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パドレ・プロジェクト ~父の影を追って~を観てきました

昨日は、新宿で「パドレ・プロジェクト ~父の影を追って~」という映画を観てきました。
(写真はイメージです、なんとなく、雰囲気が似ているようなということで……)。

https://padreproject.jp/

監督の竹内さんは、お母様は日本人で、お父様はカメルーンの方だとのこと。
お二人はイタリアで知り合い親しくなりますが、お母様はやがて日本に帰り、結婚をしないまま竹内さんが生まれたそうです。その後2歳のときに一度だけお父様に会いに行ったの、親同士の関係がうまくいかなくなり、その後は連絡が途絶えてしまっていました。

自分には父親はいないものだと思って生きてきたけれども、コロナが流行ってイタリアで多くの人が亡くなったことから、今のうちに探さないと一生会えないのでは? と思い、クラウドファウンディングをして資金を集め、イタリアへ渡ったのでした。

お母様は認知症が進んでいるので、昔なんとなく聞いた話以上の情報を提供してくれることはなく、父親を探しに行くことを伝えても、にこにこしたままわかったようなわかっていないようなご様子。
(新聞を見せて、「お父さんを探しに行くことが新聞で取り上げてもらったんだよ」と言っても、竹内さんの写真が載っているのに、隣の松坂さんの記事を見て「松坂がどうかしたの?」と言っていらっしゃるような感じでした)。
通訳の方が協力してくれるものの、十日間という短い期間の中で、果たして無事お父さんと会えるのでしょうか? 
そんな風に始まりました。

上映終了後には、かつての芸人仲間だったという、安藤なつさんがいらっしゃって、トークイベントが開催されました。
かつての仲間だったというのと同時に、介護のお仕事もされていたので、介護者の視点から話をしてほしいということもあったそうです。
「あの施設は、どういう施設なの?」
「J〇〇」
「……いや、そういうんじゃなくて、特養とかそういうのを聞きたかったんだけど」
「ああ、特養です」
「そうなんだ。いいとこだと思うよ。施設の人も、お母さんのペースを大事にしてる感じだったしね」
など、また普通の人とは違う視点からみられているようでした。
安藤さんが印象に残ったのは、いざイタリアへ行き、「お父さんの生年月日は?」と聞かれたときに、竹内さんが知らなかったことだったそうです。
私が一番印象に残ったのは、なんだったのか。
いろいろあったけれども、竹内さんの過去を紹介するためにいろいろな写真が出てきて、高校生~二十代前半のころはなんだかすごく暗い顔をされていた様子だったのが(やせていたとか、日焼けのせいかもしれませんが)、その後人種のるつぼと言われるアメリカへ行って過ごすうちに、なんだかとても柔和な表情になってきたように思われたところです。
映画の本筋とは関係ないかもしれませんが、なんだか日本ってそうやって人を縮こまらせてしまうところがあるよなあと思ってしまったのでした。
子供のころも、わかりやすいいじめには遭わなかったということでしたが、そういうときのほうが、返って人に助けを求めたり、相手を悪く思っていいのかどうかわからなかったり、もやもやすることもあるのではないかと思います。
お父様とお母さまも、きっと母国で型にはまった生活を送るよりも、一度離れてみたほうがのびのびできる方々だったのでしょう。イタリアはスリが多かったりして、別の意味で大変そうではありますが、晴ればれしていたのではないでしょうか。

現地で知り合った人に、「お父さんを探してるって言っちゃだめだよ、警戒されるから(オレオレ詐欺に間違えられるかもしれない、など)」と言われて、お父さんがいそうなアフリカの人たちが集まるバーへ行ったときに、「こういう人を知らない? 有名なDJだったそうだから、いたら会ってみたいんだ」と言って、怖そうなボディガードの人に写真を見せたときのこと。怖そうなおっちゃんは、写真と竹内さんを交互に見て、「お前のおやじなんだろ? 探しといてやるよ」と言ってくれたとのことでした。これは映画内ではなく、トークで出た話だったかもしれませんが。
そのようなことがいろいろあった映画でした。

9月13日まで新宿駅から徒歩数分のK's cinema(ペルー映画祭の東京会場だった映画館)で上映されているとのことなので、興味のある方は、ぜひご鑑賞ください。

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