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ステーブルコインは本当に安全な資産になりえるのか

さまざまな種類があり、暗号資産よりも安定性があるとして利用の幅を広げてきたステーブルコイン。

しかし、テラの暴落により、その安全性や不透明さが浮き彫りに。
いよいよ政府も黙ってはいられないと規制に乗り出し始めました。

次世代の通貨として期待されているステーブルコインだけに、安全性やリスクを把握しておくのは大切なことです。

そこで今回は、ステーブルコインの安全性や課題をまとめました。

本記事を読み終わるころには、ステーブルコインとの向き合い方もわかり、賢く利用できるようになるでしょう。

そもそもステーブルコインが作られた目的

次世代の法定通貨に変わる通貨としてビットコインやアルトコイン(暗号資産)が注目されていました。

ブロックチェーンを利用して、取引や送金が楽になることで期待を集める一方で、値動きが安定しない欠点を抱えています。

例えば、昨日は100円で買えたジュースが、今日は150円になっていたというようにボラティリティが高いのです。

このように値動きが安定していない状況では、非常に利便性が悪いですよね。

そこで、安定した値動きで運用できる通貨を作ろうとして、考案されたのがステーブルコインになります。

確かに、ボラティリティが高ければトレードする魅力はあるでしょう。

しかし、次世代の法定通貨を担う役割として作られている以上は、送金や決済に使用することが第一の目的。

それゆえ、安心して使えるものでないと意味がないのです。

ステーブルコインは3つの仕組みで成り立っている

ステーブルコインとして機能させるために3つの特徴があります。
国が発行している物ではないため、信頼だけでは裏付けは取れません。
そこで以下の3つの形を採用しています。
1.法定通貨担保型:ドルやユーロ―、金などを担保とする仕組み。
2.仮想通貨担保型:ビットコインやアルトコインなどを担保とする仕組み
3.無担保型:その名の通り、担保はなく、アルゴリズムで需供量を調整する仕組み

無担保型以外は事前に同等の資産を用意する必要がある。
それに対して、無担保型は事前に準備金がいらない。

ちなみに2022年の5月に暴落したテラは無担保型で運営されていました。

ステーブルコインで便利になること

暗号資産に変わり、安定して利用できるようになるのが一番のメリットでしょう。
例えば…
・国際間の決済が容易になる。
・海外の送金コストも低く抑えられる。
・資産管理の1つの手段として使える。

実はステーブルコインは不透明性が高い部分もある

ステーブルコインが安定しているのは裏付けがあるからです。
それぞれの担保の型に則って、ステーブルコインを機能させていますよね。

しかし、その裏付けが本当にされているのか開示もされておらず、不透明さがあるのです。

ステーブルコインは政府が発行しているわけではく、運営会社が発行しているもの。

それゆえ、利用したい人は発行会社からステーブルコインを受け取って使用します。

例えば、法定通貨担保型で運営している会社は、最初に同じ価値の資産を持っておく必要があります。

その準備金を担保として、裏付けしているわけですね。

ですが、実際にどのくらいの資産を担保にしているのか運営会社から情報の開示がされていません。

そのため、本当に同等の資産を持っているのか疑問視されているのです。

このような状況下で、白羽の矢が立ったのが「Tether」社。

ステーブルコインを発行している会社の中でもトップクラスの知名度と流通量を誇るため、実際に資金を保有しているのか注目されたのでしょう。
 
それにより、Tether社へ政府の調査が開始される事態に発展していきました。

ついには裁判にもなり、話し合いの末。
司法取引をしてTether社は示談金2000ドル近く払っています。
 
これはある意味、担保として準備金を用意していなかったことを認めるような行動ともとれますね。

結局のところ、真実は語られていないため、ハッキリとしない結末を迎えています。
 
その後、Tether社は自社のサイトで開示をするようになったようですね。
まだまだ開示が義務付けられているわけではないので、運営方針には不透明さを感じられますね。

ステーブルコインを理由する際は、ある程度の知名度や運営会社の信頼性を見た方が良いでしょう。

なぜ運営会社は開示しないのか?その理由とは

政府に目を付けられないためにも、情報開示すれば済むことではあります。
また、利用者の信頼を得る上でも効果的なはずですよね。

それなのに、なぜ開示しないのか?
前提として、運営会社によって理由は違うことでしょう。

その上で、共通して言えることは、証明報告書や監査を依頼するにもコストが掛かることが懸念材料になっていると考えられます。

つまり、情報開示するには、経費が掛かり利益を圧迫する原因になるのです。

ビジネスとして会社を運営しているため、経費を抑えたいと考えるのは自然なことでしょう。

現時点では規制が整っておらずに、開示はグレーゾーンな状態なので上手く避けることもできるわけですね。

運営会社にとっては、都合が良いことかと思います。
一方の利用者にとってはリスクが高い状態とも言えるでしょう。

裏付けが取れていなければ、資産を大きく減らすリスクがある

皮肉なもので、安定性を目的に作られたのに「準備金が用意されていない」かもしれない不透明さをはらんだ安定していない通貨になる場合もあるのですよ。

例えば…
法定通貨型担保で運営している会社が1,000万円分のステーブルコインを発行したものの、実は100万円分しか担保として準備していなかった場合。

大量に発行して運営会社が破綻した際は、900万円の差額が生じてしまうことになりますよね。

そうなると、利用者には資金が返還されないリスクが発生することもあるのです。

補填の義務もありませんから、損する可能性は高いでしょう。

このように、ステーブルコインは、まだ規制が整っていない点が課題として残っています。

ステーブルコインはグレーゾーンな部分もあり規制が整っていない

ステーブルコインは決済や送金が簡単にできるようになり、利便性が高いです。

そんな便利なステーブルコインですが、政府が規制を固めようとしている理由の1つに取引の不透明さも挙げられます。

取引の特徴として身元確認がなく取引ができるのです。

例えば、今手元に100万円あったとして、それを身元の開示なしに会ったこともない、あなたに送ることもできてしまう。

これは利用者にとって便利な仕組みでもあります。

しかし、その盲点をついて取引をする「マネーロンダリング」に繋がってしまう可能性があるのです。

誰がどこで手にしたのか不明なお金を送金することができてしまうので、悪用する利用者が出現してくることが懸念されています。

それを防ぐためにも、米政府がいよいよ規制に向けて本腰を入れて動き始めました。

今後はすべてのユーザーが運営会社の情報を確認できるようになる予定になるとのこと。

徐々に規制が変わっていくことが予想されますね。

日本は先駆けてステーブルコインの規制を開始している。

日本でも今後ステーブルコインが普及していくことを予測して、規制強化をしています。

日本での具体的な内容は以下の2つ
1.発行者を限定し登録制にする
2.マネーロンダリングの共同監視システムの規制

将来を見据えて、今のうちに整備をしておくのは素晴らしい考え方。
規制し過ぎて、使い勝手の悪いものにはして欲しくはないと思いますけどね。


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