読んだ本や行った場所のことを書いていきます。

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マガジン

  • 文豪がらみのあちこち紀行

    文学者ゆかりの地にいった記録です。

  • 青空文庫で読めるBLをおすすめしてみました

    青空文庫で公開されている作品のうち、いわゆるBL読みができるかしらというものを紹介しています。

  • 晴読雨読

    読んだ本の感想などをしたためます。

最近の記事

文学という空間について考えた話

先日、大阪は淀屋橋近辺で開催された「週末文学室」に行ってまいりました。 Xやnoteでの告知にあるとおり、織田作之助や坂口安吾の原稿、内田百閒をモチーフにした造形物、そのほか碧梧桐やいろいろの、文学者や文学作品にまつわる展示物が大大阪の流れを汲む近代建築ビルの地下一階のスペースにありました。 わたしは中之島あたりをぶらぶらするのが好きなので、その中之島のそばの、周囲はオフィス街にも近いようなそれでいて民家もお店もあるような、場所にそっと残っている近代建築の一角に、とても素

    • 昭和9年刊行のあの名作をBL目線であらすじすべて紹介してみました1

      ※こちらは今をさること18年まえに、わたしが三上於菟吉『雪之丞変化』を読み、その壮大なラブロマンスぶりにびっくりして友人知人にふれまわり、しかしながら当時のきなみ品切れだったものでふたり三人くらいにしか理解を得られなかったのでもう自分がなににハマってるのか相手とのコミュニケーションを成立させるためにぜんぶ説明しようと本にしたものです。 したがって全編をネタバレしています。 ネタバレも辞さないわというかた、もう本編読んでるからというかたのみどうぞおすすみください。 あと18年ま

      • 骨董という世界をすこしのぞく

         最近、noteを書きたいなあというきもちをぼんやり持っていまして、じゃあなにを書くのかといえばべつになにもとくに思いあたるふしはない、というところなのだけれどもとりあえずなにか文章が書きたい。  心にうつりゆくよしなしごとをという言葉がいつまででもひとの口に膾炙して消えずにすたれずにいるのはつまりそういうことなんではないでしょうかねとおもう昼もすがら。  ということでひさかたぶりにnoteを書きにきました。  以前に書いた記事を読みかえしてみるに、感染症対策であれこれ疲

        • 文アル神戸須磨スタンプラリーに参加しましたという話3

           ということで文アル神戸須磨スタンプラリーレポ第3回。  第3回。  およそ半日のスタンプラリー行程の紹介とは思えない長文。  ちょっと長すぎるんではないかと自分でもひきかけているので今回でおしまいにしたいという算段のもとにがんばります。  どうぞ応援よろしくお願い申し上げます。  さて、前回はチェックポイントふたつを有する須磨寺門前まで100メートルというところで雷雨に遭遇し30分間ネパールの祈念場に足止めされた模様をお伝えしました。  おさらいとして、ネパールの祈念場と

        文学という空間について考えた話

        • 昭和9年刊行のあの名作をBL目線であらすじすべて紹介してみました1

        • 骨董という世界をすこしのぞく

        • 文アル神戸須磨スタンプラリーに参加しましたという話3

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        • 文豪がらみのあちこち紀行
          4本
        • 青空文庫で読めるBLをおすすめしてみました
          5本
        • 晴読雨読
          18本

        記事

          文アル神戸須磨スタンプラリーに参加しましたという話2

           さて、文アル神戸須磨スタンプラリー、須磨浦公園のチェックポイント2個をクリアした前回。  今回はその続きからお送りします。  須磨駅周辺にあるチェックポイントは須磨浦公園のふたつと、あとは須磨寺の正岡子規と吉川英治ゆかりの地のふたつ。  須磨浦公園のチェックポイントが子規じゃなくて虚子なの、こっちに子規がいるからかなあなどと思いつつはばたきロード(前回参照)を須磨駅方面へと戻ることしばし。  と。  それまでそこそこ晴れていた空が急に鉛色になりあっという間にぽつぽつと

          文アル神戸須磨スタンプラリーに参加しましたという話2

          文アル神戸須磨スタンプラリーに参加しましたという話1

           さて。  こちらは「文豪とアルケミスト」なるゲームについて、TLで複数のフォロワーさんのツイートなどをお見かけするも実際には触れたことのない身が、現在神戸近郊にて開催中の「文豪とアルケミスト 特別任務文豪ゆかりノ神戸ノ地ヲ周遊セヨ」を、デジタルスタンプラリーこれから仕事で使うんだよなーあとひさしぶりに神戸行きたいなー須磨も行ってみたいなー古本屋さん巡りしたいなーとかいういろいろな算段のもとにこっそり参加してきたよというレポです。  「文豪とアルケミスト」についてまったく知

          文アル神戸須磨スタンプラリーに参加しましたという話1

          #一万円分本を買う

          感染症だとかなんだとか、なかなか人心おちつかぬきょうこのごろ、みなさまいかがお過ごしですか。 わたしはまあまあひとなみというか、家と仕事の往復くらいという日々を過ごしております。 ともだちにももう何年会ってないかしら、オンラインやなんやではちょっとお話もしたりするけれど、という感じでいるのでだれかと遊びたいなー呑みにいったりしたいなー顔をあわせるのは職場のひとくらいなんだよなーというわりと世間によくある程度の心情をかかえているわけでありますが。 そんな折、おともだちがこんな企

          #一万円分本を買う

          物語と(きょうの読書)

           さてみなさん、赤川次郎作品でいちばん好きなシリーズって何ですか。  三毛猫ホームズ? 幽霊? 吸血鬼? 三姉妹?  すてきなシリーズやまたノンシリーズがたくさんの赤川ワールド、こどものころからわたしもだいすき。  なかでもいちばん好きだったのが9号棟シリーズです。  はたちになって亡父の莫大な遺産を相続するはずが、親戚の陰謀により精神病院(いまは医療センターとかのほうがいいのかしら、とりあえず本文ママ)に強制的に入院させられた女子が、病院仲間のダルタニャンやナポレオン(

          物語と(きょうの読書)

          知らないだれかの知らないことば(きょうの読書)

           いろいろと私事にとりまぎれていつのまにやら半年ほどほったらかしにしていたnote、そのあいだにも見ていただけていたようでとても恐縮しております。  お気に入りとかスキとかいただけてうれしいです。  すこしでもお楽しみいただけましたなら。  青空文庫で読めるあれこれがコンスタントに見ていただけてるのかなー。  という気はちょっとしつつ。  そして、だからというわけでもないんですけど今回読んだ本をひとさまにおすすめしたいなって気に駆られた、のも、なんていうかそのへんの塩梅から

          知らないだれかの知らないことば(きょうの読書)

          きょうもきょうとていろいろと(きょうの本)

           日々めくるめく感じでいろいろと過ぎていっています。  コロナが、とか、自粛が、とか、ほんとは何にも変わっていないはずなのになんだかまるで過ぎたもののように世間は動きだしているような、いやでもべつに半年まえとなんにも変わってもいないような、なんだかほんとうによくわからない感じなんだけど、そのわからなさをこうやって書きとめておくと一か月後二か月後、もしかしたら何年か後の自分が読んでおもしろがれるかな、くらいの感じでいまもこれを書いています。  前回の記事も、そのまえのも、いまと

          きょうもきょうとていろいろと(きょうの本)

          いろいろなひとの(きょうの本)

           最近は、仕事にいっていない日は家にいるか、近所にあるいついってもひとがいないがらがらの映画館にいくかくらいかしていないので本を読むのもはかどります。  今回はまずこちら。  李琴峰『星月夜』。  台湾出身の日本語講師とウイグル出身の留学生が東京のW大学で出会い、というお話。  女性同士の恋愛、国籍の違い、それぞれの経済状況、学問に向き合おうとするとき立ちはだかるだろう男女差、あとほかにもいろいろと、台湾出身の先生とウイグル出身の学生というカップル(という言い方もこのな

          いろいろなひとの(きょうの本)

          故きを温ねて新しきを知る(きょうの本)

           なんだか懐かしいもんだな、という思いをいだかせる本をたて続けに2冊読みました。  まずは近藤文恵『歌舞伎座の怪紳士』。  いわゆる新本格ミステリというものに親しんで育ったこどもだったので、中学校くらいのときには東京創元社の背表紙が白くて赤い線のはいってるあのシリーズを図書館で借りてかたっぱしから読んだものでした。  そのなかにあったひとつが近藤史恵さんの作品。  『ねむりねずみ』とか、近藤史恵さんの歌舞伎ものをちらちらと齧って、そこから中村雅楽ものとか栗本薫さんの歌舞伎も

          故きを温ねて新しきを知る(きょうの本)

          だれにもよいことがありますように(きょうの本)

           毎日本を読んでいます。  毎日せっせと本を読んでいます。  といっても基本的にわたしは本を読むのがおそいので、そんなにたくさんは数を重ねられていないのだけれども、ともかくここ数年の自分にしてはわりとよく、それも最近の本を、読んでいます。  こどものころから本を読むのはすきで、でも長いあいだ生きているうちにはなんだかなんでだか本を読めなくなるときもあったりして、それはなんというかひとのことばをうまく受け取れなくなっているというか、だれかとコミュニケーションをとるのがあまりたの

          だれにもよいことがありますように(きょうの本)

          8月がくるたびに(きょうの本)

           8月がくるたびにみんな戦争と平和の話をするけれど、ほんとうは夏のイベントめいたことではなくして、毎日噛み締めて考えてゆかなければならないことなんだろうなとおもってもいる、それでもやっぱり8月がくるたびに戦争と平和のことをおもう機会が多くなる、そんな感じのきょうこのごろです。  夏のイベントめいた、それは75年以上まえに平和というものを持たなかったと噛み締めたひとたちから、75年まえより先の未来に生きてきたわたしたちへの習慣づけという名のおくりもの、と呼ぶには切実で凄惨なも

          8月がくるたびに(きょうの本)

          明日はどっちだっていいかもしれない(きょうの本)

           なんだかやっぱりまったくよくわからないうちに世相は変わっているのかそれともそうでないのかわからないうちに日々がどんどんとすぎていっているような気がします。  それはきっと、みんなそうなんだろうなともおもいます。  そうなんだろな。たぶん。  でもなんとなく、SNSやなんやかんやで見るひとさまの暮らしにそういう色があるのかないのか、それとは別に全然出かけられてないうちにすきなお店がどうなってしまうのかわからないででもなかなかいけないでとか、あといま自分がコロナにかかったらいろ

          明日はどっちだっていいかもしれない(きょうの本)

          男の子ってなんでできてる?(きょうの本)

           こどものころから、宇宙とか海とかが舞台の作品があまり得意ではありません。  なんでだろな。  なんとなく、そこは男の子の住む場所と、だれかははっきりわからないだれかからきめつけられているような気がしているからかもしれません。  公園のジャングルジムで男の子たちが宝島ごっこをしているからわたしは砂場で遊ぶ、みたいな、どこか旧弊的な感覚が身にしみついているのかもしれない。  男の子向け、となんとなくジャンル分けされたものに対して距離をとってしまうというか。 いやもしかしたら海に

          男の子ってなんでできてる?(きょうの本)