ごはん

ご飯ぬいたからって教育的効果はない。

相変わらず私と12歳の娘は喧嘩ばかりしている。
一週間前の喧嘩はこんな感じ。

母:「そんな言い草は許せません。顔見てご飯たべたくない。晩御飯は食べないでよろしい。二階に上がりなさい。」

娘:「はぁ???なら二階で食べるから。ご飯食べさせないなんて親としての役割をどう考えてるん?だいたいご飯抜いたからって私が反省するわけではないねんで?」

分かる人にはわかると思うが、「ご飯ぬいたからって教育的効果はない。」それはその通りであり、娘はこの手の罰が、ある側面において親の力の誇示であること見抜いている。手強い。

そして曰く、「あのさぁ、もうちょっと親がいい親やったら、私やってこんな性格ちゃうねんで。」その発言を受けての私の怒りは、まぁ想像がつくと思う。

しかし、こんなことを繰り返していると忘れそうなので、メモしておきたいことがある。娘は時々私をとても喜ばせるということ。

今年の運動会でのこと。

娘は決して天与の運動能力があるわけではないが、天与の負けず嫌いの性格で(私との口喧嘩の様子を聞いてもわかる通りだ。)いつも運動会は頑張るしエキサイトしてる。

徒競走もリレーも本気で勝つ気で走ってた。まぁ、天与の才能のある子には勝てないけど。

でも私が嬉しかったのはそこじゃない。

運動会の種目に、集団演技というのがある。近年その危険性を指摘される組体操に替わって、音楽に合わせて集団で体操とダンスを組み合わせたような演技をする種目だ。

正直、その手の集団演技が好きでもなく期待していなかったが、普段は口悪く生意気な6年生たちの神妙な顔が、私はなんだかいじらしくて感動していた。

しかし、その感動の最中、グランドの四隅を起点に並んでいた集団が大きくフォーメンションを変えるその時、背の高い女の子が突然集団から外れて猛ダッシュでグランドの中心を走り抜けていった。

あれ?うちの子やん?

もう徒競走かと思うような猛ダッシュ。何?何事?

娘はグランドを対角線上に走り抜けて一人の女の子を捕まえて促しながら、彼女とまたグランド中央を駆け抜けて反対側のポジションに走っていく。

娘が捕まえた女の子は、やや重めの自閉症があり、たぶんいつもと違う本番の雰囲気に混乱してフォーメーションを間違えたのだ。娘はもともと彼女とペアを組んで演技するように先生から役割を与えられてた。

娘の本音は「私だって自分の好きな子とペアで、心配や気遣いなしに存分に演技したかった。」

でも、娘は本音は本音として自分の仕事をした。音楽に合わせて演技する種目なので、音楽に遅れないように猛ダッシュした。サポートのいる女の子がくじけてやる気をなくさないように優しく、しかし音楽に遅れない程度の強引さをもって素早く移動した。

運動会の演技中は保護者は自分の子にフォーカスしているから、他の親の目についたりはしなかったかもしれないが、私は誇らしかった。

後日、娘が4年生までお世話になっていた学童保育の先生に、道端で呼び止められた。「運動会、(娘)ちゃん立派やったね。ナイスサポートやった。でも私が褒めたら、ああハイハイみたいな感じで、私の顔も見ないでぷいってどっか行ってしまった(笑)反抗期やねぇ。」

見ててくれた人がいたのかぁ。

そのまま真面目に生きよ。優しく生きよ。

きっと誰かがみてる。

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