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「南平岸だから実った果実」嬉野さんの言葉の切れはし#74

「水曜どうでしょう」というテレビ番組は、「呑気な根性」「鷹揚な寛容さ」「牧歌的な適当さ」という文化に守られ、南平岸の地にやっと実った果実である。
--嬉野雅道

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思えば、今から50年前。在札のテレビ局が札幌の都心部にある大通公園沿いに集中するなか、なぜかHTBだけは、それら他局を遠望するような郊外の、まだ、りんご畑の残る牧歌的な住宅地の高台のてっぺんを新天地に選び、そこに社屋を構えたのです。爾来、50年、風景こそ移り行きましたが、高台の社屋まで伸びる急な坂道を長年通い続けた社員たちは、のどかさに包まれて、いつか呑気と鷹揚とをその社風にしてしまったように思えます。

「水曜どうでしょう」というテレビ番組は、そのような文化に守られ、この地にやっと実った果実であることは言うまでもないことと私は思う者です。

それなのにHTBはこの地を去るのです。

もちろん私は、50年前のHTB局舎周辺に広がっていたという牧歌的な風景を知る者ではありません。しかし私は、あえてこの牧歌的な南平岸の高台に根を下ろすことを決意したHTBの先人たちと、この南平岸という土地の恵みに感謝する者です。

この地にHTBが根付かなければ「水曜どうでしょう」という果実もまた、おそらく実らなかった。

そう思えば、本当にありがとう。
ありがとう南平岸。
--嬉野雅道

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