ヒューマンエラーが起こりにくい滑らかな産業システムへ

間違いを犯す生きものである人間が生きやすく働けるシステムにするためには、ヒューマンエラーのその先をしっかりデザインすると良いということを書きたいと思います。この考え方を理解すれば、お金をかけずに小さな努力で劇的に職場を働きやすくすることができるかもしれません。

実は僕は、ADHD(注意欠陥多動性障害)とまではいかないのですが、俗にいうダメな人要素満載です。こんな僕なので、意外と皆さんが難なくこなしていることが正直うまくできないことがあります。たとえば、出張精算を精算処理を1年半ほど貯めちゃうっていうことも何度かありました。夏休みの宿題に手が付けられない小学生以上にまずい人ですよね。

産業システムの話に戻りますが、仕事にかかわっている人達は基本的に、「整理整頓し、注意深く、冷静に、間違えず」という前提でさまざまな物事がカタチづくられているわけです。これは若干のADHD成分を含む僕としては非常につらいプレッシャーなわけですが、実はこの前提はほかの普通の人にとってもつらいんじゃないかと思うようになりました。

何か機械設備を操作する仕事をしている人がいるとします。その人は、その1000ページにも及ぶ取扱説明書の内容を隅々まで理解して、何かあった時に間違いないようするという期待はありますよね。

例えば、何か小さなトラブルが発生した時に、その分厚い取扱説明書のキングファイルを探してきて、アラーム音がこだまする中、パラパラとめくって、対処方法を探す。こっちのバルブを閉めてから、こっちを開けてとか、または、この運転をしているときにこっちのボタンを押したらダメだよとかこういうことを確実にできる人います?仮にその人が失敗して変な操作をしてしまったときに大事故が起きたとき、結論は”ヒューマンエラー”になってしまうわけです。

その人をかばうわけではないですが、そんな完璧な人います?僕の出張精算はサボりかもしれませんが、こっちの事故は本当にヒューマンエラーで片づけてよいのでしょうか?

めちゃめちゃ怒られるのが目に見えているので、僕だったらヒューマンエラーという結論にならないように適当な理由をつけて報告を上げるかもしれません。そんなことになったら問題が共有されず、また同じことが起こるでしょう。

僕は、ヒューマンエラーのその先に思いを馳せることが大事なのかなと思っています。たとえばそもそもトラブルが起こった時に即時検索できる全文検索サービスを導入しているとか、アラームが発生したら、それに応じた手順が画面に表示されるとか、ある状況下で操作すると事故になるようなボタンはそもそも押せないようにしておくとか、あるいは教育システムを整備して一定スキルを超えない人は操作できないようにするとか、こういう部分が本当の意味でヒューマンエラーを防ぐのではないでしょうか?

以上です。人は機械ではなく、疲れていたり、気がそぞろになったり、失恋して落ち込んでいたり、奥さんと喧嘩してむしゃくしゃしていたりと安定しない生物です。こんな生き物が間違いを犯さないことはありませんよね。

ヒューマンエラーの向こう側を見て仕事に取り組めば生きやすい滑らかな産業システムになると思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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