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それでも春は進む

窓から公園を見ると、誰もいない。
今だ!と、甥っ子を連れて外に出た。

義妹は病院勤務なので、毎日出勤しなければならない。
普段は保育園に預けているが、今は「保育園はやっているけれど、できるだけ預けないで欲しい感じ」らしい。
弟の仕事が休みであれば問題がないのだけれど、在宅勤務だと2歳児の世話は難しいらしく、甥っ子はお気に入りのブランケットを抱いて、たまに我が家にやって来る。

お外遊びが大好きな甥っ子は、窓の外を眺めては連れて行けと要求する。
保育園に通っている甥っ子は、年上の子どもと遊ぶのに慣れているので、以前は子どもたちがいるタイミングを狙って外に出ていた。
しかし今はそうはいかない。

という訳で、公園に誰もいないのを見て、行くぞ!と外に出たのだ。
遊具に触るのもよろしくないので、ひたすら歩いたり走ったりするだけだったけれど、満足してくれたらしい。
あちこちを指差しては、はっぱ!ぶーぶー!と教えてくれた。

横を歩く小さな甥っ子を見ていると、私の目には地面と甥っ子しか映らない。
彼の目には、地面から数十センチくらいの物しか映ってないのだろう。
と、思ったら。

ぐいっと上を向いて、はっぱ!と指を指した。
その先には、鮮やかな黄色。
春、いち早く景色に色を付けてくれる、連翹の蕾がたくさん付いていた。

これは、はな、だよ。
よく見つけたねぇ、春が始まったねぇ。

連翹が咲いたら、躑躅、木蓮、桜と次々に春の花が咲いていく。
家にこもっている間に、ずいぶんと春が進んでいたんだなぁ。

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