見出し画像

「小さい二人」嬉野さんの言葉の切れはし#287

小さい二人は、それぞれにお母さんにこっちを向いて欲しくて、おのれを主張しあっている。

それがなんだかね、脇で見てて微笑ましく、うらやましく。

あぁいう光景を見せてもらえるのは幸せです。
あの子達のお母さんとお父さんに感謝であります。
--嬉野雅道

----------------------------
この前わたしゃ地下鉄に乗っとりましてね、
ドアの脇に立っておりましたら、今にもドアが閉まりそうなタイミングで若いお母さんがベビーカーを押して乗ってきたわけですよ。

ベビーカーには一歳未満の男の子。
そのベビーカーを押すお母さんの後ろについてきたのは三歳くらいのお姉ちゃん。

たった二つくらいしか違わないのに、
お姉ちゃんは、もう自分の足で歩かされて立たされてね、で、疲れて座りたいよぉと駄々をこねると、お母さんに叱られて。だから仕方が無いから我慢しながら、歯を食いしばって立っている(笑)。

それなのに弟は、偉そうに主張ばかりしている。

そのことが幼心に腹が立つのだろうねぇ、
小さいお姉ちゃんは、「うるさい!」とばかりベビーカーの上の弟の胸を叩いてたね(笑)。
小さい可愛らしい手で。
その可愛らしい攻撃に対して、弟も声のデカさで応戦してた。

そしてお姉ちゃんがまたお母さんのジーンズの裾を引っ張って、こんどは半べそで哀願しながら「座りたい!」と騒ぎだす。
それに対抗するように弟は手をいっぱいに突き上げながら「ママー!」「ママー!」を繰り返す。
それがお姉ちゃんにはまたまた悔しいらしい。

小さい二人は、それぞれにお母さんにこっちを向いて欲しくて、
おのれを主張しあっている。

それがなんだかね、脇で見てて微笑ましく、うらやましく。

結局、弟はジュースの入った哺乳ビンを要求していたようで、お母さんの手から、くだんの哺乳ビンが渡されると、よし!とばかりに食いついて、チューチュー吸い始めたものだから静かになる。

でもお姉ちゃんは立ったまま。
お姉ちゃんは、とうとう鼻水たらして泣き出して、それでもお母さんのジーンズの裾に一所懸命つかまっておりました(笑)。

小さい二人に視線がいって、お母さんの顔は見ず。
まるでトムとジェリーを見るようなひと時でござんした。

あぁいう光景を見せてもらえるのは幸せです。
あの子達のお母さんとお父さんに感謝であります。
だって二人は、子供らしく育っていたもの。

いやぁ、好いものを見せていただきました。
きっとあのお姉ちゃんも、今頃はお母さんのそばで笑っているんだろうね。わたしゃ、そう思います。

そしてまぁ、弟に生まれた身の私としては、あのお姉ちゃんに、ほんの少し、ごめんねと遅ればせながら言いたい気も、するのでございます(笑)。

ほんと下の子はずるいねぇ。

というね、ことで終わりですよ。

本日も解散!です!
--嬉野雅道(水曜どうでしょうディレクター)