DS『逆転検事2』感想
親子の縁がフルスロットル。
プロローグ
始めに
『逆転裁判』シリーズのスピンオフ、『逆転検事』の続編『逆転検事2』。傑作と名高い本作でしたが、本当、噂に違わぬ最高の作品でした。ええ、超面白かった! そして長かった! 最終話の前編2がいつまで経っても終わらなくて「話落ち着きそうなのに前編2のままなんですか……?」と若干戦々恐々とまでしてました(設けたタイムリミット的な意味でもハラハラした)。
本編キャラも本編発生事件も結構がっつり絡み合った上で御剣怜侍というキャラクターの最適解が描き切られてました。
💐本感想には以下作品のネタバレが含まれます。💐
①システム:ナツミさんを論破した瞬間の私「ロジックチェス強えぇ!」
①-1.捜査パート
新要素以外の基礎システム・UIは前作『逆転検事』と同じです。ちっちゃいドット御剣さんを動かして調べて対決してーですね。
しいていくつか挙げるとしたら、「ぬすみちゃんがパワーアップした」「全体的に難易度が上がった」「かくつきが無くなって動きが超スムーズになった」くらい?
時間が経過してしまい当時の状況が分からなくなっている事件現場を〈ぬすみちゃん〉を使いバーチャル映像で再現する《情報再現》。
前作で再現できたのは「犯行が起こった時刻の現場」だけでしたが、逆検2では例えば「催事が行われている○時の現場を再現」「催事が終わって後片付けをしている途中の✕時を再現」と調べたい時間を切り替えられるようになりました。
といってもうっかり調べ残ししちゃって○時に変えなきゃって時以外は普通に調査を進めるだけで大体自動で切り替わるorその時間帯の捜査が終わったら「じゃあ✕時の現場を調べましょうか!」とアナウンスしてくれるので、自分の判断で適宜時刻を切り替えて~と試行錯誤する必要はありません。いつも通りの親切設計です(最初ちょっと物足りないなと思ったのは秘密)。
余談ですが、バージョンアップ仕様になった影響かぬすみちゃんで《情報再現》する時の演出が少し派手になっててにこにこしました。
あとは終盤に難しさが偏ってた対決パートが第1話から難易度高くなってて「!?」となったり、前作ではコンマのタイムラグ操作で全体的にもどかしかったかくつきがすっかり無くなり、逆裁シリーズと同等のスムーズな動きになって快適になったり。あ、お馴染みの金属探知機の操作方法がWiiU VC版ともDS版とも違う形式になっててわざわざ変えるんだと少々驚きました。
それと動画や写真の画面を拡大して詳細確認をする〈ぶんせきくん〉は存外出番が少なかったです。
①-2. ロジックチェス
本作の最大の見所である新要素、その名も《ロジックチェス》。
ロジックチェスとは、何らかの理由で証言したくねえ!と拒否する人達の口を御剣さんが不敵な笑みで割らせるシステムです(美雲ちゃんが「お、あれやっちゃいますか?」と笑顔で言ってくるのがじわる)。
これだけ見ると逆裁2から登場したサイコ・ロックに似ていますが、ロジックチェスでは証拠品の突きつけはせず御剣さんの言葉のみで戦います。またサイコ・ロックと違うのはあちらは正しい証拠品を突きつければそれでOKでも、たとえこちらが適切な質問を選んだとしても、対象者が「絶対言うもんか!」と頑なな態度を取っていたら質問を跳ね返されて欲しい回答が得られないという点。よってプレイヤー(御剣さん)は対象の立ち絵から分かる表情・台詞の語調等を窺う必要があり、時には『まだ様子を見る』を選んで相手を喋らせ続け、言い淀んだり動揺した瞬間にすかさず言及。すると相手側に表示されているチェスの駒(※サイコ・ロックの錠のような物。しかし錠と違って1回で壊れることはまず無く何度も追及する必要がある)が破壊され、これを全て壊したら相手は負けを認めて話し始めます。
なおロジックチェスには時間制限があり、会話中は時間ストップしますが選択肢表示中はじわじわ削れていくのでなかなか焦ります。チェス駒数に応じて随時満タンに戻るのが幸いです。
逆検では御剣さんのロジックもあって超論理的に話が進むところに御剣さん頭良いなあと感心するポイントになってましたが、初登場のロジックチェスで「リアルタイムで質問内容考えつつ心理戦に持ち込んで情報引き出してる御剣さん凄ぇ」が更に強まってプレイ中は終始感心してました。何よりなるほど君があれだけ手こずってたナツミさんを何の対価も無しに己の言葉だけで見事に情報引き出した瞬間は「ロジックチェス強ええぇぇ!!」と滅茶苦茶テンション上がりました。万才論破した時より爽快感あったもん。
②ストーリー:検事・御剣怜侍のこれ以上無いアンサー作💐
のっけから「国際問題!!!!」と叫ばずにはいられなかった事件に端を発したせいでもしやまたもや規模がでかい話か? と思いましたが、クリアしてみると大きいは大きいでもベクトルが違う方に規模が大きかった『逆転検事2』。
本作では規模が大きい事件とは別に、御剣さんの行動には目に余る物があると検事審査会に危険視され、検事バッジ=検事職が剥奪される可能性を幾度も示唆され、しかも同時期に「レイジ君、弁護士にならない?」と弁護士だった亡き父の助手・信楽さんに勧誘されて「検事と弁護士どちらの道を歩むのか」を再度御剣さんが考えさせられるのも大きなテーマになってます。
このクエスチョンの提示するタイミングがかなり上手いんですよね。
元々御剣さんは父親の信さんの影響で弁護士を夢見てたのに、DL6号事件で犯罪者を擁護する弁護士にはなれない・被告人は全員有罪思考になった。じゃあDL6号事件が解決して罪の記憶から解放されて、失踪を経て真実を追究するスタイルになったら「じゃあ最初の夢である弁護士になってもいいのでは?」は逆裁3までやってるプレイヤーの大半は考えると思います。
しかも本作では新キャラの裁判官である水鏡さんと新人検事の一柳君達が尽く御剣さんから捜査権奪い(ていうか逆検無印の頃から狼捜査官にぶん捕られたり冥さんの部下として現場に身をねじ込んだりしてたし)検事なのに事件に携わるのにかなり苦労してて「検事させてくれよ!」と個人的にやきもきしてたので、「亡き信さんの名字を掲げたままの『御剣法律事務所』の」「その所長を務める信さんの元助手現所長」の立場である信楽さんの言葉が凄く刺さったんですよね。御剣さんはずっとノー貫いてたし検事を全うするのは知ってるけどプレイヤーの心はそれはそれとして滅茶苦茶揺らぎましたよ、ええ。しかも信楽さんちょっと怖いくらいに「レイジ君のそういうところ、信さんにそっくりだ」って言ってくるし。
だからラスボスの「《弁護士ごっこ》がしたかったんだろぉ?」にはそれはもうダメージ入りましたよ、ええ。美雲ちゃんと一緒に「違います御剣さんはそんな考えで貴方を助けてません!」と否定しつつもプレイヤー側には一撃必殺張りに効きました。一周回った清々しいドSっぷりにテンション上がると同時に自分のメンタルもやられる経験初めてです。
御剣さんが検事を選んだ理由はネタバレ見てなくても薄々予想はついてましたが、御剣さんが出した答えをこの目で見られたのは本当によかったと思いました。検事・御剣怜侍の在り方をこれ以上無いベストアンサーとしてプレイヤーに提示したスピンオフ、最高です。
あと今回テーマ・親子!が凄かったですね。「何か今回『親子』関係がよく出るな……逆裁3の恋人・姉妹関係よりも分かりやすく滅茶苦茶主張してくるな……」と思ってましたがマジで最後まで新しく多種多様な親子関係を出されてうわ凄いとなってました(語彙力)
終わりに
時間が無くてストーリーというより御剣さんに偏った内容になっちゃったのでこれも後々加筆修正する予定です。
で、これにてシーズン1は終了という事で、次からはまたナンバリング作に戻ります。
…………傑作の後に「黒歴史」呼ばわりされる作品に挑むの、かなり勇気がいるな……。
以上、DS『逆転検事2』の感想でした。