[読書感想文]人望が集まる人の考え方

前置き

1956年に発売され、なお色褪せることのない名著とネットの評判を見て読んでみました。
事前情報では、人間の性質や考え方を基本として、人と接するときのセオリーを解説している本だと聞いていました。

大雑把な内容紹介

大人と子供、男女問わず人間の本質的な心理に従って人と接しましょう。という内容。
その心理とは、「自分自身を守りたい」感情。
例えば空腹な人に対して、「自然環境保護のためにも、この会社の食品は買うべきではない。」と言っても意味はない。その人からすれば、その会社のことよりも腹を満たす方が先だからだ。

では、現代人は何を求めているのだろうか。それは「人から認められたい。大切にされたい。」という感情だ。
これは空腹と同じで、これが満たされていないと他のことを意識できない。
例えば仕事で相手と業務の話をしていても相手(もしくは自分)の自己肯定感が低い場合、些細な指摘や改善案を言われると、自身を守るための行動しかできない。
つまり、「私は間違っていない。あなたの考えが違うのだ。」となってしまう。

よって、まずは自分の自己肯定感を上げよう。自分が空腹では他人の腹を満たすことはできない。そして、次に相手の空腹を満たしてあげよう。つまり、相手を褒めたり、相手の功績を認めたりする。そうすることで、空腹の人に食事を提供するように、人は褒めを求めて寄ってくる。
ただ、相手を褒める時、功績を認める時に媚びる必要はない。そういった褒め方はすぐに見抜かれてしまう。本当に素晴らしいところを見つけ、本心で褒めよう。
相手に素晴らしいところがない?それはあなたの自己肯定感不足で、相手の欠点を探し、優位に立とうとしてないだろうか。

その他、細かい話は本を買って読んでほしい。

読んだ感想

半世紀以上前の本なのに、現代の子育てや上司と部下の接し方で学ぶ内容とほぼ同じ内容が書かれていて驚いた。
今の教育方針はこの本を基準に作られたのでは!?と思ってしまうほどだ。
半世紀前の日本は根性論上等で、上司は部下を怒鳴り散らして、親は子供を殴っていた時代。そんな時代にこんな内容が出版されていたとは…
単純に歴史を感じる一冊としても良かった。

内容は現代の上司部下の教育論と大差ない。
(現代の教育論と大差ないものが半世紀前に出版されているのが凄い。)
職場の心理的安全性など、いろいろ言われているが、結局は自分で自己肯定感を高めるべき。
逆に言うと、自己肯定感が低くて、業務の指摘などを攻撃ととらえて防衛態勢に入ってしまう人は、早くその状態を抜け出した方が良い。
その状態が長く続いていると、周囲から扱いづらい人とみなされてしまう。
この本の半分以上は、自己肯定感が高い状態で相手といかにうまく接するかという話なので、自己肯定感が低い人からするとあんまり助けにならないかも。
自分が人とうまく接することができない原因が自己肯定感の低さ起因なことには気が付けるかもしれないが。

あえて文句をつけるなら、「科学的に証明されている。」と書くのであれば、参考文献を載せてほしかった。参考文献無しで証明されているといわれても…となる。

総評

読む価値あり。
目新しい情報はないが、それが逆にこの本のすばらしさを表しているともいえる。
人間関係に困ったとき、人をうまく扱って仕事を進めたいとき、もう一度振り返りたい。

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