

大学にはアイデンティティの塊みたいなヤツがうじゃうじゃいて、自分は「この中だと普通だなー」と思いながら楽しく過ごしていました。家が海に近かったのでサーフィンにハマっていました。

自然の雄大さに惚れ、当時風力発電事業を唯一やってた三菱重工に入社したわけです。入ってみると慶應SFCの醸し出す雰囲気と180度違い、まさにガチガチの世界。「大学生活は幻だったのか?」とか思いながら、村上春樹の小説を栄養(というか逃避先?)にして、週末は宮崎・日向で波乗りを楽しみながら過ごしていました。

そんな職場でも頑張って働いているうちにだんだんと、ほめてもらえるようなことも出てきて、いろんな仕事をやらせてもらいました。調達から営業に移ったり、マレーシア、エジプト、ブラジル、台湾、韓国、中国などいろんな国に出張させてもらったりしました。

そんな中、インドネシアでインターンをする機会を得て、 PT Adaro Energyという石炭採掘大手で研修することになったんですね。この会社は日本の資本が一切入っておらず、現地の富裕層のトップが経営しているバリバリの現地企業でした。

とにかく自分の会社を離れて、肩書もなく広い海の中にポカーンと浮かぶような経験をめいっぱいするわけですが、逆に世界の広さを知れば知るほど自分の常識がボロボロと崩れ落ち、まるでメガネの曇りが晴れるような、自分が世界を見る目がクリアになっていくような、そんな日々でした。

世の中には星の数ほどのプレイヤーがいて、職種、人種、文化ごとに実に様々な価値観がある。その人たちそれぞれがうまく連携していなければ、どれだけ高品質なモノを世に送り出しても、意味がない、お客様のお客様まで含めていい感じの連携ができていないとその中の一つのピースがいくら良くてもどうしようもないな、というようなことを漠然と思いました。

たとえば、どれだけ頑張って高品質の発電プラントをおさめても、それを利用する人がめちゃくちゃな取り扱いをしていたらプラントを建設するときの努力も吹っ飛んでしまう。イメージでしかないですが、漠然とそんなことを考えたように思います。

で、研修から帰ってきた僕は、とにかくこの広い世界に戸惑いながらも、事業の在り方を紋々としながら考える日々を送り始めるのでした。その中でひょんなきっかけで、社会創発塾という社会人塾に参加したわけです。そこで、群馬県南牧村という限界集落に出会い、そこで村おこし的な活動に参加しました。素晴らしい方々とたくさんの出会いに恵まれましたが、ふとしたときに、「もっとビジネスとして広がりを持つような取り組みをしたい」と思うようになりました。

その時に紹介されたのが「始動」という起業家人材育成のプログラムでした。始動でいろんな事業開発スキルやマインドセットを学びながら、具体的に想いをカタチにしていくイメージが湧いてきました。だんだんと自分が属している会社で何か仕掛けたいと思うようになりました。

当時は広島の工場に勤務していたのですが、社長や役員が来るたび面談する機会を狙ったわけです。(普段は忙しい役員も地方出張時は意外と時間ある)

懐の広い経営陣に促される様に、全社横断の新規事業タスクフォースの事務局に参加したりしましたが、やはり事務局という立場はなかなかもどかしいものでした。なんせ他人が頑張るのを応援したり支援するような立場ですから。多少事業開発について知っていることはあるかもしれませんが、自分が何も事業を生み出していないのに人の支援なんかそもそも無理。しかも本当の意味で事業開発の支援をしてほしがっている人なんか大企業にはなかなかいないわけです。

そこから「自分で事業を生み出すべき」という考えに戻ってきました。

3年半ほど前から、技術部門に移り、「なんかやらなきゃ」と事業のタネを探し、統計を学び、JDLAエンジニア資格を取得し、技術力を上げ、製品を作り、つまづき、失敗して、改善のプロセスを続けています。ユーザニーズの掴み方、プロダクトの内容、開発プロセス、営業方法、マネタイズポイント、ほぼすべてについて失敗と改善を繰り返している気がします。

今もまだまだよちよち歩きですが、ようやくプロダクトの売上として数字があがりはじめたところです。今はそれを成長軌道にのせていくための施策を進めている最中です。組織設計、マーケティング・営業プロセスなんかを具体化していきます。

事業内容は、「発電設備の保全業務のナレッジ共有・省力化を支援するSaaSサービスの提供」です。ホームページはこちらから。

自分でも不思議なのですが、この取り組みはなぜか燃え尽きることなく、飽きることなく継続的に頑張れてるテーマです。おそらくインドネシアで漠然と感じた課題意識が、今の仕事で解決できると思えるからではないかと思います。

産業システムはまだまだ関わる人の活動を改善できるポイントがたくさんありそうです。私たちのサービスが産業システム自体のユーザー体験(UX)向上につながっていければ嬉しいなと思っています。


以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!よろしければスキ、フォローよろしくお願いいたします!

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