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良い習慣を身に着けて、自分を変えていきたいねという話

"Atomic Habits"

by James Clear

ジェームズ・クリアー著『アトミック・ハビッツ』

この本の中で使われるアトミック・ハビッツの意味は

「最小単位の習慣」

である。「小さな変化が大きな結果を生み出す。良い習慣を作り上げ、悪い習慣を壊す、簡単で確かな方法」と表紙には書かれてある。つまり、めちゃくちゃ小さな行動を習慣にすることで、新しい習慣を身に着けられるという話だ。全米で三百万部の売り上げを記録して、日本でも翻訳されたものが売られている。

本の紹介というよりも、読んで実践してみて良かったので、本書のポイントを要約して自分のために記録しておきたい。結果として、良い習慣を身に着けたい、悪い習慣をやめたいと思っている人の参考になれば、それもまたうれしい。
非常にシンプルなロジックを膨らませて、肉付けして一冊の本にしているが、骨組みは一貫している。言語には各々得意・不得意があるけれど、英語の本は論理的に明解なものが多い気がする。


◆全体の要約
もしあなたが健康的で生産的な習慣を身に着けるのに失敗したなら、あなたは次の三つのことに失敗している。すなわち

新しい行動を
(1)明らかなきっかけのあるものにし、
(2)簡単なものにし、
(3)魅力的なものにし、
(4)満足できるものにすることに失敗している。


例えとして、毎日の運動を習慣化することを考えてみると…

・運動するのに「始めるための明らかなきっかけ」をもっていない
 →新しい健康的な習慣について忘れ、古いルーティンに留まってしまう

「簡単な運動のルーティン」をもっていない
 →慣れ親しんだ、より簡単なルーティン(TVを見るなど)に移ってしまう

「運動することが魅力的だ(やりたい)」と思っていない
 →運動することに抵抗を感じ、継続したくなくなる

「運動後すぐに満足を感じる」ようにしていない
 →継続して運動しようというやる気が無くなっていく

以下に、すべての健康的で生産的な新しい習慣(運動、料理、執筆、読書など)を、明らかなきっかけをもつ、簡単で、魅力的で、満足できるものにするための二つの作戦を提案する。これによって、毎日の習慣を身に着けて、定着させることができる。

1.習慣をくっつける&2分の開始の儀式に専念する

・習慣をくっつける

あなたはすでに意識することなく「習慣をくっつける」力を使っている。例えば衛生面での習慣がそうである。子どもの頃、「トイレを流すという習慣」に「手を洗うという習慣」をくっつける経験をしたはずである。トイレを流すことが、手を洗うという習慣のためのきっかけになっている。

「習慣をくっつける」ことは、慣れ親しんできた確実な習慣を、新しい習慣のためのトリガー(きっかけ)として使うことである。すでに持っている習慣に新しい習慣をくっつけるなら、慣れ親しんだ習慣の勢いを利用して、
新しい習慣をより簡単に始めることが出来る。これは自転車で坂を下るのに似ていると思う。下るときに十分なスピードをつければ、ペダルをこぐのは最小限の力で、次の丘を上って行くことが出来る。

・開始の儀式に専念する


しかし、新しい習慣という丘が、あなたにとってあまりに強敵である場合、慣れ親しんだ習慣の勢いが足りなくなるかもしれない。そういうわけで、新しい習慣は小さなものにする必要がある。具体的には、

簡単な、わずか二分の「開始の儀式」にする

必要がある。

ジェームズ・クリアー:”あなたは小さいことから始めるべきだと知っていても、あまりにも容易に、大きすぎることから始めてしまう。変化を起こそうと夢見ているので、どうしても興奮が高まってしまい、ついつい大きすぎることを早くやろうとしまう。この傾向に対処するための最も効果的な方法は、

二分間ルール

を使うことだ。これは、

「新しい習慣を始める時、その習慣を二分間以内ですませられるものにしなくてはならない」

ということだ。”

具体例…
・「毎晩、寝る前に読書する」無理!
 →「1ページ分、読む」できる!

・「ヨガを30分する」無理!
 →「ヨガマットを取り出す」できる!

・「授業のために予習する」無理!
 →「ノートを開いて机に置く」できる!

・「洗濯物をたたむ」無理!
 →「靴下を一組たたむ」できる!

・「5キロ走る」無理!
 →「ランニングシューズを履く」できる!

つまり、

下の「2分間の儀式を習慣化すること」に専念するのが重要なのだ!


2. 習慣とお楽しみを同期させる&記録する

・習慣とお楽しみを同期させる

アイルランドのダブリンに住む機械工学の学生であるローナン・バイアンは、もっと運動する必要があることを知っていた。それで彼はエンジニアの技術を使って、サイクリングマシーンと彼のPCを同期させた。プログラムを書き、サイクリングマシーンがあるスピードを超えると、備え付けられたTVにお気に入りのNetflixが表示されるようにした。ペースが落ちるとNetflixは一時停止してしまう。視聴中のエピソードを最後まで視聴するためには一生懸命にペダルをこぐ必要がある。Netflixの一気見(binge-watching)がカロリー消費に早変わりである。

バイアンのように、

健康的で生産的な新しい習慣を実践している間に、あなたが大好きなことを楽しめるようにする

だけで、新しい習慣は「楽しみなこと」に変わることを発見するだろう。

・企業家のケビン・ローズは、ランニングマシーンをやっている時だけ、お気に入りのTVゲームをして良いことにした
・私は、ジムにいるときだけ、お気に入りのプロテイン・クッキーを食べて良いことにした
・私は、動画の原稿を書いている時だけ、お気に入りのDJを聞いていいことにした

お気に入りの行動とハードルの高い新しい習慣とを同期させるなら、お気に入りの行動を楽しみにする気持ちが新しい習慣から逃げるようとする気持ちを防ぎ、行動しやすくしてくれる。

・記録する

「同期させること」は新しい習慣をつくるための素晴らしい方法である。しかし、その習慣を定着させるためには、その新しい習慣が本質的に満足を与えてくれるものでなくてはならない。

その習慣そのものが本質的に満足を与えてくれるようにするためには、記録を付ける

べきである。

想像してほしい。1月30日にあなたは壁にあるカレンダーを見る。そして30日のうち、27個も赤いチェックマークがついているのを見る。一つ一つのチェックマークは、実行に成功したことを示している。

カレンダーは、あなたが自分の健康を大切にする人物であることの、目に見える証拠

である。あなたはこの事実に誇りをもつことだろう!

もし記録表に、達成し続けた習慣の記録をつけ続けるなら(壁のカレンダー、スマホのアプリ、ノートに運動の記録を付けるのでも何でもいい)、行動のパターンが見えるようになるだろう。

その記録は、「このように行動すれば、私は成りたいと夢見ていた人物像に変わっていくことが出来る」ということを証明する記録になる

のだ。習慣記録表を作ることで手に入れた「生々しいプライド」自体が、その習慣を何度も何度も繰り返して、しっかりと身に着けさせるために十分な満足感を与えてくれる。




思ったより長くなってしまった。でも、ロジックだけでなくユーモアとか具体性も大切なので、これぐらいの分量がちょうどいいと思う。

ちなみに、僕はランニングを習慣にしたかった。これまでに何度もやり始めて、数か月は続くのだけれど、いつのまにかフェードアウトしてしまっていた。今思うと、「向上心」が結果的には悪く働いてしまっていた。

昨日より速く走れるように、長く遠くまで走れるようにと思っていた。最初のうちはいいのだ。伸ばすのは簡単だから。しかし、しばらくすると伸びなくなる。速く走れず長く走れなかった時に、モチベーションが落ちてしまうのだ。せっかく走った日でも失敗したような気持ちになることが続き、継続できなくなった。
寒くなったり、暑くなったりすることも、止めるいいわけになった。
継続できないと、継続できなかったこと自体も挫折感になり、もう一度始める気持ちを妨げてきた。

ランニングを開始したのは3回目かな?この本を読んでから、ランニングの取り組み方を変えた。そして今半年くらい続いている。暑くなっても、寒くなっても、ゆるゆると継続できていることが嬉しい。
特に、夏のあいだの夜ランニングがとても気持ちよくて、一気に定着した感があった。

「夕食の後一時間くらい経ってから、とりあえずランニングシューズを履いて外に出る」

きっかけは「夕食の一時間後」
二分間の開始儀式は「ランニングシューズを履いて外に出る」


「毎日、夜に7キロ走る」なんて考えていたら絶対に続かなかった。確信がある。これが続いたのは、速くなくても長くなくても、「夜に靴を履いて外に出た」自分を「よくやってるよ、えらいねぇ」と思うことが出来たからだ。

走り出したら、あとは決まったコースを特に何も考えずに進む。

走っている間には、クラシックギターの曲やチェロの曲や、voicyでお気に入りのトークを聞いていた。

これがお気に入りとの同期である。
最初は何かを聞きながら走るのが楽しかった。けれど、しばらくすると、何も聞かずにぶつぶつつぶやきながらの(自称)瞑想ランニングのほうが楽しくなった。めちゃくちゃストレス軽減に効果があった。

生活リズムが整ってくると、「夕飯→休憩→ランニング→シャワー→ゆったり→寝る」というプロセスが心身ともに健やかな自分を支えてくれているという実感が出てきた。
あと、気分がよくなったので、節約とか食事にも気を配ることが出来て、いつのまにかくっついていた贅肉が11キロ落ちた。全く苦しくなくて、ただ気持ちいいことを続けていたら痩せた。記録は付けなかったけど、シャワー後に体重を量ると少しずつ絞れていったのはやる気につながったと思う。気持ちと食欲の関係も随分シンプルに理解できたので、いい経験になった。

自分で自分を大切にして、なりたい自分に近づいていけるという実感は、確かに手触りのある誇りになる。


これから寒くなるから、耳と顔を冷気から守るネックウォーマーとか、パーカーとか、手袋とか必要になるなぁとぼんやり考えている。

気持ちいいことを気持ちよく続けたいな。


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