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【1分小説】 世界の音に耳を澄まして。

あと5分。あと5分探してなかったら今日は諦めよう。

の願いも虚しく僕は駅のホームにいるわけだが、

…世界ってこんなうるさかったっけ。

音楽の隙間からうっすら聞こえていた街の音。

それらが最高音で高音質な音の塊となり勢いよく僕の耳へ。

僕は予想だにしない音のトゲとその痛みに今にも泣きそうだった。

「独り」を感じるのだ。

世界を聞いてしまうと、こんなに人がいっぱいいるのに、今の僕は「独り」であるということ知る。

それが嫌な僕は都合のいい音だけをずっと聴きたかったのだ。

帰りたい帰りたい。

電車から降り、道を歩み始めたその時、鳥のさえずりが耳に届き、さっきまでの考えを一掃した。

僕は人間よりもっと大きなものの中にいるということを忘れていた。

彼らも立派な命で僕のすぐ近くにいるのだ。そして僕も彼らのすぐ近くにいるのだ。

今日はいろんな音を聞いてみることにしよう。

世界の音に耳を澄まし学校へ向かうのでした。




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