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ファンと品質と満足度

札幌の小さなライブハウスで行われた無観客ライブ配信を見ました。
リアルタイムで視聴していたのは50人程度だったと思います。
視聴は無料だけれど、バンドのグッズ等を買ってくれると嬉しいな、というスタイル。

正直な話、演奏はそんなに上手ではありません。
曲は、私は好きで聞いているけれど、「あぁぁぁ好き!このメロディ!アレンジ!たまんない!!!」ってなる程ではないです。
そうなるバンドはもっと他にいる訳で。
じゃぁビジュアルが良いのかというと、まぁ当たり前ですが一般人として格好良いという感じ。

なんだか全く愛のないこと書いてるみたいになってますが、私はこのバンドが好きで。
たぶん、ライブ配信を見ていた人たちも、これからアーカイブを見る人たちも、みんなこのバンドが好きなはずで。
でもきっと私と同じように、このバンドよりもっと好きなバンドが他にあったりもするのだと思います。

今回の配信ライブで、ガチャガチャ的なグッズがかなり大量に売れたそうです。
それにプラスして、投げ銭方式のチケット代を払う人もそれなりにいた様子。
どうやったら投げ銭できるかをコメント欄で聞いてまで払う人もいました。
いや、金額的には1,000〜3,000円なので、働いている大人であれば難しくないのは確かです。
今までほぼ毎月行われていたライブにチケット代と交通費を払って通っていたことを思えば、割ける予算が当然あるのだとおもいます。
それでも。
繰り返しますが、地方の小さなライブハウスで活動しているだけのバンドです。
演奏、曲、ビジュアルなどなど、全てのクオリティはいわゆるメジャーデビューしているアーティストには届いていないのです。
だけど、私を含め少なくない人たちが好きだと思い、お金をかけているんです。

これね、まんま私にも当てはまる話で。
私が行っているワークショップはとても珍しいですが、この世にただ一つのものではありません。
自分でできる限り手作り感を排除した市販品っぽいキットを作っていますが、やっぱり大手には敵いません。
私より知識が深い人はいくらでもいます。
それでも、人数は多くないけれど、好きだと言ってくれる人がいて、お金を払ってくれる人がいるんです。
本当に、本当に、ありがたいです。

このバンドに、そして私にお金を払ってくれる方々が買っているものは、きっと製品じゃないのでしょう。
もちろん、製品(バンドならCD、私なら出来上がり商品)も作っているし、それを買っていただいてもいるのですが、それが一番の売れ筋じゃないというか、お客様がお金を払いたいのはそれじゃない。

私は特殊集団好きなオタクなのですが、贔屓や担当の商品が欲しいという思いと同じくらい、「贔屓や担当に課金したい」という思いが強くあります。
これは、私の周りのオタク仲間も同じで。
新型コロナウイルスの影響が出始めた3月〜4月頃は「最近、贔屓に課金してない…何か課金できる方法はないか…」と口々に言っていました。
ここまではっきりと課金したがるのはオタクだけだとは思うのですが、「好きな人のためにお金を使いたい」という思いはきっと誰の胸の中にもあるのではないでしょうか。

だから、バンドメンバーがグッズを作れば使い道が無い物でも買うし、「もしよければ投げ銭でチケット代をいただけると嬉しいです」と言えば任意でもしっかり払う。
それは商品への対価ではなくて、「好きだよ」「応援してるよ」「がんばってね」という言葉が形を変えた贈り物なのではないかと思います。
お金を払っている人全員がそうとは言えないけれど、きっと対価がなくてもお金を払う人はそれなりにいるのだと思います。
そうなると、ぶっちゃけ品質なんていらない訳で。
たまに直接話ができるとか、自分のことを認識してくれてるとか、それでいいんですよね。

でも、だからって本気で品質を放棄して良いかというと、そういう訳ではないんですよね。
お客さんに「好きだよ」「応援してるよ」「がんばってね」という言葉を言わせているのは、自分たちの持てる力の中で最高の品質のものを届けようとする姿勢を含めた人柄だから。

……と、ここまでとりとめなく書いてしまったのですが。
実は、昨日の配信ライブを見るまで、少々落ち込んでいたのです。
私がやっていることに価値はあるのだろうか、私がやる意味があるのだろうか、もっと上手な人がいるし、私には力が足りていないのではないだろうか…。
色々なことを思っていましたが、そんなことはどうても良いことなのですよね。
私が良いと思うものを真摯に追求して、お客様に届ける。
きちんとそれをやれば良いのだと、ライブを見終わった後には少し明るい気持ちになっていました。

まずは!
9月中にサークルを立ち上げられるように準備をがんばろう。うん。

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