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3DS『逆転裁判6』感想

王泥喜法介という風呂敷を広げて畳み切った凄さと外道へのストレスフル。

プロローグ

法廷爆破事件と国際的なスパイの亡霊逮捕から1年後。
弁護士の成歩堂龍一は、霊媒師の次期家元でありかつて助手を務めてくれていた綾里真宵の修行が終わると聞き、霊媒と神秘の国と名高いクライン王国に迎えにきていた。しかし観光気分も束の間、真宵の世話役であり成歩堂のガイドを務める少年が窃盗と殺人事件の容疑で逮捕されてしまう。
そして裁判の日、半ば強引に法廷に入り込んだ成歩堂は愕然とする。「被告人が有罪判決を下されれば弁護士も同罪で裁かれる」という弁護罪の制定により、本件のみならず国内には弁護士が誰一人としていなかったのだ。
死者の最期の記憶が映し出される《御魂の託宣》による絶対的な真実の前に、成歩堂は実に23年間も空席だった弁護席に立って被告人の無実を証明することを決める。
一方日本で所長不在の成歩堂なんでも事務所を任されている弁護士の王泥喜法介希月心音は、同じ事務所に所属するマジシャンの成歩堂みぬきがマジックショー中に殺人事件を起こしたと逮捕される非常事態に直面していた。しかも相手は国際的に活躍するクライン王国出身の検事であり、国の特性上弁護士を異常なほど憎悪するナユタ・サードマディだった。

◆開発:カプコン
◆発売:カプコン
◆ジャンル:法廷バトル
◆発売日:2016年6月9日

始めに

現時点での『逆転裁判』ナンバリング最終作、3DSの『逆転裁判6』。ついにクリアしましたー! 月変わっちまったけどな!!!!(泣)
うう、時間の配分下手なせいで……noteのレコードが3月に……辛い……どうやって心の折り合い付けよう……。

本作は実質オドロキ君が主人公というのと、真宵ちゃんが出る、プレイ中にオドロキ君と某キャラとの関係性を知るネタバレを踏んだ以外はPVも見ずほぼまっさらな状態で始めました。

簡単にコメントするなら決して楽しくなかった・面白くなかったとは言わないけど再プレイするのはメンタルに来る。ストレス具合なら逆裁4と張る。各話最低1回はメンタルフルボッコにしてくるのやめてくれ!!
オドロキ君は後付け設定の風呂敷を畳めたのは普通に凄いと思います。


🦋本感想には以下作品のネタバレが含まれます。🦋

①システム / 探偵パート:祝・《調べる》復活

まず最初に喜んだのは、前作ではほぼオミットされてるのも同然になっていた《調べる》が復活したことですね! たまに「調べてる場合じぇねえぞ」と注意されたりしますが、それ以外はほぼどんな時でも背景を調査できるようになりました。良かったーこれがあってこそ逆裁ですよ。
ちょっとだけ注意する点は、視点キャラや物語の進展具合によってはチェックマークが入って既に調査済み状態になっていてもテキストが変わっている場合があること。これ途中から気付いて「あ!?」となったので、いつか2周目やる時はもっと念入りに調査しようと思います。

《カガク捜査》の《指紋検出》は地味に難易度が上がりました。
今まで下画面はずっと緑色でアルミ粉ぽんぽんしまくる位置は問わず状態だったんですが、本作では下画面に指紋検出するアイテムが表示されるようになり、タッチペンなり十字キーなりスライドパッドなりで証拠品の3D詳細のように検出品を回転・拡大したり→ここに指紋があるだろうと目星付けたところに粉を叩く→不要な粉を吹き飛ばす流れになったんですよね。これが結構難しい。
というのも3DSになってからの証拠品の回転拡縮操作が微妙に調整がしづらくて、思うように調べたい箇所を調べられない。しかも今回はなかなかでかい証拠品を自分でくるくる動かす&指紋検出する箇所を自分で探さないといけないので、予想付けた箇所でそこじゃねえと言われてアドバイス内容も理解できないと「え? じゃあどこ?」となると半分詰みます。もちろん根気よく証拠品を回転させればいずれ見つけられますが、操作がいまいちなこれを丹念に調べる気力は……あいにく私にはありませんでした……。しかもアルミ粉は有限なので、指紋が無い箇所に粉叩きまくると当然残量ゼロに。そういう時はもちろん吹いて粉の量を戻せばいいんですが、証拠品に直に粉を~となったので、全部粉が戻ったのかがいまいち分かりにくい&戻す前にちょっとでも証拠品を動かしちゃうと、たとえ吹いても全ての粉が戻ってくるとは限らない。リアル感が増したのは嬉しかったですが、この状態になった時はさすがに「め、面倒臭ぇ!」と少し嘆いてしまいました。
幸いだったのは『息を吹く』コマンドがタッチ操作で済ませられるようになったことですね。これが無かったらたちまち酸欠になって調査出来なくなってました……。

②システム / 法廷パート:「霊媒とか出来たら推理いらなくね?」のアンサー🦋

本作では日本⇔クライン王国と外国が舞台、しかも綾里家よりもっと普通にナチュラルにオカルトが存在する国で裁判が行われる特性から新しいシステムが搭載されました。その名も《霊媒ビジョン》。
作中では《御魂の託宣》という名称のこれは、被害者が死ぬ寸前の数秒間を記憶を映像と文字で映し出すというもの。故にクライン王国ではこれが裁判でも絶対視されており、ここで犯人と目されている人物や持ち物がこれでもかと映っていたらもう有罪確定です。ぶっちゃけなるほど君・オドロキ君側に立ってなかったら「そりゃ託宣に他人映ってたら犯人決定ですわ」と頷くのも仕方ない代物。

それを覆すには、《御魂の託宣》を下すレイファ様の解釈(証人の証言みたいなもの)と託宣映像を見比べて矛盾を見つけ出すこと。
《御魂の託宣》には死者が見た映像(視覚)の他に、「儀式の歌」「お香の匂い」「重い」「酸っぱい」と聴覚や触覚の残りの四感が文字でリアルタイムに浮かび上がります。それらを見ていると次第に「レイファ様は○○だと解釈してるけど、託宣の映像では✕✕が表示される」矛盾に気付くので、矛盾しているレイファ様の解釈(○○)を選び、同じく矛盾している映像部分で『託宣決定』パネルを押して停止。そして✕✕の箇所をカーソルで合わせて突きつける。これを何度か繰り返して解釈を修正させていき、最後に《御魂の託宣》が見せる真実を突き止めます。ちなみに尋問と同様2回間違えるとヒントくれる親切仕様です。

《ココロスコープ》同様、序盤は簡単でしたが徐々に難しくなってぐぬぬとなりましたが面白かったです。次作があるなら是非もう一度やりたいくらい。
それに被害者の死の間際に見た記憶……逆裁シリーズでは綾里家の存在で最早当たり前に存在している霊媒があったら推理とか裁判とか全部いらなくね?のクエスチョンに6作目で答えを出してくれたのが嬉しかったんですよね。本作ではとうとう真宵ちゃんが霊媒を使って死んだ被害者を証人として呼び出しますが、被害者は当然普通の人で証言台に立つからにはやっぱり嘘や誤魔化しはするし、死者の記憶が見られる・そこに犯人らしき人物が映ったとしてもそれが=本当とは限らない点も改めて突きつけられたので。
「死者の記憶が垣間見える《御魂の託宣》も結局証拠品の一つに過ぎない」、この台詞が印象的でした。

③ストーリー:楽しかった。それはそれとしてシリーズで一番キレ散らかしたと思う🦋

本作はなるほど君とオドロキ君のW主人公がキャッチコピーでしたが、まさか黒歴史とまで称された4の主人公である王泥喜法介の風呂敷がシーズン最終作でここまで広げられ、そして畳み切られるとは全く思いもしなかったです。いきなりオドロキ君は帰国子女(?)だったり革命派ドゥルクの義理の息子だったりナユタ検事と義理の兄弟だったりと設定ぶち込んできたところはレイトン教授と同じくらいだな……と頭の片隅で思いはしましたが、4ではあまり掘り下げられなかったオドロキ君のネタをこれでもかとばかりに活用しまくり、見事『王泥喜法介編』としてフィナーレを飾ったのは凄いなあと感心し通しでした。
だからこそ牙琉検事に哀れみの目を向けずにはいられないなって。ライバル検事としては攻撃力が無いのも含めいまいち張り合いが無く、御剣さんのように法廷でもう一度主人公とバトルすることもなく、そして本作では回想に一瞬出た程度で、出番が無い間にライバル検事ポジションを新キャラのナユタに完膚なきまでに取って代わられ。エンディングにも出てなかったような……?
仮に次作があったとしても一応オドロキ君の対として設定されてるはずの彼が活躍する可能性は限りなく低いと思うと、彼にも救済が欲しかったなとちょっぴり思いました。なるほど君の件を抜きにすると牙琉検事めっちゃいい人ですし。

まあ牙琉検事は置いといて、弁護士不在の裁判、冤罪阻止と正当防衛が主張出来ないことがどれだけ被告人に不利で絶望的かを知る逆裁ならではの展開は胸にきましたね。特に3話。絵面が非常にアレなのでシュールでしたが、それでも夫婦の強い愛には思わずほろりとしかけました。悪女と疑ってすみません。
真の黒幕とのバトルも、そこで明かされる衝撃の真実も見応えがあって、クリアしてエンディング見てる間は感無量でした。

でもそれはそれとして本作のストレスマッハ具合にはちょっと物申しても宜しいでしょうか。
まずモブ傍聴人。クラインでは過去の事件から弁護士が憎悪されてるので傍聴人の反応がもうヤバいの。とにかく酷いヤジが何度も何度も挟まれるの、ひっっっどいの。3話目からはまだ持ち直したたが1話目では裁判長もとにかく辛辣で事あるごとに弁護罪弁護罪でなるほど君達も死刑にするぞ・死刑にしろのコールしまくり。逆裁1-5や2-4の傍聴人がなるほど君や御剣さんを責め立てるワンシーンだけでも精神的にきつかったのに、クライン王国舞台では(お国柄仕方ないとはいえ)必須化されてるのは辛い。
今まで裁判中「このとんでも裁判傍聴してるモブ達はどんな心境なんだろう」とは何となく思ってましたが、うん、入れない方が、良いね!

そしてモブのみならず各話の真犯人が、具体的には2話目の真犯人と5話目の前座犯人の所行が!! めっっちゃくちゃ腹立つ!!!!
話の展開が1話:クライン王国→2話:日本→3話:クライン王国→4話:日本→5話:日本からクラインへ と移り変わるんですが、クライン王国じゃないからヤジ飛ばないし弁護罪で脅される心配も無いなとほっとしてたら、2話の真犯人がみぬきちゃんの誇りを踏みにじった上公共に根も葉もない悪評を垂れ流すわ詐欺同然に莫大な違約金払えと嗤うわ事務所差し押さえらるわ言動がとにかく希月さんの「殴っていいですか!?」しか出てこないし暴言飛ばすサクラが手配される(裁判長あいつら退廷させろ)。そして3話ではクライン王国のヤジと弁護罪脅迫攻撃→4話でもナユタ検事の扇動でとうとう日本でも傍聴人の声が複数回入り(夕神さんの「黙りなァ!!」に救われた)、5話なら……最終話ならまだマシでは……少なくとも2話よりは酷い目に遭わんだろう……と半ば願いながら調査してたらなるほど君とガチで法廷で争う展開になって「私泣くぞ!!!!」と崩れ落ちました。避けられないとは理解してても『戦わない』を選んじゃいましたよそりゃあね!(机ドン)
「今のなるほど君は2-4や5-5の御剣さんと同じ……真実を追究してる彼と同じ……」と念じながらじゃないととてもじゃないがやってられなかったし、
ねえこいつ犯人で良くない?と違和感持ってたらだんだん「これもしかして2-4の再来じゃね?」と不安を覚え、案の定今の現況作り出した元凶が的中していた上展開予想もどんぴしゃで「こいつうううう!!!!」と冥さんの鞭振りと机叩くモーションが一瞬頭が支配されました。あそこでサナギ軍曹の正体があれだと判明しなければ持ち直すのかなり難しかったと思う。
加えて犯人のブレイクモーションは、逆裁の中で一番凝ってはいるけど分かりやすい爽快感がほとんど無く、撃破してもどうも蟠りが残ってすっきりしなかったんですよね。ナユタ検事の数珠ばらまき→頬打ちの方がやられた感あるし、あそこまで痛快に「倒した!」感を前面に押し出してくれた方が良かったです。各話必ずイライラ展開が入るなら尚のこと。

なので本作含めた逆裁456が移植されたら絶対喜ぶし絶対プレイすると誓う反面、精神的負荷のかかり具合なら逆裁4と同等と判断したので、本作を再プレイするとしたらかなり気合いと覚悟を決めて挑まなければ心折れるな……と遠い目をしてしまうのは否めません。

あと最期の裁判で希月さんが弁護席に立たなかったのが凄く残念でした。逆裁5ではなるほど君オドロキ君に、本作4話では夕神さんに頼り切りで希月さんの弁護士能力があまり見られなかったので、次作が作られるなら彼女の成長を見届けたいです。希月さんも情報一切出てない父親関連からいくらでも話膨らませられるでしょうしね。

終わりに

こんな感じで。第2シリーズが綺麗に終わったのはすっきりしましたが、それまでの過程を思い返すときっっっつの一言に集約されてしまい、面白かったけど手放しには褒められないのが自分としてもかなり複雑です。霊媒ビジョンもナユタ検事・レイファ様も好きですが、ヘイトが……周りのヘイトが辛い……。

以上、3DS『逆転裁判6』の感想でした。

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