見出し画像

♯10 トッテナム リバプール

 トッテナムはクラスター発生の影響もあり、この試合が約2週間ぶり。ただ、ケインやソン•フンミンなど主力級はほぼほぼ先発している。一方のリバプールはチアゴ、ファビーニョ、ファンダイクをコロナで欠き、ヘンダーソンも風邪で欠場。19歳のモートンを先発で使わざるを得ない状況となった。

 前半はリバプールがボールを保持してトッテナムがカウンターを狙うという形となった。アレクサンダー•アーノルドとロバートソンの両SBを中心に攻撃の糸口を掴もうとしていたが、トッテナムは全体の守備の意識が高くなかなか崩せずにいた印象だ。コンテが監督になったことで明らかに守備意識が高くなっている。デレ•アリがナビ•ケイタやアレクサンダー•アーノルドに対して激しくチャージにいっていたシーンがとても印象的だった。

 その流れから、トッテナムは開始早々に点を取る。13分、アーノルドのパスを敵陣深くでウィンクスがカットしたボールをデレ•アリが拾ってエンドンベレへパス。そしてエンドンベレのスルーパスを受け取ったケインが流し込んで先制。ケインの今シーズン2点目でトッテナムが先制した。

 その後もリバプールがボールを保持するものの、中々チャンスを作れなかった。逆にトッテナムのカウンターからソンフンミンに2度の決定機を作られた。さらにはデレ•アリにも決定機を作られたが、おそらくアリソンでなければ入ってたレベルの決定機だった。この時点では、前半でトッテナムが3-0くらいで終わっていてもおかしくないくらいの内容だった。

 だが、リバプールも前半の内に追いつく。35分、ロバートソンのクロスにジョタがヘディングで合わせて1-1。ジョタは今シーズン10点目。直前にクロップとロバートソンが激しく言い合っていたシーンがあったが、その影響もあったのかもしれない。

 後半もボールを保持するリバプールとカウンターを狙うトッテナムという構図は変わらず。54分には抜け出したアリの横パスからケインがシュートを打ったが至近距離のシュートはアリソンが防ぐ。その後のコーナーでもケインが至近距離でヘディングしたが僅かに枠外。どちらも一点入ってもおかしくないレベルの決定機だった。

 しかし、流石はリバプールと言うべきか、ワンチャンスをモノにして逆転する。69分、アーノルドのクロスにロバートソンがヘッドで合わせて逆転に成功した。その前のシーンでサラーのハンド疑惑があったが得点が認められた。得点が認められるべきだったかはさておき、この辺の決定力の高さは流石である。

 逆転されたトッテナムだったが、そのわずか5分後に同点に追いつく。ウィンクスのスルーパスをクリアしようと飛び出したアリソンがクリアミス。そのこぼれ球をソン•フンミンが押し込んで同点とする。リバプールからすると、ここまで何度もトッテナムの決定機を防いでいただけに痛恨の失点だった。

 さらにリバプールは不運が続く。ソン•フンミンの74分のゴールのわずか3分後、エメルソンに対するロバートソンのファールで1発レッド。最終はイエローだったものの、VARの判定でレッドカードとなった。前半のケインの足裏を見せたタックルがイエローだったこともあり、この判定はやや厳しい気もした。

 その後はトッテナムがリバプールゴールに攻め込むも、得点は決められず、2-2のドローに終わった。

  総括 リバプール

 この試合リバプールはトッテナム相手に手を焼いた。支配率57%、シュート数18(枠内6)こそトッテナム(シュート数10(枠内5))を上回ったものの、ゴール期待値はリバプールの1.65に対してトッテナムは2.46と下回った。試合内容で言えば、リバプールは大差で負けていてもおかしくないくらいの内容だったと個人的には思っている。

 大きな要因としては、サラーの不発とファン•ダイク不在が大きかった印象である。この試合のサラーは疲労気味なのか動きが重いように見受けられ、相手DFベン•デイビスのマークに苦しんだ。ここまで第2節のバーンリー戦以外はゴールかアシストを記録していたこともあり、満足に仕事をこなせていなかったと言える。

 また、ファン•ダイク不在も当然大きい。もちろんその他の主力がいなかったのも大きいが、攻守において貢献度の高いファン•ダイクの不在はこの試合に大きな影響を与えていた。事実、ファン•ダイクのいない守備陣は統率力に欠け、相手に何度も決定機を許した。また、攻撃の起点となっていた彼のロングフィードという武器がなくなり、攻撃も停滞気味であった。(それでも2点も奪えるのだから凄まじい。)

 その中でもMVP級の活躍をしたのはマネ。独立で何度も対面のエメルソンやダビンソン•サンチェスを抜き去るシーンが目立った。ゴールに絡んだジョタや両SBも良かったが、ベストはマネだと個人的には思う。アリソンも決定機を何度も防いでいただけに、2失点目のミスが無ければMVP級だっただろう。

 総括 トッテナム

 逆に、トッテナムからすれば、この試合は勝ちたかっただろう。途中からは相手が退場者を出したことで数的優位だったし、その前から決定機の数では上回っていた。

 リバプールと互角以上にやり合えたのは、守備意識の高さと攻守の切り替えの速さが要因だろう。ケイン、デレ•アリら前線の選手もしっかりと守備を行い、攻撃シーンでは、ケイン、ソン•フンミンを中心に速攻を狙うという形が完成されており、リバプール相手に2得点を奪っている。

 トッテナム側のMVPは先制点を取ったケインだろう。カウンター時には必ずと言っていいほど彼が絡んでおり、何度もチャンスメイクをしていた。ただ、自身の決定機を何度も外しており、まだまだ本調子ではないだろう。かつての彼なら決めていたであろう決定機を何度かアリソンに防がれた。準MVPは中盤のウィンクスとソン•フンミンで、前者は激しくチャージや前線へのスルーパス、後者はケインと共にカウンターの起点になったり同点となる2点目を決めたりと共にチームに貢献していた。

 おわり

 リバプールとしては首位マンCとの勝ち点を縮めるために勝ちが必要だっただけにもったいなかった。一方のトッテナムも試合内容から考えて勝つべき内容だっただろう。ただ、どちらも強豪ということもあり、お互い強度も高く、非常に面白い展開となった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?