大学問題研究所所長/阿部 功

■1971年/京都大学大学院経済学研究科博士課程修了■1971年~2008年/大阪薬科…

大学問題研究所所長/阿部 功

■1971年/京都大学大学院経済学研究科博士課程修了■1971年~2008年/大阪薬科大学勤務(都市経済学、環境経済学、医療経済学、英語等担当)     ■2010年/大学問題研究所所長就任 https://www.ursrch.com

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Symposium2024を9月6日(金)に開催いたします。

第1回『危機の時代の大学経営』シンポジウムが2010年、今年は第12回目を迎え、9月6日(金)にTKPガーデンシティ京都タワーホテルで開催することになりました。 不透明な現在の世界はVUCA(変動性:Volatility, 不確実性:Uncertainty, 複雑性:Complexity, 曖昧性:Ambiguity)の時代と呼ばれています。生成AIの出現にみるように、インターネットの普及に始まった情報ネットワーク社会は、地球環境問題の解決と並んで、人と人、人とモノ、モノと

    • 総合型選抜と年内入試が高等教育に及ぼす影

      1.「総合型選抜」の導入の経緯 文科省は、本年4月総合型選抜の導入効果に関する調査結果を公表した。 慶応大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)の開校と同時に我が国で初めて導入されたAO試験は、その後Admission Officeの定義、制度内容、試験としての選抜基準の客観化・透明化等々、さまざまな課題を置き去りにしたまま、燎原の焔のような勢いで全国の私立大学に広がり、国公立大学にも特別な才能を有した学生の確保手段として活用されてきた。 (AO入試は、1990年の慶応大学をきっか

      • シンポジウム2023の報告書

        2023年11月15日(水)キャンパスプラザ京都で開催しました 第11回シンポジウム 危機の時代の大学経営2023『我が国の高等教育改革の現在と将来』について、このたび全内容を網羅した報告書を上梓しました。 この報告書には、首都圏(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)の大学に対して2023年夏に実施した『「新課程」の導入に伴う入試改革と大学広報に関するアンケート調査』について、大学問題研究所が纏めた内容も掲載しています。 大学関係者の方でこの報告書をご希望の方は、大学問題研

        • 公共財としての高等教育機関の現在地(2/2)

          Ⅱ. 「失われた30年」と「高等教育のユニバーサル化」 このような日本経済の流れの渦中で「高等教育のユニバーサル化」が進行した。その中で、国公立大学の授業料が突出して上昇してきたのはどういうわけであろうか? その上昇部分は何に費やされてきたのだろうか?  国の財政破綻が囁かれる中、国立大学の運営費交付金、私立大学の国庫助成金が継続して削減され、いわゆる「競争的資金」重視政策が進められてきた結果、高等教育がどのような局面に立たされたのかについては、その折々の政策推進者の口から

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          公共財としての高等教育機関の現在地(1/2)

          Ⅰ. 国立大学の独立法人化と大学ランキング 周知のごとく、2002年小泉内閣の下で「世界最高水準の大学を育成するため「国立大学法人」化などの施策を通して大学の構造改革を進める」ことが閣議決定され、2年後すべての国立大学が独立法人化された。それから20年余を経た現在、「世界最高水準の大学」は実現されているのだろうか?  タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)をはじめ各種の世界の大学ランキングでは、東京大学、京都大学が辛うじて100位以内に位置するだけで、日本経済の長期低

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          少子化について改めて考える機会です

          大学問題研究所の研究員Tです。 文部科学省のホームページによると、9月25日第137回中央教育審議会総会が開催され、盛山大臣から「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」諮問したとあります。 これまで不十分だった大学の統合・再編の促進を議論の柱とし、定員規模の是正に向けた新たな政策につなげ、2025年3月までに答申を得たいとしています。ますます深刻化する少子化問題について、有効なロードマップを示してくれることを期待したいと願います。 改め

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          大学全入時代と高等教育の将来像(3/3)

          「国際通用性」のある教育・研究力の強化に向けて 先日発表された新型コロナを始めとする過去一年間の感染症研究の発表論文数は、いわゆるG7諸国の中で最低であり、1位のアメリカの1割にも満たない件数である。大学にとどまらず我が国の研究機関が「先導性」において国際的評価を高めなければ、この「質保証」に関わる論議は、単なる画餅に堕するものとなるであろう。  大学の研究力の向上のためには、10兆円ファンドのような財政支援が行われることになったが、有効な施策としてそれに息を吹き込むには何よ

          大学全入時代と高等教育の将来像(3/3)

          大学全入時代と高等教育の将来像(2/3)

          「大学設置基準」の改編の流れ「グランドデザイン」と、その実現に向けた政策集「教育未来創造会議第一次提言」、更には昨年公表された「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」(以下「質保証システムの改善・充実」と略記)にしても、将来社会を展望した上で、現状の高等教育が抱えている諸課題、諸矛盾に対する「解」を一定程度提示している。  かつて、新制大学の創設・改組に向けて緊急避難的に定められた「大学基準」(1947年)並びに「大学設置基準」(1956年)による標準的で無

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          大学全入時代と高等教育の将来像(1/3)

          はじめに  昨年末「社会保障・人口問題研究所」から発表された2022年度の出生者数は80万人に達せず、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」(2018年発表、以下「グランドデザイン」と略記)が予測した2040年の18歳人口88万人を大きく下回る見込みとなった(2022年は、112万人)。  その結果、大学進学者が現状の60万人前後で推移すると仮定すると、大学進学率は、75%に達することとなる(文科省の推計では、進学率は2017年をピークに減少局面に入り、2040年

          大学全入時代と高等教育の将来像(1/3)