東出くんの話

こんにちは!うるみるです。

新年初noteになります。昨年は沢山の方に見つけて頂き、私のお粗末な文章達も誰かの暇つぶし程度にはなったのかと思うと大変嬉しい限りです!今年もどうぞよろしくお願いします…!

さて今回は、去年グズグズに沼っていたセフレについて話そうと思います。この文章を書いたのが少し前のため現在の状況と変わっている部分もあるのですが、、そこはご了承ください。

-------------------------------------------

彼、東出くんとは去年の3月に初めて会った。
(東出昌大に雰囲気似てるから東出くんです)
一緒にご飯を食べて意気投合して、その場のノリでホテルに入った。その時はお互い割り切ってたし1回きりかもな、なんて思っていた。

お互い汗だくになりながらセックスをした後、帰りのバスでなんだか眠くなってウトウトしていた私に、彼は「俺の肩使っていいよ」と言ってくれて、頭を預けると妙に安心した。

それだけでも、次に会う理由になった。

その後家が近いことが分かって、大学を卒業間近の彼とは出会う前の時間を埋めるように頻繁に会うようになった。深夜に通話して、そのまま私の家に来てくれることもあった。


4月になって、彼は東京の企業に就職して、寮暮らしになった。距離が遠いからなかなか会えなくて、寝る前に通話することが毎日の楽しみだった。
「他の女は1度か2度ヤったら飽きるけど○○ちゃんは別。特別な存在。」って言ってくれて、私もセフレにそこまで大切にされたことがなかったから嬉しかった。でも、付き合うことは絶対にないだろうなってなんとなく感じてた。

私は、不特定多数の異性とセックスすることで自分を保っているようなろくでもない人間だったから。他人を本当の意味で愛せることなんてない、と諦めていたし、彼もそのことを分かっている、と思い込んでいた。

でも、その頃から私が他の男と遊んできた話をすると露骨に嫌な反応をされるようになった。
ある時いつものように通話をして、なんとなく彼の機嫌が悪いのは察してた。でも、仕事でなにか嫌なことでもあったのかな、と思ってあまり深くは聞かなかった。


そして、彼から急に「冷めた」と言われた。

もうなんとも思わない、ただの身体の関係でしかない。俺からはもう連絡しない。最後に言われた言葉が、私には理解できなかった。


「…俺は付き合おうって思ってたのに」


そんなつもりなかった、というのが本音だったけど、結局私が彼の好意を踏みにじったことで、彼を傷付けてしまったことは確かだった。


それから、彼はたがが外れたように女遊びが激しくなった。東京でその場限りの相手を見つけるなんて簡単だ。飲み屋で適当な女を持ち帰り、1度か2度ヤったら連絡しなくなる、その一方彼女候補の女の子は優しく扱ってキープにしたり。
私が尊敬していた彼の面影はもうなかった。


勿論彼女になれない、距離が遠いからセフレにすらなれない私にはなんの価値も無くて、ただただ連絡頻度が減っていくLINEを眺めるしかできなかった。


それからコロナを理由に会えずにいたけど、自粛期間が終わった9月に彼に会いに行くことにした。

奇しくもその日は彼の誕生日だった。


久しぶりに会った彼はなんだか別人みたいで、通話の度に聞いていた低く優しい声だけが、私の中の彼のイメージと一致していた。
彼とは色んな話をしたけど、二人の距離はどこかよそよそしくて、ああもう戻れないのかな、なんて勝手に考えて泣きそうになってしまう。その度明るく振舞って誤魔化して、普通の友達みたいに接した。


夜はラブホテルに入って、なんだかごっこ遊びのようなセックスをした。私は彼を気持ち良くさせることに必死で、偽の快感に溺れていくような感覚で心を満たした。私が以前好きだった彼と今目の前で腰を振っている彼は、同じ人に見えなかった。そんな違和感が拭えないまま情事が終わり、ピロートークもそこそこに眠ってしまった彼を横目に私はシャワーを浴びて湯船に浸かって、一日歩き回って思いのほか身体が疲れていたことを実感した。


その時、"ああ私は疲れたんだ"
と、思った。気付いてしまった。


ふたりで手を繋いでスカイツリーから見た東京の夜景。

結局1枚も撮らせてくれなかったツーショット。

カメラロールには私が撮った彼の写真しか無くて、求められていないことが辛くて、でも求める資格なんかなくて、そのことが余計私を惨めにさせた。


通話中よく言われた「好き」も、彼にとっては精神安定剤でしかなかったんだと思う。私そのものに価値があったわけじゃない。「好き」って言える異性として私を求めてただけ。そう考えないと、おかしくなってしまいそうだった。


彼といた時間の中で私はずっと幸せで、でもずっと悲しかった。名前の無い関係がこんなに辛いなんて、今まで思ったことなかった。


ごっこ遊びで満足できなくなってしまったら、あとは本気になるか、諦めるしかない。


彼はきっと、諦めたんだと思う。そしてそれは私の意気地のない性格がそうさせてしまったことで、私が彼を糾弾できる理由なんて、たったの一つもないのだ。


それから、彼とは連絡を取っていない。
もしかしたらなんでもない理由で連絡が来るかもしれないし、私から「元気?」なんて取り留めのないLINEを送ってしまうかもしれないけど、会って彼の好意を確かめるような最低な事はもうしない。

"誰としても何をしてもどこか満たされない"
彼と私は、いつもそんな感じだった。

お互い形だけの好意を利用して満たし合う時間は幸せだったけどいつも虚しくて、私いつか来る終わりに向けてちゃんと心の準備をしてた。だから、ちゃんとあなたがいなくても平気だったよ。

いつか幸せになって、自分のことを100%愛してくれる人を見つけて、大切にして、満たして満たされて、あの夜が霞んで見えなくなるくらいまで幸せになってほしい。

そうしたら、私が貴方に費やした無駄な時間も、きっと少しは報われるから。

------------------------------------------

ここまで読んでくれてありがとうございました!

補足になりますが、この文章を書いた後になぜか例の彼から連絡が来ました。なんでもない内容の世間話を少ししてすぐに終わりましたが。元気そうでよかったです。

それではまた!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?