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「枠撮りの長閑さ」嬉野さんの言葉の切れはし#361

キツイスケジュールになりましても、相変わらず枠撮りは楽しいね。
枠撮りの時間は限られても、その中の長閑さだけは昔のままで。
あの雰囲気だけは変わりません、それが嬉しいですね。
ーー嬉野雅道

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この頃はタレントお二人もお忙しいのでね、なかなか枠撮りのスケジュールを切るのが大変でしてね。
昔でしたらね、毎週毎週、編集が上がったらその度にHTBまで来てもらってね、一週分ずつ公園で枠を撮るという豪華な段取りで、やりたい放題でタレントさんたちを自由自在に拘束してましたが、今や大人気のタレントお二人ですから、もうこの日しか空いてる時間はありませんよ、というところで枠撮りもやらなきゃならなくなりましてね。
おまけに、枠撮りが終わりましたらタレントさんたちは次の仕事へ行かれるのでね、2時間で撮影は終わってないといけない。
ところが、そういう状況なのにですね。
集合時刻ぴったしに来るのはミスタさんだけでしてね。
もう一人のタレントは当然のように来ないし、藤村先生すら来ない。
もう一人のタレントは、常に15分くらい遅刻する常習者なので反対に心配はありませんが、藤村先生は昔、あんまし来ないんで電話してみたら自宅でおくつろぎになっていたということがありましたね。
電話しましたら、何のようだといわんばかりの迷惑そうな声で電話口に出られましたね。
「えーっと、先生、いま何しておられるの?」
「え?朝飯食ってますけど」
「はぁ?」
「あれ?どーかしました?」
「先生、今日は枠撮りの日ですよ!」
「あ!」
「みなさん、お集まりですけど」
「そーだった。これはいけない」
なーんつって、すっかりお忘れになっていたということがありましたのでね、それを思い出すと地味に心配になる。
「はい、藤村です」
「あ!奥さんどーも、嬉野です」
「あら、どーもご無沙汰してます」
「奥さん、今年もよろしくお願いします」
「こちらこそぉ」
「御主人あれですよね、もうとっくに出勤なさって…」
「はい、もうそろそろ着くかと思うんですけど」
「そーですよね、いや、であれば、何の問題もありませんよ」
なんてな電話を昨日の朝しましてね。
受話器を置いてしばらくしましたら藤村先生がおでましで。
「あぁ先生、いまさっきご自宅にお電話を入れさせていただきましたよ」
「なんでよ!」
「いや、集合時刻も過ぎたし」
「5分じゃないのよ!遅れたの!」
「念のためだよ」
でもまぁね、そういうキツイスケジュールになりましても、相変わらず枠撮りは楽しいね。
枠撮りの時間は限られても、その中の長閑さだけは昔のままで。
あの雰囲気だけは変わりません、それが嬉しいですね。
ーー嬉野雅道(水曜どうでしょうディレクター)