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ジム、サウナ、裸のおっさん。
あなたは誰かを「おとなだ」と感じる時はどんな時だろうか
運転席の彼氏が海沿いで気持ち良さげにアクセルを踏んでいる時、一人暮らしの彼女がフライパンからお皿に盛り付けている時、父の仕事中のスーツ姿にかっこいいと思った時、職場の地味目なあの人のたばこに火を付ける所作が色っぽい時。
年相応に得た、あるいは得ていた経験や知識がその人の哲学を作り、それが所作や言葉遣いに少しずつ溢れ出て、それを第三者が感じて初めてその人は「大人」という生き物になる。
自分より数年早く生まれただけの人間は「大人」ではないし、二十を超えたから「大人」というわけでもない。
大人という称号はそう簡単にわたせないし、わたされないのだ。
そして僕らは社会にいる以上「大人な対応」「大人な振る舞い」を求められ、誰かから「大人」と思われたいがため今日も頑張る。
みーんな大人になりたいのだ。
大学生になり、たくさんの集団に入り、人に会ってきた。大人な人も、そうでない人も。
その中でも奇妙な集団がある。ジムのおじさんたちだ。
今回はそんなお話し。
ジムはええぞ・・・
僕が一人暮らしを初めて半年ほど経った日、ジムに通い始めた。
自宅から徒歩3分程にある、月1万円でマシーン使い放題プール使い放題なジム。
引っ越してすぐ入ればよかったのだが続けられるか心配だったので、半年ほど自宅トレーニングを続けれたら入会しようと決め、それができたので入った。
とはいえ普通な、ごく普通なジムだ。
体を鍛えることが好き、、、というかイヤホン越しの音楽に身を任せて、ダンベルに自分をぶち当てるあの感覚がたまらなく好きでして。ついでに体もカッコ良くなるにであれば尚更素晴らしい。
確実に大きくなった肩をみて「これがジムの悪魔か」とニヒヒっとした。
ジムにすっかりはまったのだ。
そしてこのジムの悪魔の魅力がもう一つ。サウナ付き浴場だ。
大して大きくもないが湯加減が素晴らしい。そしてサウナもいい。ジムに行く楽しみの半分はこの浴場だ。
…僕は家事や課題を済ませてだいたい21時ごろにジムに行き1時間の運動を経て22時ごろに浴場に向かう。
この時間はサラリーマンさんが多い。社会のどこかで今日も頑張った人たちだ。充電切れになりかけているおっさんたちだ。(ポップにしたいのでおっさんと書きます笑)
すっかり顔なじみだがお互い挨拶はしない。究極の一人時間を互いに尊重し合う空気感は少しピリッとしていて、居心地がいい。
そして僕らの特徴として「裸」しか知らないのだ。
そう、裸しかしらない。
社会ではスーツを着ていようが、制服を着てようが、浴場で出会う僕らは裸一貫。なんのしがらみのない、純粋な人間たちなのだ。
この人たちも誰かから大人と思われているわけで、大人をまっとうしているわけで。
そんな人たちも日頃の疲れと湯加減、サウナの熱気にはなす術なし。
あの浴場は大人が大人であろうとする必要のない場所。
これはサウナに限った話ではないはず。ゲームセンター、図書館、公園etc… 大人なあなたが「大人」であろうとしなくてもいい場所があれば、毎日は少し生きやすくなるのではないだろうか。
僕らジムのおっさんにとってそれはこのジムの浴場なのかもしれない。
そんなこんなで僕は今日もジムへ行くのだ。
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