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だいすき、くわたん(きょうの本)

 この数か月、たぶん御多聞にもれず、本棚からむかし集めた漫画をひきだしては一気読みしています。
 トジツキハジメ、ヤマシタトモコ、サメマチオ、高野宮子、草間さかえとならべてみたら趣味がばれちゃうなっていうかたぶん世代がばれちゃうな。
漫画家さんにかたかなのおなまえが多いのもたぶんきっと世代……。

 まえにもちょっと書きましたがわたしは足がわるいので何年かまえに何回か手術とか長期入院とかをあれこれしていまして、たぶんその前後くらいからほとんど本も漫画も買っていなくて、なんかこう荷物をふやしたくないというか、購買欲が本にかぎらずなくなってしまったというか、たまに読むぞという気になってもまあせいぜい図書館にいくようなものでありまして。
 図書館にも漫画はあるけれどなかなか借りるのもおっくうで、だから小説ばかり読んでいたりして、といっても人気のシリーズは予約で順番待ちするのも面倒でだからいつか買おうとおもいつつ追いかけなくなり、ずっとすきだった漫画もなんだか続きを知らずじまい、って書くとなんだかちょっとどうなのそれって感じではあるんですけどとりあえずそんな感じの数年でした。
 それがこの数か月の若干家ごもり生活で、なんとはなし本棚からあれこれひきぬいてみてるあいだに欲望がむくむくと、ってことですきな漫画家さんや小説家さんの作品をあらためて。
 っていうひといますごく多いんだろうな、本屋さんごめんなさい、配送業者のかたごめんなさいお仕事ふやして……つみほろぼしにわたしもひとさまのためにがんばって働きます……っていう釈明はともかくとして。
 あとほんと数年目をはなしたすきに作品が本屋さんで買えなくなるのなんで、とくに漫画の品切れスパン早くないですか。
 電子書籍があるだろっていわれるかもしれないけどわたしは眼球の質もめっちゃわるいのでながいこと電子端末の画面を見ていると冗談じゃなく日々の生活があやぶまれることになるのでできたら紙がいい。というか紙じゃないと真剣にむり。

 という、あいかわらず長い前置きのもとじゃあ今回は何の話をするのかというと桑田乃梨子さんの漫画を一気買いしたぞということですね。
 写真に出てるからまあばればれか。
 ばればれですね。
 しかもこの一気買い、もともと持ってる本もまちがって買ってたりするうっかりさん。
 時間差二冊買いによりおっ売れたぞと版元さんにおもっていただきどんどん桑田作品が増刷されたらいいなあという企てってのはもちろんあとづけだよ。
 で。
 そもそもわたしと桑田漫画の出会いはというといまをさかのぼることン年まえ、小学生のころ図書館にあった『卓球戦隊ぴんぽん5』でした。
 そういえば火村シリーズと出会ったのもこのあたりでしたね。はじめて読んだのは『46番目の密室』。それはまあおいといて。
 そこから古本屋(当時大型新古書店はまだなかった、町の古本屋さんはわりといっぱいあった)をめぐり小学生のとぼしいお小遣いからこつこつ既刊をあつめていったのでした。
 とくに中学生のときは何回も読み返してた。
 こんな高校生になるんだろうなっておもってた。
 実際はまあそうなようなそうでないようなって感じでした。
 むしろ実際の生活がどうしてもしんどかったときに(その当時にはわかってなかった体の不具合とかが実はあちこちあったりしたのでいまおもいかえすとわりに四角四面な学校社会のなかではすっごいストレスかかってたんだろうなーってわれながらひとごとのように気の毒)わたしを生かしてくれてたのが桑田作品のなかのひとたちだったかもしれないな。
 重いな。
 でも『橋をかける』にも、少女の頃の読書が現実の苦しさからどれだけ心を救ってくれたかというくだりがあって、ほんとうにそうだな、といつもおもいます。

 御堂くんや新名くんや森島先生や1年2組のみなさんや、いろんなひとたちがいてくれたからわたしはなんとなく生きのびられたよ。
 桑田作品の影響で紺ブレ(ていうの?)のセーラー服にはめっちゃ憧れました。着たことはないけど。
 ほんとうに、どの作品もだいすきです。
 そして今回あらたにあれやこれやと桑田作品を手にとり、わたしがこどものころ読みふけった世界がずっと続いていることにびっくりしました。
 登場人物や舞台はそれぞれ違うけど、でもそこにあるものはずっとおなじだった。
 すごいな、とおもいました。
 おとなになったからこそわかる(……かもしれない)、この世界観のぶれなさと安定感。
 漫画家さんというか、ほんとうに、すごい職人さんだとおもいました。
 以前桑田先生が巻末エッセイかなにかでご自身の描かれるものを「終わらない放課後」と評されていたなとふとおもいだしました。
 小学生のわたしも、中高生のわたしも、いまおとなになってずいぶん経つわたしも、この「終わらない放課後」のなかで安心して、帰り道を歩いたり、クラブにいってみたり、教室で居残ってクラスメイトとおしゃべりしたりすることができる。
 ちょっと席をはずしていても、ページを開けばすぐに「ただいま」とその世界に帰っていくことができる。
 すごい。
 すごいな。
 すごいんだよ、ということをみんなに言いふらしたくてこのnoteを書きにきました。
 ずっとちゃんと桑田作品にふれつづけているファンの方からすれば、知ってるよ、てなもんでしょうがだってすごいっておもったんだもの。
 っていろいろ書いてたら『だめっこどうぶつ』が最近最終回をむかえていたことを知りました。

 買わなければ。
 小学生のわたしにならって、でもいまはおとなになったので、新刊書店さんで既刊を買いそろえようかと思います。
 ……とりあえずいまのところは店員さんのごめいわくにならない程度にね。

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