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日本人の礼儀正しさの謎

アメリカでの個人主義とは違い、日本では団体主義が国民性の基盤となっている。歴史をさかのぼってみると、江戸時代には、五人組と呼ばれる制度が存在し、これは村民が5人一組となり、相互に監視し合うことで村の治安維持に努めた。この制度は、個人ではなく集団での責任を重視する考え方が日本の歴史的背景に根ざしていることを示している。また、村単位の自治制度も、地域コミュニティの中で団結し、協力し合うことが求められたため、団体主義が強化された。
要するには日本は、相互に監視する行動が「人の目を気にする」風潮へと変わっていったのだ。

人の目を気にする風潮から

5人組という仕組みは相互に監視することと、連帯責任を負わせることにあった。隣人の飛び抜けた行動や人とは違う存在は、自分の死に直結していた。だから、人の目を気にするようなっていったのだ。「人様に迷惑をかけてはいけないよ」という言葉もそんな環境から生まれてきたのだろう。

礼儀正しさ

毎日の挨拶や感謝の言葉をかけるフレンドリーさの中には、「自分は安全な人ですよ」というアピールが含まれているのだ。
そんな村社会には、10ある付き合いがある【冠・婚・葬・火事・病気・建築・年忌・水害・出産・旅行】である。中には「旅行?」と思うだろうが、旅行というのは、村単位でお金を積立て、成人した男性がお伊勢参りに行く行事のことである。だから日本では、旅行に行くとお土産を買う文化がある。これはお礼の意味を含めたフレンドリーのアピールなのである。こういった礼儀正しさは、自分の安全さを証明する行動の一つである。

古い慣習が日本の原点

これらの伝統的な制度や文化は、現代日本社会にも影響を与えており、仕事や学校、地域社会など様々な場面での協調性や集団行動が組み込まれている。自分たちの国民性は生活の一部に溶け込んでいるので、なかなか認識しづらいものである。
他国の人が来日して驚く光景を見て、自分達の違いを知るのである。

日本人のゆっくりとした判断や周りとの協調をはかる姿勢は、江戸時代から受け継がれた文化である。そしてそれは日本人の体質に合っている。グローバルな日本を目指すのは良いが、今一度の日本の良さを理解して日本人に合うような選択が必要である。


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