ラオスで出会った日本人
2023/6/13
この日もルアンパバーン市内を散策。
今度は中心部を離れ、郊外へ足を伸ばす。
当ても無く歩くのは好きだ。
そこに何があるのか、分からないからこそワクワクする。
そして自由を感じられる。
そして2時間後。
案の定、道に迷う。
街に戻るつもりで歩いていたのだが、どうやら真逆に進んでいたらしい。
道行く若者に尋ねる。
「Which direction is Luang Prabang?」
(ルアンパバーンはどちらの方向ですか?)
「No.」
またかよ…
仕方無く、Google Mapアプリを開く。
うおぉぉ…市内から8kmも離れてる…。
この距離を今から歩くのはダルいな…。
しかし歩くしか無い。
田舎街の、更に田舎の草原地帯だ。
タクシーが走っているような場所ではない。
流石に喉が渇いた、と思っていたらフルーツジュースの屋台が。
タイからずっとお気に入りのマンゴースムージーがある。
しかも15,000キープ(約120円)だ、安い。
店の前に立ち、店員と目が合うなりニコッと挨拶してくれる。
「One mango smoothie, please.」
「No…」
なんでだよ…
思うに、この店員も先程の若者も、どうやら英語が解らないみたいだ。
私の発音の悪さが原因かも知れないが…。
だから、とりあえずノーと言っている様に見える。
だけど、昨日のレストランはちゃんと英語が通じたのだから、同じノーでも意味合いが違うのだろう。
指差しジェスチャーで伝える事も出来たが、買う気が失せてしまったので、そのまま後にし再び歩く。
しかし8km、しかも一本道。
歩けない距離ではないが、同じ道を通るのは面白くも無い。
ヒッチハイクしてみようか。
ボードもペンも無いけど…。
路上の脇に立ち、行き先も伝えずサムズアップを取る。
頻繁に車が通るわけではないので、歩きながら、そして車が通り掛かると立ち止まり、親指を立てる。
その繰り返しだ。
しかし止まってくれる気配は無い。
有無を言わさずノーとリアクションされる位なのだから、看板も掲げず立ち止まっている外人を乗せてくれる人なんて稀だろう。
諦めてトボトボと歩き続けていると、一台のトゥクトゥクが通り掛かる。
「どこ行くの?乗る?」
金を払って帰るのは勿体無いし悔しいが、このままだと陽が暮れてしまう…。
「ルアンパバーンまで行きたいです、いくらですか?」
「1人?なら10万キープ(約800円)だ」
高いな…
「あぁ…それなら歩きます」
「わかった、5万キープでいいよ」
400円か、無駄な出費だが仕方無い…。
そんなわけで宿まで戻り、相部屋のドアを開けると、隣のベッドにバックパックが。
昨日はそこにインド人が泊まっていたが、どうやら別人の様だ。
すると程なくして部屋のドアが開き、バッグの持ち主と目が合う。若い男性だ。
「Hi」
お互い余所余所しく挨拶を交わす。
そして、ややしばらくの沈黙が続き、彼が口を開く。
「Can't you use the air conditioner here?」
(ここのエアコンは使えないんですか?)
「Maybe, the staff is using it and I think it will moves at 7pm.」
(たぶん…スタッフが管理してて、午後7時に動くと思います)
「It's very hot…」
「Me too…」
…………
「日本人ですか?」
しびれを切らしたかの様に、彼が私に聞く。
「日本人です。……日本人、ですよね?」
「そうです」
「いやぁ~そうかなぁと思ってたんですよ!でもいきなり聞くと怪しい人に思われるかなって…!(笑)」
「どちら出身なんですか?」
「何処からここに来たんですか?」
「どの位ここにいるんですか?」
決壊したダム水の如く、私は思わず喋り倒してしまった。
ラオスで初めて会った日本人。
それも日本人宿ではない、激安のゲストハウスの4人部屋で偶々一緒になるのだ。
そんな偶然にテンションが上がり、2人で自己紹介をしながら盛り上がった。
彼はバンコクを経由し、このルアンパバーンに来て数日間滞在した後、他の各地を1ヶ月程かけて旅するのだという。
しかも、次の予定地はヴァンヴィエン。
私が明日、向かう街だ。
「私は明日チェックアウトして、同じヴァンヴィエンに向かうので、もしタイミングが良ければ、そこでまたゆっくり酒でも飲みましょう」
そう伝え、私は出発の準備を済ませ、ベッドに潜り込んだ。
今後が楽しみだ。
2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。